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俺が俺でなくなる
その日から毎日同じ夢を見る
苦しくなって起きて…
流れた涙をおとうさんが拭ってくれる…
おかあさんはこの頃には家に戻らなくなっていた
…あるときから夢の中の人物が誰なのか…わかっていた…
外はもう季節が変わっていた。
俺の中で家族との思い出…友人との思い出…そして何よりも大切な茜との思い出
その全て思い出されていた…幼い頃の思い出も…
でも…もう戻れない…
忘れたままにしてここにいた方がいい…
昔よりもずっとずっと優しくしてもらえている…
俺の体はすっかりこのおとうさんのモノに馴染んでしまった
茜の形なんて少しも残っていない…
思い出に蓋をして俺は僕を演じる…
幸いこの人は気付いていないから…
でもやっぱり一人になると不安で膝を抱え涙を流していた
茜…会いたい…でも…会えない…俺は…茜を傷付けたし…何より俺は汚れているから…罪を犯したから…
茜の側にはいられなかったんだ…それはずっと前から決まっていたんだ…
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