122 / 526
ホットミルクに蜂蜜 30話
ちょこんと自分のデスクに座る碧。
やっぱり元気がないように見える。
そんなに気にしてんのか?なんて心配というより可愛いに到達する西島。
仕事の時間になり、西島は碧を気にしながらも淡々と仕事をこなしていく。
明日……休みだよな。
休日はどこかに行く約束をしてたもんな。明日、とことん碧に付き合って元気ださせよう!
しょんぼりして見える碧を見ながらそう考えていた。
「碧ちゃん、書類できた?」
先輩の男性スタッフが碧に声をかけてきた。
「は、はい!」
慌てて書類を出す。
「斉藤は?」
「あ、やば!」
斉藤は違う意味で慌てて書類を出す。
「お前、碧ちゃん見習えよ!碧ちゃんはゆっくりだけど慎重に仕事して提出日までに出すんだぞ?」
なんて褒められた碧。
最近、碧は良く褒められる。
他の課のスタッフからも碧はゆっくりだけどほかの誰よりも真面目で正確だと。
碧は照れたように笑う。
「やーん、碧ちゃん可愛い、お菓子食べる?」
女性スタッフが気を効かせてお菓子とコーヒーを出してくれた。
「あ、佐藤はコーヒー飲めないぞ」
さり気なく西島がそう付け加える。
「あ、そうだった!」
「大丈夫、碧ちゃんにはココアあるからさ」
他のスタッフがココアを出してきた。
「あ、ありがとうございます!」
深々頭を下げる碧をみて、スタッフ皆は癒せれるのであった。
「碧 、部長ってさ、さりげなく碧の事を見てるよな?」
小声で碧に話しかける斉藤。
確かに斉藤の言う通り、コーヒー飲めないと言ってくれた……ちょっと幸せ気分になる碧。
ちらりと西島を見る。
真剣な顔でパソコンをいじる西島。
かっこいいなあ、ちひろさん。
優しい笑顔も好きだけど仕事をしている姿も好きだ。
「碧ちゃん部長に見惚れてないで書類を提出」
スタッフに言われ我に返る。
「は、はい!いま、出します」
慌てて立ち上がり、書類を持つ。
緊張したように西島の近くに。
「碧、もう一枚忘れてる!」
斉藤は書類を渡そうと立ち上がり、椅子に足が引っかかった。
そのままヨロヨロとバランスが崩れて、碧にぶつかる。
きっと他の男性なら斉藤を抱き止められたかも知れない。
でも、碧は非力で……一緒にバランスを崩し、その反動で西島の机に置いてあったカップを弾いた。
あっ!
短い声が上がったと同時にカップの中身のコーヒーがパソコンへとタップリとかかり。
机に広げてあった書類もコーヒーに染まった。
ともだちにシェアしよう!