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僕の初めてを貰ってください 3話

「ありがとうございます!」 ドーナツは碧が好きな味ばかりでテンションがあがる。 「はい。ちひろさんコーヒー」 西島の前に置かれたコーヒーが入った紙コップの柄を見て、あっ、と思った。 ミサキが持っていたコーヒーカップと同じ柄。 目がクリクリで色白で可愛い! ミサキが言った特徴と碧が合致する。 まさか……… 「なあ、女性が落とした定期券拾ってあげたりした?」 って恐る恐る聞いてみる。 「はい。あ、ちひろさん見てたんですか?凄く綺麗なお姉さんでした」 ニコッと笑う碧。 ああ、やっぱり碧だったかあ。 絶対にミサキに碧は会わせられない! あいつ、興奮して何するか分からないからな。 「碧は、優しいな」 頭を撫でる。 拾ったのはミサキの定期券だったが良い事をしているんだから褒めなきゃな。なんて思う西島。 わあ!ちひろさんに褒められた! なんて、喜ぶ碧。 周りには花が咲き誇るくらいに甘い雰囲気だった。 ◆◆◆◆◆◆ 「星夜、どっか行きたいとこあるか?」 服を着ながら佐々木が言う。 ベッドで素っ裸の斉藤は、「突然どうしたの?」なんてキョトンとしている。 「休みだからな。どっか連れて行ってやろうかと?嫌か?」 「い、嫌じゃない!」 斉藤は慌てて服を着る。 「うーん、スーツ着るんか?」 昨夜泊まった斉藤はもちろん着替えなんて持っていなくて、スーツだ。 「だって、急遽泊まったし」 「スーツじゃ仕事の延長っぽいからな」 佐々木は自分の服を漁りだす。 「貸してやったから着替えろ」 適当に服を斉藤に渡した。 「買い物いくか?今後も泊まるなら着替えあった方がいいし」 着替える斉藤にそう提案する。 「えっ?いいの?これからも泊まりにきても?」 「構わないけど?星夜さえ良ければな」 佐々木は斉藤の頭をくしゃくしゃと撫でた。 ◆◆◆◆◆ 「ちひろさん、これ可愛い!諭吉みたい!」 一休みも終わり、買い物タイムに突入。 雑貨屋巡り中なのだ。 碧とお揃いの食器を買おうかと密かに企んでいる西島。 雑貨屋で猫のぬいぐるみを見つけてはしゃぐ碧。 「うん、可愛いな」 その可愛いの感想はぬいぐるみではなく碧へのモノだ。 「ちひろさん何買うんですか?」 「碧の食器。碧専用が無いからな」 「えっ?」 ビックリしたように大きな目がクリクリと動く。まさに猫の目。 「要らない?」 「い、要ります!で、でも、いいんですか?僕専用とか置いても」 「もちろん!碧が選んでいいよ。どの色がいい?」 ニコッと微笑む西島。 僕専用の食器………それって、ずっと泊まってもいいって事ですよね? ちひろさん………僕、嬉しい! じんわりと涙がにじむ。 「あ、碧どうした?どこか具合?」 突然涙ぐむ碧に驚く西島。嬉しくて涙ぐんでるとか思わなくて体調が悪くなったのかと慌てる。 「ち、違います……嬉しくて……ちひろさん……僕ずっと泊ってもいいんですか?迷惑じゃ?」 ウルウルとした大きな瞳に見つめられて西島は照れる。 いいに決まっている。 「ばーか!迷惑なわけないだろ?好きな子とずっと居られるんだぞ?」 うわーん!ちひろさん!僕、今すぐ抱きつきたいです。 碧はその気持ちを堪える。 「ありがとうございます。ちひろさん」 抱きつきたい代わりに上着の裾を掴む。 や、やばい!碧が可愛い過ぎる! あー、くそ!ここが部屋ならたくさんキスできんのになあ! ムラムラくる衝動を我慢。 「好きな色選んで」 冷静を装うのはもう………大変だ。 碧はブルー系の色ばかりを選んだ。 なんとなく、西島の部屋がブルー系なのでそれに合わせたのだ。 選んだ食器をレジに持って行く西島は、 「猫も持っておいで」 と碧に言う。 「えっ?さっきの?」 「そう、猫」 「なんでですか?」 「今日の初デート記念に碧にプレゼント」 うわあー!ちひろさん! 碧は叫びそうだった。 どうして西島はこんなに自分を喜ばせてくれるのだろう? どうしてこんなに優しいのだろう。 もう!大好きです。 「ありがとうございます」 碧は素直にお礼を言うと猫のぬいぐるみを持ってきた。 初デート記念のぬいぐるみ。諭吉に見せなきゃ! 碧は嬉しくてニコニコが止まらないのであった。

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