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第12話

「はあ…わかった」 「…僕、何したらいい?」 「何もしなくていい。力だけ抜いてろ」 「そっか…」 そう言われても、中々抜けないな… 次される事を想像してしまって、まだ緊張してる。 「怖え?」 「…ちょっと、だけ」 「本当に嫌になったら言えよ」 「うん……あの、ね」 「ん?」 「さっきみたいな、ちゅう、して欲しい…」 「っ…!」 「そしたら…力抜けると思う、からっんうっふ…!」 やっぱり気持ちいい…あったかくて、柔らかくて、ぴりぴりする… 「挿れるぞ…」 「んっ…ふぅ…んぁ…あっ、熱いっ…」 こんなに大きいんだ…僕のこと触ってこうなったんなら、嬉しい… 「キスする?」 「うんっ…して…」 「ん、口開けて」 「あ…んんっ、ふ、はあっ…あ、あっん…」 めりめりと僕の中に侵入する感覚がわかる。 あんなにしてもらったのに痛いんだ…でも、嫌じゃないなあ、この痛みをくれるのが尋くんなら、全然我慢できる。 味わったことのない重みも、熱さも、痛みも、彼なら全て許せる。 ゆっくりゆっくり、時間をかけて丁寧に入ってくるそれは、僕の中が焼けるんじゃないかなってくらいの熱さで、ずっとしてくれるキスも良すぎて、僕が溶けてしまいそう… 「あっ、うっ…んっ…はあっ…あ、ん」 「…前、萎えてんな」 「んっ…だい、じょうぶ、だから…」 「本当かよ…」 「ほんとっ、だよ、だから早くっ…」 尋くんが欲しい。 僕なんかがワガママかな、それでも、今だけでもいいから、僕だけを見て欲しい…僕に触れて、一生忘れられないくらいに。 「じゃあ…あと少しだから、我慢な。」 余裕のなさそうな表情、初めて見たかも。 綺麗な顔がこうやって歪むのを、僕以外にもたくさんの人が見たんだろうか… 「うんっ…」 「はあっ…入った…」 尋くんの手が僕の頬に触れた。 顔の近さだって20cmくらいで、身体の距離なんて0cm… 何とも言えない幸福感に、 ぽろ…と涙が零れ落ちた。 「痛いか…?」 「ううんっ…」 痛くないわけじゃいけど、 泣いたのはそうじゃない。 僕に触れて、感じてくれている。 キスをしてくれる、抱きしめてくれる。 その行為全てが嬉しくてたまらない。 それでも胸にチクっと刺さる痛みは、 彼が僕を好きなわけじゃないからなんだろうか。 哀しくて、嬉しい。

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