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僕の初めてを貰ってください
◆◆◆◆◆◆
「んっ………」
西島は寝返りを打って、そのまま碧を手探りで探す。
が、碧の姿がない。
起き上がり周りを見るが近くには居ないようで、ベッドから降りると近くの時計を見て時間を確認する。
7時。
トイレかな?
西島はトイレへと向かう。
「ニッシー、碧なら自分のアパートばい」
後ろから諭吉の声。
「えっ!なんで?」
驚いて振り向く。
まさか、まだ気にして?
部屋を出て行った?
西島はかなり焦る。でも、
「今日デートなんやろ?着替えば取りに行っとーとさ」
「あっ……」
そうか、なるほど!と西島は安心した。
◆◆◆◆◆
どうしよう!
碧はたくさんの服をクローゼットから出したまま、途方に暮れていた。
ちひろさんと初デートなのに!
興奮して朝早くに目覚めて、デート用の服を探しにアパートに戻ってきたのに………
僕の服………みんな、子供っぽいよう!大人のちひろさんと釣り合わない。
碧が途方に暮れている理由はソレだった。
どの服も子供っぽく見える。
西島との初デートだから大人っぽく見せたい。
こんな事なら夏姉ちゃんに服を選んで貰えば良かった。
今から買いに行くのにも早い時間だし……
「うえーん、どうしよう!」
思わず叫ぶ。
「何、騒いでんだ?」
真後ろで西島の声。
驚いて振り返ると諭吉を抱いて立っている西島がいた。
「ちひろさん……」
な、なんで?
慌てて出しまくった服を一か所に集める。
「服を選んでたのか?」
西島は碧の側にいく。
こくん、と頷く碧。
「ち、ちひろさんと初デートだもん……大人っぽくしたくて」
俯いて、恥じらう碧の姿に西島は悶えそうだった。
諭吉と一緒にアパートに来てみれば洋服をこれは違う、これも違うと何枚も広げてはため息をつく碧がいた。
自分とのデートにこんなに必死になってくれるのかと嬉しくなる。
「碧は何着ても可愛いよ。じゃあ、俺が選んでいい?」
「ほ、ほんとですか!」
碧は嬉しそうに西島を見つめる。
ああ、もう!何も着せたくなくなるじゃないか!
碧に似合うのは自分のブカブカなシャツ。
しかも下着は穿かせない。
あー、俺ってド変態!
なんて考えてながら碧の服を選ぶ。
選んだのはブルーのシャツと下にランニングシャツ。それとジーンズ。
何も着せたくないけど………これが本音。
碧は名前の通りブルーが良く似合う。
「少しは大人っぽく見えますか?」
服を着て不安そうに西島を見る碧。
「なんで、そんなに大人っぽくしたいんだ?」
「だ、だって、ちひろさん大人だから……並んで歩くなら子供っぽくしたら、ちひろさんに恥かかせちゃいます!だからです。」
力説する碧の頭をつい、クシャクシャと撫で、
「馬鹿だな碧は……俺の方が碧に恥かかせないか不安なのに」
「ど、どうしてですか?」
「碧は自分の魅力に気付いてない?こんなに可愛いのにさ」
西島は碧を抱き寄せる。
顎を指先で上げると、そのまま唇を重ねる。
ちゅっ、と軽いキスを何度かして、碧を力強く抱きしめると彼の口内へ舌を挿入した。
くちゅ、くちゅ、
唾液が絡む音が碧の耳に届く。
ちひろさん………
碧も西島の背中に両手を回す。
「んっ………ふぅ……」
舌を絡める度に碧の甘い声が部屋中に響く。
碧とのキスは甘くて好きだ。
離れたくはない………でも、
くちゅり、と音がして唇を離す。
赤い顔で西島を見上げる碧。
ああ、やばいなあ。このまま抱いてしまいそうだ。そんな感情がチラリと顔を出して焦る。
でも、今日はデートだからな。碧が凄く楽しみにしているし。
抱きたい衝動をグッ堪えて、西島は、
「服を片付けたら朝ご飯食べよう」
頭を撫でた。
◆◆◆◆◆◆
「諭吉、デートなんだよ!凄いでしょ?」
朝ご飯を諭吉に食べさせながら話かける。
「デートしてくるからイイ子にしてるんだよ?」
諭吉の頭を撫でた。
「にゃーん」
いってらっしゃいと諭吉は碧に返事をする。
「碧、行くぞ」
「はい!」
碧は元気に返事をして、諭吉に手を振る。
全く、ウブで困るばい……休みなら1日中交尾出来たろうに……
諭吉はエサを食べながら、そう考えていた。
◆◆◆◆
えへへ、デート!デート!
碧は飛び跳ねたいくらいに嬉しかった。
憧れの西島とデートとか信じられない。
碧にとっては初めてのデートが西島とだなんて飛び跳ねるだけでは足りないのだ。
あ、車……神林に借りようかな?
映画みた後にドライブでもいいしなあ。
チラリと碧をみる。
ニコニコと楽しそうに自分の横を歩く。
こんなに楽しそうなんだから、もっと楽しませたい。
付き合って初めてのデートだもんなあ。
そう悩みながら歩く西島を碧もチラチラと見ていた。
ちひろさん、カッコイイ!
いつものスーツもいいけど、ラフな格好のちひろさんも凄くいいなあ。
それにちょっといつもより幼く見える。
駅で女性がチラチラと西島を見ているのに気付く。
カッコイイもんなあ、ちひろさん。
そんなちひろさんと僕は恋人同士…………
きゃー、どうしよう!自慢したい!
なんて、1人悶える碧であった。
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