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彼氏が美少年に声をかけられたら ①
ビーチベッドに横たわった正和は、キラキラと輝く海を遠目に眺めながら、きゃっきゃっと騒ぐ学生らしき集団に目を向ける。下着のような水着を一枚身に付けただけの男の子たちは、適度についた腹筋や引き締まった脚が魅力的でどの子も目の保養だ。純がトイレに行っていなくなったのを良いことに、正和はそんな若者たちをサングラス越しに吟味する。
それからすぐのことだった。
「お兄さん、ちょっといいですか?」
「……どうしたの?」
脚が綺麗な可愛い男の子に話しかけられて、正和はサングラスを外しながら少し嬉しそうに聞き返す。普段純におじさん扱いされてるから、『お兄さん』と呼ばれたのも嬉しかったらしい。
「あの、日焼け止めを塗ってもらえませんか?」
「日焼け止め?」
「後ろとか届かないんで」
「ああ、後ろは自分で塗るの大変だよね」
そう言いながら正和は体を起こして、男の子から日焼け止めを受け取ると、ビーチベッドから下りた。
「……重ね塗りしてもらえると助かります」
「いいよ。多めに塗るね」
「はい」
とろりとした液体を手の平に出して両手に伸ばすと、男の子の肩から背中にかけて丁寧に塗り広げる。
「ここ、赤くなってるけどしみない?」
「んっ……っ、だいじょうぶ、です」
普通に塗っているだけなのに、敏感なのか声を抑えてびくびく震えるものだから、少しだけ正和の悪戯心に火がついた。
「塗りづらいからそこに座ってくれる?」
「あ、はい」
さっきまで自分が寝ていたビーチベッドに男の子を上がらせると、正和は目をスーッと細めて楽しそうに日焼け止めを手に垂らす。正当な理由で可愛い男の子に触れるなんて、たまらなく幸せなひとときだった。
近くに隠しカメラがあって、それを純が見ているとも知らずに、ねっとり撫でるように厭らしく塗りたくる。嫌がる素振りがあればすぐにでもやめるが、全くそんな雰囲気はなく、正和は肩や腕にまで範囲を広げた。
「学生?」
「今年、大学入ったばかり、です……っ」
「そっか。もう慣れた?」
「はい。楽しく、やってます……っ」
「ふふ、敏感だね。ここくすぐったいの?」
「っ、や、そこは……っ」
腰骨をツーッと下からなぞられて、くすぐったさに体をビクビク震わせる男の子に、正和は日焼け止めを返す。
「あ、あの」
「うん? ちゃんと二度塗りしたよ」
いつになくご機嫌に顔を綻ばせながら、優しくそう言って、水の入ったペットボトルを手に取った。
「お兄さん、ソッチの人でしょ? もし良かったら……今度、ご飯でも食べに行きませんか?」
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