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第5話
「お前さあ、ヒロのなんなわけ?」
「そーそー!キモいんだよ」
「えっ…」
なんなのかと問われれば、幼馴染な訳だけど、胸を張ってそう言えるわけもなかった。
「何?」
「はあ〜、マジイラつく!!」
バシンッ!
1人に頬をビンタされた時だった
次々に罵声と暴力が僕を襲って
痛がれば笑われ
黙れば怒られ
抵抗…はしようとは思わなかった
この人数に勝てる気もしなかったし
後でどうなるか目に見えていたから
しばらくして、誰かの「飽きたわ。」の言葉でこの行為は終わった。
立ち上がろうとすると、足首に痛みが走った。
どうやら押されて転んだ時に捻ったみたいだ…
「かえで」
おかしいな…尋くんの声がする…
そういえば約束をすっぽかしてしまった。
怒るかな…もう話してくれなくなるかな…
「楓っ!」
今度こそちゃんと聞こえた声に顔を上げれば、焦った表情の彼がこちらに向かって駆けてくる
「ひろ、くん…?」
「何で呼ばないんだ!」
襲ってきたのは抱きしめられた衝撃と、久々に聴いた彼の大きな声だった。
「だ、だって…来てくれるなんて…」
「来るに決まってんだろ…」
「う、ん…」
「遅くなって悪い…」
「…ううんっ…ぼく…っ…」
「うん…ごめんっ…俺が悪いのに、大声出してごめん…」
「ちがっ…」
違うよ、君は悪くないよ。
言ってあげたいのに、声が出ない。
「いい、何も言うな。震えてんだろお前…」
「ふ、うっ…」
そのまま子供みたいに泣きじゃくって、泣き終わるまで、彼に抱きしめられていた。
「尋くん…もう大丈夫…」
「ん…」
「ありがと…」
よく見ると、僕の服についた汚れが彼の制服についてしまっていて、慌てて離れた。
「気にすんなよ。」
「でも」
「でもじゃねえ。」
「ふぁっ!」
軽々とお姫様抱っこをして、歩き出す彼。
「とりあえず保健室な。」
「う、うん、でもこれは…」
「いいから。」
「は、恥ずかしいよ…」
「仕方ねえだろ?これが1番良いんだよ。」
「う、ん…わかった…」
いつも流されてる気がする…
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