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ホットミルクに蜂蜜 32話

◆◆◆◆ ちひろさんに謝って、そして僕が出来る事をしよう! 碧は顔を洗いながらそう考えていた。 「斉藤くん、ありがとう。僕、戻る。」 ハンカチで顔を拭いて決心した事を口にする。 「うん、わかった!」 斉藤は優しく微笑むと碧の頭をポンポンと軽く叩いた。 そして、気持ちを改めて歩き出す。 会議室に差し掛かると、 「西島、どうするんだ!」 怒鳴る声が聞こえてきた。 ビクッとなる碧。 「データーなら直に復元出来ます!」 「直ぐってどれくらいだ?1時間後か?それとも明日か明後日か?」 「今日中には全部揃います」 「絶対だな?」 「もちろん!」 そんなやり取りが碧の身体をガクガクと震わせる。 ちひろさん……僕のせいで怒られてる……どうしよう。 止まった涙がジワリと出でくる。 「碧、いこう!」 斉藤は碧の肩を抱き、歩かせようとする。 ちょうど、西島がドアを開けて出てきた。 西島は直ぐに碧に気づいた。 怯えたような顔で涙目。 ああ、やり取りを聞いたな?と分かり、 「斉藤、佐藤を連れて帰ってくれないか?今から急ぎの仕事をするんだ、新人2人にはまだ無理だから退社していい」 そう言った。 「あ、はい。」 斉藤はサボれるラッキーとか思ったのではなく、空気を読んだのだ。 きっと、自分と碧は役には立たない。 だったら居ない方がいいのだ。 西島は急ぎ足でその場を去った。 ちひろさん……ごめんなさい。余計な仕事を増やしてごめんなさい。 情けないけど泣くしか出来ない。 「碧、いこう」 斉藤は碧の手を握り歩き出す。 ◆◆◆◆ 「送っていくよ」 医務室で神林に事情を話すと車を出すと言ってくれた。 泣いてる碧を連れて電車には乗れないから斉藤はぜひにとお願いをする。 「碧ちゃんと先に車に乗ってるから荷物取っておいで」 「はい」 斉藤は言われた通りに荷物を取りに戻る。 オフィスは忙しそうで確かに新人の自分らは要らないなと感じた。 「碧ちゃんどう?」 心配した女性スタッフが声をかけてきた。 「自分のせいだって泣いてて」 「碧ちゃん悪くないわよ!後で部長に皆で言ってあげるからね!」 「いや、たぶん、部長も碧のせいだって思ってないですよ。」 斉藤はそう言いながら碧の荷物と自分の荷物を手にする。 ◆◆◆◆◆ 「碧ちゃん、あまり泣くとせっかく可愛い顔が台無しだよ?」 神林は碧の頭を撫でながらそう言う。 ずっと泣いている碧。 自分の弟達みたいで可愛い。 「部屋に戻ったらちゃんとご飯とか食べるんだよ?」 この調子じゃご飯も食べずに落ち込んでいるだろう。 心配だ。 斉藤が走ってくるのが見えて、彼に頼もうかと考える。

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