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真夏のあつあつえっち編 ①

「じゅ~ん~♡」  正和は帰ってくるなり、白いビニール袋を腕に提げたまま、ゲームをする純に抱きついた。純の頬にちゅっ、ちゅっ、と数回キスを落とせば、当然いつものように照れながら返してくれるものだと思っている。  しかし、こんな暑いのに抱きつかれたらたまったものではない、と純は嫌そうに顔を(しか)めた。  今年は猛暑で、各地で史上最高気温を更新している。そんな中、昨日エアコンが壊れてしまったものだから、この家は非常に暑いのだ。かろうじて動いている扇風機も熱風になってしまっている。 「……暑苦しい」  部屋が広いから業務用のエアコンを使っているのだが、それが(あだ)となった。修理するのに部品が取り寄せになってしまい、直るのは二週間後だという。しばらくこんな状態が続くということと、暑さも相まって純はだいぶ苛立っていた。 「正和さん離れて。暑い」  露骨に嫌がる純の反応に正和は唇を尖らせて、ビニール袋をちらつかせる。 「えー、せっかくアイス買ってきてあげたのに」 「たべる!」 「じゃあ、ちゅーして」 「…………」 「ちゅーしてくれないなら、あげない」  無言で袋を取ろうとする純の手をヒョイと(かわ)して、純の届かない所まであげてしまう。立ち上がった純は何度も手を伸ばすけれど、身長差が二十センチもあるので到底無理だった。 「……アイス、溶けちゃうよ」 「純がキスしてくれれば溶けないんだけどなぁ」  ニヤニヤしながらそう言われたら、純はますますしづらくなってしまう。唇をきゅっと閉じて彼を睨みつけるが、正和から見ればただの上目遣いだ。 「買ってきたご褒美ちょうだい」 「~~っ」  純は()ねたように唇を尖らせて、背伸びをする。ちょん、と軽く触れるだけのキスをして、顔を背けると、早くアイスをくれと言わんばかりに手を出した。  キスなんてもう幾度となくしているのに、純は未だに初々しく、この程度のキスで耳まで赤く染まる。 「顔真っ赤」 「……暑いからね」 「ふーん?」

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