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第14話 人形小豚のハスティ -14-
あのプロポーズから半年後、僕の希望で、式は『薔薇の教会』で挙げることになった。
司祭様の前で、この教会の庭園で育てられた赤い薔薇がこんもりと山に盛られている場所に僕は立たせられ、視線の高さがノーク様に近い事が分かった。
ノーク様は、少し流れるような動きのあるフォルムのプラチナリングを結婚指輪として用意してくれた。
僕のにはメレダイヤが三粒はまっている。キラキラして、とても綺麗なんだ。
今はもうお互いの指に指輪が嵌め終え、次は誓いの口付け……と思っていたら、ノーク様が小声で僕に話し掛けてきた。
「―……ハスティの足元の薔薇は九十九本ある」
「?」
「薔薇の本数に意味があるのを知っているか?」
「……知りません……」
「そうか……ハスティ、その足元の薔薇は、お前に対する俺の偽り無い気持ちだ」
ノーク様の……?
「―……永遠に愛する……ずっと一緒にいよう……」
そしてノーク様は自分の胸元を飾っていた赤い薔薇を僕に持たせて、微笑んだ。
「さぁ、ハスティに持たせた物で薔薇が百本になった」
「百本にも、意味が?」
「ある」
「それは……」
「百本の意味は、ハスティへの百パーセントの愛だ……」
そしてここまで黙ってくれていた司祭様が誓いの祝詞を語り、僕達は誓いの口付けをした……。
美しい薔薇の教会で少人数の結婚式。
その全員に祝福され、僕はノーク様に望まれて……最愛の人と"番"になれた。
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