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5話
舌先ってこんなに気持ち良かったっけ?
此上の舌先が身体を這うだけでゾクゾクとした刺激が駆け巡るのだ。
そして、指先が胸の突起物を摘む。
「あっ……」
グニグニと弄られて、この行為もいつもの事なのに2倍に刺激を感じる。
もっと先を……と次第に望んで来るから不思議だ。どうして……いつもより彼を早く欲しいと思ってしまうのだろう?
彼の舌先が胸から下へと這っていく。その行為を待ち望む自分。でも、言葉にはしない。
だって恥ずかしいし、オネダリとかもっと可愛い子がするのが似合う。
例えば碧とか……若い子がやるから可愛くてそそるのだ。それをいうならば星夜だって綺麗な顔をしている。流石、面食いの佐々木。
2人がオネダリをすればそれは凄く可愛いだろうし、佐々木も西島も興奮するに違いない。
その2人の若さも可愛さもない自分がオネダリとか……。普段穿かない下着を穿くだけでも痛いのに。
「んんっ、」
身体がビクンッと動いた。
舌先がへそを舐めているから。
普段……そんなとこ舐めるっけ?といつもやっている行為と比べる。
そして、気付くいつもよりも愛撫が長い。
結構長い時間舌先と指だけの気がするし、肝心な場所へ1度も触れていない。
下半身……。
でも、へそだから下半身か……。なんて考える自分はまだ余裕あるんだなっと笑いたくなる。
いつもなら自分も興奮して此上にしがみついたり、舐め返したり……フェラしたり……そのまま挿入されて身体が動く。
あ、そうか!縛られているから触れないんだ!!
いつもより長く感じるのは自分が愛撫し返せないからだ。
「はずして……」
堪らずにお願いを言う。
「だーめ!」
此上はそれだけ言うと愛撫を続ける。
「俺も触りたいから外してください」
「だめ、縛られてるトオル、エロいし……」
此上は言葉をためると「それにいつもより凄く可愛いから」と言った。
なん……だと!!
いつもより可愛い?何が?どこが?そもそも誰を可愛いとこの人は言っているのだろうか?
「か、可愛くないです!何言ってるんですか!」
反論すると「可愛いよ……下着も似合っているし、いつもより感じて可愛い声が沢山聞ける」なんて返ってきた。
ふおおおお!!何だとおお!!
声、そんなに出していたのかあ!!
自分でも気付いていなかった。
神林は咄嗟に口を縛られている両手で押さえる。
「ふふ、その行為もたまらなく可愛いんだけどね」
此上は身体を起こして神林を見つめ、手を伸ばしてきた。その手は神林の髪を撫でる。
「ほーんと可愛いよねえ君は……意地張ってオネダリとかしないし」
此上の言葉に目を大きく身開いて彼を見てしまった。
「あはは、図星」
笑われてしまった。
「どうせまた、オネダリは自分がしても可愛くないとか言い出すんだろうけど……違うからな!」
頭を撫でながらに言われる。
「トオルはいつも自分を碧ちゃんと比べるだろ?そりゃ比べる相手も居てもいいと思うけど、魅力ってそれぞれだしな……俺はトオルも碧ちゃんと同じくらい……いや、それ以上に可愛いと思うんだよなあ……なんせ、俺が惚れた相手だ可愛くないはずがない」
ニヤリと微笑まれた。
「オネダリ……いっぱいして欲しいんだけど?」
どうよ?的な顔をしている此上。心の中で完結してしまっていた言葉を言われてしまった。
どうしてこの人はいつも……欲しい言葉ややって欲しい事を当ててくるのだろうか?すごい。
「……したも……触ってほしい……です」
くそおおお!!恥ずかしくて死ねる!!と神林は思った。こんなに恥ずかしいとは!!顔が熱い。
「はい。良く言えました」
此上は頭を撫でると微笑んだ。
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