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ラブレター編 ②

「……へえ」 「っ、今日……帰りにもらって……」 「初めて聞く名前だね。……それに女の子。帰りって男子校なのに? どこで会ってたの?」  彼の声が一層冷たくなって、背中に嫌な汗をかく。まるで浮気を疑うような言い方に慌てて否定した。 「違っ、タチ高の子で! 帰るとき校門にいて、呼び止められて……俺も、会ったのは今日が初めてだから……」 「ふーん」 「本当だよ!」  彼は少し考えるような素振りを見せた後、おもむろに口を開く。 「……可愛かった?」 「えっと……うん、まあ……」  そう答えれば、彼は面白くなさそうに「ふーん」と呟いた。 「……それで? どうするつもりなの」 「もちろん断るよ!!」 「そう。じゃあコレは預かるよ」 「え」  別にどうこうするつもりはないが、初めてもらったラブレターを彼に没収されるのは、少し惜しい感じがして、しょんぼりする。 「何? 問題ある?」 「いや……ない、けど」 「じゃあ純にはお仕置きしないとね」  そう言って、手紙を胸ポケットにしまうと、椅子に座っていた純をヒョイと抱きかかえて移動する。横抱き――いわゆるお姫様抱っこをされて、純は正和にしがみつく。 「へ? なんで?」  思わず出た間抜けな声。彼はスッと細めた目で純を見ると、責めるように言う。 「俺に隠し事したでしょ。嘘もついた」 「嘘なんて――」 「何隠したのか聞いたら『なにも』って言った」 「っ……」 「俺、嘘は大嫌いだっていつも言ってるよね。何で学習しないかなぁ」  そう言いながら、壁に大きな鏡が取り付けてある部屋――通称お仕置き部屋――の扉を開ける。 「ま、正和さん……!」 「んー?」 「ごめん、なさい……もう、嘘ついたりしないから……」 「でも俺に隠したってことは、やましい気持ちがあったんでしょ? コソコソ隠れて、女の子と仲良くするつもりだった?」 「そんなこと……うぁっ」  ベッドにドサッと下ろされて、ヘッドボードから伸びた鎖についた手枷を左右それぞれの手首につけられる。 「まあ、いいや。女の子なんて抱けない体にしてあげる」  彼は、純の唇を人差し指でツーッと撫でた後、下に回って足首にも足枷をはめた。 「正和さん! ごめん、ごめんなさい!」 「ふふ、変な気おこさないようにたっぷり可愛がってあげるよ」  そう言って、純の制服のネクタイをスルリと解いて、目をスーッと細めると楽しげにニヤリと笑う。今更、自分の言動に後悔しても遅い。涙を零して懇願しても、容赦なく責め立てられるのだった――。  おしまい。

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