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第4話
朝、玄関の扉を開けるとそこには昨日の宣言通り、彼の後ろ姿が見えて。僕のために早く起きたり、早めに家をでたりしたんだろうかと思うと、どうしても嬉しくて口角が上がってしまう。
「ひ、尋くん、おはようっ」
「…はよ。」
「ごめんね、待たせてない?」
「気にすんな。」
「う、うんっ、わかった」
なんで昨日キスしたの?なんて訊けないまま、あっという間に学校の目の前。
「じゃあ、また放課後。」
「え…?大丈夫なの…?」
「何が?」
「い、や、だって昨日…」
「誰のこと心配してんのか知らねえけど、楓が嫌なら無理強いは…」
「嫌なわけないよっ!」
「…そうか。」
「うんっ」
「じゃあまた放課後。」
「うん、ばいばい…」
「ぎゃははは!!」
「ばいばい…だって!超ウケる!」
「可愛くねえよ!キモ〜!!」
な、何がウケるんだろう…
…でも、尋くんが僕に構ってくれる限りは負けないっ!
彼は僕の王子様だった。
男が何言ってんだよって思われるかもしれないけれど。
僕等がまだ小さくて、彼の色素の薄い髪色がもっと薄茶色だった頃。幼稚園の演劇で役を決めることになった時の話、彼は問答無用で王子様役になった。お姫様役はそりゃもう大混戦で、困った先生たちは尋くん本人に選択を委ねた。
すると彼は何故か僕を指名したんだ。
「いちばんすきなこ」だって、笑顔で、確かにそう言った。
今になって、あれは優しい尋くんが女の子1人だけを選ぶ罪悪感で僕を選んだのだと分かるけど、その時の僕は大喜びで彼に抱きついた。
こんなこと思い出しちゃうのは、彼の存在が僕の中でまた大きくなってるからだろうな…
再び放課後が訪れる。
教室を出ようとしたら、複数の女子生徒に囲まれて動けない。
「え、えっと…?」
「ぎゃははは!」
「固まっちゃってるよ〜!!」
「ウケる〜!!」
「………」
目線の高さが同じなんだよね…
だから圧迫感が…
囲まれて数分後、
僕は学校内の知らないどこかに居た。
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