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第10話 EP1:愛引 遭遇 -2-

「……脇……獣道を通ろう。遠回りになるけど、帰れないわけじゃない。頑張ろう」 「うん、ミトナ……」 暫らく進んで、ユーリカにまた射精が起き、今度は彼の腰布を裂いて白濁を染み込ませて念の為に間隔を少し開けて置き、僕達は慣れない獣道を施設へと急いだ。 とりあえずスライムに遭遇しないし、追って来る気配が無い……気がするけど、実際は分からない……。 でも、いつも以上に帰るのに時間が掛かるのは覚悟していたけど、あれからどのくらい経ったのか……。 ユーリカを早く治療して上げないと……。 それに、僕も軽度だけど、スライムを触った手が気になる。 スライムを触った手は握って、何かに触れる時は残りの方でしているけど。 「……まだ追ってくるかな?」 「わ……かん、ない……けど、そろそろ……"置いた"方が……?」 「うん……。……地面に直に出して逃げよう」 ―……直……。だって僕達、もう……何も無いもんね。全裸だよ……。清めるだけだから、長めの腰布一枚で来て失敗したよ……。 「……ね、ユーリカ、僕の手でイッて?」 「……ん、んっ……ふ……、ふ……ぅっ、ううぅっ!!」 ずっと起ちあがり続けているユーリカのペニスを優しく撫でる。 僕の撫でに、透明な先走りがドクドクと噴出し、症状が悪化していると感じた。 見れば、ユーリカは対面で撫でているだけの僕に「ミトナ、イく、イッちゃうぅう……」と涙に濡れた小声で訴えていた……。 「辛いよね……ごめんね、ユーリカ……扱く、よ? ……早く施設に帰って、管理官に治してもらおうね?」 「んっ、 ん、ミトナ、ミトナぁ……みとにゃぁ……かえっる……ぁ、あ、ああっ……」 そしてお互いに涙を堪えながら頬をすり合わせ、僕がユーリカのペニスを扱き始めた時…… 「―……居たぞ!」 「「!???」」 騎士の格好をした長身の男が突然茂みから現れたんだ。 それから彼の鋭い言葉に後ろの茂みから、次々と僕達の前に騎士が現れ……最終的に囲まれてしまった……。 無言の騎士壁の中心には、全裸で向き合う僕とユーリカ……。 そんなユーリカの口から出た声で、僕は我に帰った。 「みッ、み……ないで下さい……」 視線を向けた先のユーリカは顔を羞恥に真っ赤にし、焦げ茶の大きな瞳が潤み戸惑いの隠せない様子に、"ドキリ"と胸が重く跳ねた。 僕はユーリカにとっさに抱き付いて騎士達から隠そうとしたのだけど、僕も全裸だった! でも、こんなユーリカの肌をこれ以上晒すわけにはと必死に「彼を見ないで……。……見ないで下さい! ……お願いします!」と何とか僕は声を振り絞った。 ユーリカも色々辛そうだが、今の状況に混乱して僕に抱き付いてる。 すると、後方の騎士様が動いた感じがして…… ―パサ…… 「……我々は"第三騎士団"だ。緊急の為にお互いの状況説明は後にし、彼らを優先的に保護する。 ……とりあえず、これ以上、彼らに不躾な視線を向けるな」 大きな一枚のマントが僕とユーリカの頭上に掛けられ、僕達はスッポリとそれに覆われてしまった。 「そうそう。可愛くてもね、我慢我慢。今はその視線でも彼らを傷つけちゃうだけだからね?」 今度は別な声が……。 そして新しい重みが。……多分、マントを追加されたのかな? 二枚なら、ユーリカと楽に分けられる。 僕は最初のマントを使う事にした。 ……だって、何だか落ち着く良い香りがするんだ。 あ。でも、ドキドキもしてきた。ドキドキして、安心して、融けちゃいたくなる香り……。 香水でもこんな良さそうな物、嗅いだ事が無い。……そんなに"香水"自体を知らないけど……。 王都から来た騎士様は流石にオシャレなんだな、きっと。 僕はマントで全身を包む様に調えて、ドキドキしながら声で判断して、持ち主の騎士様を見た。 そして、テキパキと的確な指示を出しながらいた人物は…… 前髪は顔を覆うほど長く、それはサイドもバックも同様。色は鳩羽色。 更に手入れされてない感がある口元を覆う大量の髭……も、鳩羽色。 背丈は高く、身体つきは綺麗に均整が取れていそうで、声は低めで渋い感じ。 アルファは精悍な美形が多いと聞いているから、彼もそうなのだろう……と、予想してみる。 でもまぁ、世の中には"例外"、ってあるからね。彼は分からないけど。 でも、何だか……安心して……胸が甘く締め付けられる、良い香りなんだ。 僕の中に、他の人に嗅いで欲しくない、小さな独占欲が生まれ始めている。 ユーリカを見れば、僕同様の格好で少し後ろに立っている。 僕はユーリカが纏うマントを掴んでくる前に、彼の手を取り、手を繋いだ。 ユーリカは僕のそんな行動の動機なんて知らないから、嬉しそうにこちらに甘える笑顔を向けて、少し震えの有る手で握り返してくれた。 まぁ、とりあえず助かったんだ。 僕は頷き、ユーリカに晴れやかな笑顔を返した。

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