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ホットミルクに蜂蜜 38話
◆◆◆◆◆
誰かに触れられている?
凄く優しいタッチが碧を包む。
「………ん?」
薄目を開けると、「目覚めた?」間近に西島の優しい笑顔。
ちひろさん?
まだ、完全に目が覚めていない碧はぼんやりと西島を見つめる。
寝ぼけた顔で自分をみる碧がたまらなく可愛い。
髪を撫で、頬とオデコにキスを繰り返す。
西島のやわらかい唇が触れ、何回目かのキスで碧は覚醒。
「ちひろさん!」
慌てて起き上がる。
「しごと、仕事は?データーは」
かなり気にしていたのだと分かる反応。
「僕、ごめんなさい!ちひろさん!ほんとうにごめんなさい!」
全力で謝る碧。
そんな碧をふわりと抱き寄せる西島。
「ほら、落ち着いて」
ぎゅうっと抱きしめて、背中をポンポンと叩いてくれる。
その優しさが心に染み込んできて、また涙が零れる。
泣かないと決めたのに。
「ごめんな……さっ、うえっ……」
ぐすぐすと腕の中で泣いてしまう弱い自分。
「碧のせいじゃないんだよ?」
「でも、怒られてた……ちひろさん、悪くないのに」
碧は西島の背中に手を回し、ぎゅっとシャツを握る。
「 碧も悪くないんだよ?俺は大丈夫だから」
頭を撫でながら優しい声で慰める。
「ぼく、ちひろさんに迷惑ばかり」
「迷惑かけてないだろ?今日だってご飯とか掃除とかしてくれたんだろ?ありがとう」
ちひろさん……優しい。
ぐずな僕に凄く優しい……大好き。
西島の優しい言葉に泣いていた心が元気になる。
顔をあげて西島をみた。
「泣き顔可愛い」
微笑みながら言う西島に心がほっこりするのを感じた。
「おいでミルク温めてあげる」
西島に手を引かれキッチンへ。
◆◆◆◆◆◆
蜂蜜を入れたホットミルクを西島が作ってくれた。
「元気でた?」
ホットミルクを飲む碧に笑顔で聞いてくる西島。
こくんと頷く。
「明日はデートだもんな。」
そう言われ、碧は思い出す。
そうだ!デートの約束してた!
「映画見るんだったよな?」
「はい」
「ご飯食べたら何を見るか決めようか?」
「はい!」
二回目の返事は元気に言えた。
ありがとう、ちひろさん。
ちひろさんはいつも僕に魔法をかけてくれます。
もう、元気でました。
蜂蜜入りのホットミルクを飲みながら、碧はニコッと笑えるようになっていた。
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