◆◆◆ ｢おかえり、トオル｣ 神林が部屋に帰ると此上が料理を作っている。 「ただいま……いい匂い」 鞄を近くの椅子に置きながらに言う。 「風呂沸いてるけど、2人で入る？先に入って待ってる？」 「……それ、二択とも同じですよね？2人か俺が先か」 神林はふふっと笑う。 「2人で入る以外の選択肢はないからな」 「はいはい、じゃあ、後で一緒に入ります」 神林は食器棚へと行き皿を数枚手にした。 「なあ、トオル……佐々木くんから土産貰ったんだろ？」 此上のその言葉で神林は手に持っていた食器を落としてしまった。 ガシャン！！と派手な音が響く。 「トオル！」 音がしたと同時に此上が側にきた。その瞬発力は流石だなと神林は感心しつつ、割れた皿を拾わなきゃと屈もうとした瞬間に腹に此上の腕が回されて、えっ？と思った時には軽々と持ち上げられていた。 「危ないだろ」 確かに神林は素足。そのまま椅子に置かれた。座らせられるというより置かれたのだ。 「怪我はない？」 心配そうに聞かれるまでの時間はきっと、1、2分くらいだろうな。凄いなこの人……ボディガードやってるんだもんな……とぼんやりと此上をみる神林。 「掃除機持ってくるから動かないように！」 ビシッと言われて大人しく椅子に座り待つ。此上は手際良く割れた皿を片付けてくれた。 「ごめんなさい」 「いいよ、それより危ないかもだからスリッパ履いて」 客用のスリッパまで持って来てくれた。何から何まで……本当にお世話かけちゃって。なんて、思う。 「で、お土産見せて」 ニッコリ微笑む此上。 え、えーと……中身までも知ってらっしゃる？神林は佐々木を恨んだ。なんで、言うんだよおお！！でも、アイツなら言う！！なんで、これに気付かなかったんだ？きっと罠だったんだ。 神林は諦めたように袋を此上の前に出す。 「そうじゃなくて、着てよ」 また、ニッコリ微笑まれた。 「え……い、いまですか？ゆ、夕飯が」 その場凌ぎでいいから逃げたかった。 「まあ、確かに飯食べないとな」 ホッとする神林。 「風呂入った後な」 ニヤリと笑われて……さっき、風呂を聞いてきたのはそういう事か！！と思った。 ◆◆◆ 「あ、あのちひろさん……自分で着替えできます」 碧は部屋に戻ると西島にスーツを脱がされていた。 上着を脱がされて、ネクタイを外される。 「ちひろさん、あの……」 顔を上げて自分で脱げると言うとすると唇を塞がれた。 これは流石に抵抗はしない。西島とのキスが好きだから。そして、キスされながらシャツのボタンを外されて……唇が離れると、どんっとソファーに押し倒された。 「ちひろさん……」 碧はキスでとっくにトロトロで……もちろん、この先を期待している。 ベルトを外されて、ズボンを脱がされて……レースの下着が碧の視界に入った。 あっ！！そうだった……僕、レースの下着穿いてたんだった。 それを思い出して顔が熱くなった。