8 / 36

第8話 人形小豚のハスティ -8-

トクトクとした心音が続いている。 期待と緊張と不安と……イヤラシイ気持ちに支配されていく。 横を見れば、ノーク様の逞しく盛り上がった胸に走る傷。そして、小さな胸の飾り。 僕はノーク様の胸に頬を寄せ、小さく舌を出して傷を舐め、乳首に吸い付いた。 "ちゅぅちゅぅ"吸いながら、舌先でねぶる。乳首を吸うのを変に止められない……。 僕はロームの事を思い出しながらノーク様から制止の言葉が掛からないのを良い事に、僕はベッドに下ろされるまでその行為を続けた。 乳首を離した時、銀の糸が出来、プツリと切れた。 僕が吸った事でノーク様の乳首が尖って少し紅色になってる。感動だ。変に感動してる。 そして下ろされたベッドで僕は再びノーク様に見下ろされた。 僕の全貌がノーク様の前に晒される。ノーク様の視線を強く感じる。 ノーク様の視線の先には、触られること無く自然と露になったペニスの先端……。 そしてピンクの先端の窪みに吸い付くキスをされ、"じゅわり"と透明な液体が溢れた。 「ぁ、あ、ああ……っ」 ノーク様の唇を濡らす、僕の……先走り。 それからカリ下をじっくりと舐められ、舌に割れ目を辿られた先の窪みに湧き出でている透明な汁を吸われる。 僕はその様に直ぐに窪みに汁を満たし、ノーク様に何度も吸われて舐められ、強請るように尖らせた舌先で窪みを穿られた。 そしてそうしながらノーク様は僕の先走りを指に纏わせてアナルに指を挿し入れ、ゆっくりと出し入れを始めた。 アナルが広げられる久々の感覚に、僕は身じろいだ。 嫌では無く……恥ずかしいのだ……。 「ノーク……さま……」 「ハスティ」 心臓に流れ込む血液が、心臓内部で早鐘を打つ様に早く、やけにうるさい。 "ぐちゅぐちゅ"とノーク様にアナルを弄られて、彼の指を"きゅきゅ"と締め付けてしまう。 ノーク様の指の太さでもこんなにドキドキしてしまうのに、ペニスを入れられたら早々に自分を保てなくなりそうだ。 セックスは初めての行為じゃないのに、初めて以上に緊張してしまう。 ―トロ……トロトロ……トロ…… 「んっ……」 「先走りの量が多くきなってきたな」 ノーク様の目の前で立ち上がる僕の先端の窪みから、透明な汁が止めどなく溢れて茎部に濡れた一筋を作り、アナルへ到達した。 "ぐちゅぐちゅ"とした水濁音が"ぐっちゅんぐっちゅん"とした吸い付き離れる粘性を増加させた音に変化した。 僕の期待が高まっている証拠だ。イヤラシイ気持ちが溢れてしょうがないんだ……。そして…… ―ぷちゅ…… 「……ぁ……っ……」 熱く滑る先端がアナルに触れたと思ったら、そこからは一気に肉輪を広げられ、ノーク様のペニスのカリ下辺りまで咥えさせられた。 「~~あ……ぁあ――……!」 「はは……ハスティ、上も下も大きな口を開けて…………ん、んちゅ……は、は……っ……。可愛い反応だな……」 「ンぁあん……! ノークさまぁ……んぁ、あん! ん……は、はぁ、ちゅ、ん、は……はぁ……っ。ぁああっ……」 僕は下ではアナルにペニスを咥えさせられながら、上ではノークさんに口付けをされ、舌を絡められた。 舌を絡めながら、ゆっくりと最後まで挿入され、僕は腹を圧迫するペニスの質量に悶えた。 そしてノーク様自身を体内に全て収める事が出来て、僕は疼きと共に大きな歓喜に震えた。 セックスに対して、初めての温かい感情が生まれた。 すると喘ぐ声も勝手に甘く、強請るものになり、僕はノーク様から与えられた全てに善がり興奮した。 ノーク様に抱き付き、彼の背中に爪を立てる。 彼の背中は前面に無数に大小の傷があるのに対してとても綺麗で、傷が無い。 それは彼が敵に対して背後を見せない、取られなかった証だと思う。 そこに、僕だけが爪を立てて、傷を付けられる……。 物凄い陶酔感に襲われる。 ノーク様が好きで好きで堪らない。 口を大きく開けて、お互いを覆う様な口付けに舌を絡めあう行為。 息継ぎも鼻からの様な、口の隙間からの様な……余裕の無さ。 そしてノーク様に熱を誰も届かない様な最奥に放たれた瞬間、僕も彼にしがみ付いて熱を放った。 体内の奥に流れてくる液体にこれ程歓喜して、受け入れた事が無かった僕は同時にイきながら痙攣してしまった。 「―……のぉ……く、さま……スキ、スキぃ……。スキ、スキ……ん、はぁ、はぁ……はぁ……」 ノーク様の身体の下で震える自身を制御出来ず、告白を繰り返す僕に、ノーク様は無言で強く抱き締めてくれた。 無言だけど、撫でられた背中に愛情が感じられ、僕は涙が溢れた。 前世からずっと欲しかった他者からの純粋なこの感情を、この世界で初めて得た気がした。 そして、この世界で流れでたものも、僕は取り戻した。 ノーク様に蕩けさせられた僕の身体と感情は一致して、ノーク様を求める。 神様の気まぐれで転生した僕だけど、良かった。 ノーク様に出会えて、初めてこの世界に来て良かったと僕は考えた。 明け方……ノーク様の隣りで夢を、見た。 ―……瞳を閉じた先にいる幼い僕は、自分と同じ姿の人形にキスをした。 すると、人形はキラキラと霧散し、幼い僕をだけが残り消えた。 そして幼い僕は笑顔で小さな闇色の宝石箱と桃の実を抱え持ち、足元に金毛の小さな獣を纏わせ立っていた。 『もう大丈夫だよ』 そんな声が聞こえた気がした。 所在無くウロウロしながら涙を滲ませる子供は、いなくなったのだ……――― そして、瞳を開いた先には……ノーク様の寝顔があった。 涙が一筋、流れた。 それから少しして起きたノーク様に引き寄せられて、腕の中収められた僕は告白を受けた。 「……順番がおかしいが……俺の恋人になってくれ、ハスティ……」 「はい……ノーク様……。僕、嬉しいです……」 告白を受けて……返事を口にし終えると、ノーク様に唇を塞がれ、強く内側に抱き込まれた。 逃れられない力強さで抱かれ、口を何度も塞がれて……僕は幸福の中意識を落としてしまった。 後からノーク様に嬉しさのあまり暴走して、手加減が出来なかったと謝られた。 だから僕は眉を上げて「なら、お返しです!」とノーク様に抱き付いて、"ちゅ"っとキスをした。

ともだちにシェアしよう!