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4話
◆◆◆
「あ、あの、本当に着るんですか?」
神林は風呂を出てから再度此上に確認する。
「着るよな?」
ニコッと微笑む此上が怖い……。
「……着てきます」
睨み合いしても負けるし、ましてや体力勝負なんて目に見えているのだから観念するしかないのだ。
素っ裸のまま神林は土産が入った袋を取りに行く。
ううっ、佐々木の馬鹿!変態野郎!!篤さんに渡した土産の事まで言ってさ……俺が碧ちゃんならわかる。似合うもんレースとかリボンとか……多分、千尋も……あー、昔の千尋なら似合っただろうけど、今は……うーん。と現実逃避に西島の事を考える。
今頃、千尋も碧ちゃんに悩殺されてるんだろなあ……。
はーっ、とため息をついて、袋から下着を出す。
ぴらりんとレースとリボン。
くっ!!これは絶対に碧ちゃん用だろう?
袋の中を見るとレースではない下着もあった。
ボクサーパンツみたいで……あ!!これならと出してみる。
どう穿くのだろうという、不思議な形をしている。
後ろの部分が空いている。男の下着だから前が空いてるなら分かる……なんで後ろ?と思うが……直ぐにセックス用だと分かった。
それを穿こうとしたら「なんで、それかな?トオル、わざと焦らしてる?」と真後ろから声が聞こえて振り返った。
此上が後ろに居た。
だよねえ……着いてくるよね、この人なら。
分かっていたのに……と神林はレースの下着を袋へ突っ込む。
「はい!今の出して!」
目の前に此上の手のひらが出てきた。まるで万引きした商品を出せと言っている警備員のようだ。
観念して袋から出す。
「似合うよ」
ニヤリと笑って此上は裸の神林をひょいと肩に担いだ。
そして、下着ももちろん手にして寝室へ。
ボスんとベッドに置かれて「はい!もう諦めろ」と袋から下着を出された。
もう……逃げられないし、誰も助けてくれない。
「はい!穿かせてあげるから足!」
此上はまるで子供の着替えの手伝いのように下着を神林の前に。
渋々、足を通す。
「トオル……似合う」
レースの下着を穿かせた此上は満足そうに神林をジロジロ見ている。
「どこが!!」
自分でも笑える。布が小さいから神林のイチモツは隠れきれていないし、そもそも、透けている。アンダーヘアーだって出まくっているのに!何が似合うんだよおお!!
神林はその羞恥心プレイにはずかしくて死にそうだった。
しかも、紐パンツだから尻の割れ目に紐がくい込んで気持ち悪いし。
「も、もう脱いでいいですか?」
これなら裸の方がいい。神林は脱ごうと下着に手をかける。
「誰が脱いでいいって言った?」
此上にその手を掴まれる。
「だって、どうせ脱ぐでしょ?」
「そんなにやりたいんだ?トオル」
ニヤニヤしながら此上は神林を押し倒すと、両手を頭の上で押さえ込む。そして、神林の両手をネクタイで縛った。
「ちょ!!どこから出したんですか!」
「え?突っ込むとこそこ?」
笑う此上。
「ベッドの横に落ちてた」
多分、自分が落としたであろうネクタイ。なんでちゃんとしまっておかなかったんだよ!と後悔。
「トオルを堪能しなきゃね」
此上は神林の胸へ顔を持っていくと、肌へ舌を這わせる。
「……あっ、」
いつもより、何でだろう?感じる。
恥ずかしい下着を穿いているから?それとも、縛られているというシチュエーションに?
胸の突起物を口に含まれ神林は更に声を出す。
「あっ……はあっ……」
舐められ吸われるなんていつもの行為なのに。なんで……凄くドキドキして、感じているのだろう?自分でも不思議だった。
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