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ホットミルクに蜂蜜 35話
◆◆◆◆◆
うん!僕は泣いちゃダメなんだ。
ちひろさんが頑張っているのに泣いてちゃダメ!
碧はお風呂掃除をしたり掃除をしたり、西島が帰ってきたら直ぐにゆっくり出来るように頑張った。
「にゃーん」
碧が忙しく動く間も諭吉はピッタリとくっついていた。
落ち込んでいるのが分かるから。
原因が西島だとも二人の会話で分かった。
諭吉は……こげん時に声が聞こえないのは嫌やな。碧ば慰めてやりたかよ……そう思いながら碧から離れないでいた。
碧も諭吉がずっとくっついてくれているのが心強かった。もし、諭吉が居なかったら泣きながらやったかも知れない。
「諭吉、僕ね泣き虫直そうと思うの。だって泣いてても何も変わらないし、皆が心配するもの」
諭吉に話掛けながら碧は手を休めない。
斉藤にも心配かけたし、神林にも…
あと、会社の皆にも………いっぱい謝ってお礼を言わなきゃ!
「にゃー」
諭吉がスリスリと足元にきた。
「うん、頑張るよ諭吉ー!僕は社会人だもん」
諭吉が頑張れって言ってくれているように思えて頑張れる気がした。
◆◆◆◆
「ただいまー!」
斉藤の声。
「まぐろう!」
真っ先に反応したのは諭吉。
諭吉が居たら元気になる。諭吉を見てたら癒される。
だからなのか、碧も自然に笑顔が出た。
「斉藤くんありがとう」
玄関に斉藤を迎えにいく。
「うん、作るのも手伝うよ」
そう言って靴を脱ごうとする斉藤。
「ありがとう斉藤くん。でも、大丈夫だよ!僕は1人で作れるし………もう1人でも大丈夫!だから斉藤くん、お家帰っていいよ?」
ニコッと微笑む。
「えつ?でも?」
大丈夫なのか?………かなり心配なんだけど?
「うん、大丈夫!僕、しっかりしなきゃだもん!斉藤くんだってやることあるでしょ?ほら………佐々木部長とか……佐々木部長にご飯作ってあげたら?」
佐々木部長にご飯……確かに作って貰うけど作った事ないかなあ?
なんて斉藤は考える。
「きっと喜ぶし……やらなくていいことを誰かにやって貰えると嬉しいし、休めるじゃない?」
あー、確かに………斉藤は納得。
「じゃあ、俺も作ろうかな部長の為に」
「うん、そうしてあげて………斉藤くんって佐々木部長を部長って呼んでるの?」
「えっ?あ、うん、部長………向こうは星夜って呼ぶけど」
「名前で呼ばないの?」
「あ、………うーん、名前がいいかな?」
「うん、僕もちひろさんって呼んでるよ。ちひろさんって呼ぶと凄く嬉しそうな顔をするから呼ぶの嬉しい」
ちひろさん………かあ。碧が呼ぶと可愛いなあ。
「あ、俺も斉藤じゃなく星夜って呼んでって言ってるのに!」
「あっ、」
思い出したような顔をする碧。
「呼んでよ星夜って……俺も佐々木部長を名前で呼んでみるから」
斉藤に言われ、碧は照れた顔で、
「せい……やくん」
名前を呼ぶ。
うわあー!可愛い!
「ありがとう碧。俺もゆうちゃんって部長を呼んでみるから」
斉藤は碧に手を振ると部屋を出て行った。
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