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僕の初めてを貰ってください。 4話
◆◆◆◆◆
買って貰った猫をモフりたい!
碧は袋に入った猫が気になる。
だって、初めて貰ったプレゼント…………ああ、そうだ!恋人からのプレゼントって僕、初めてだ!
後からジワジワと幸せが心を暖かくする。
「碧、寄りたい所ある?」
「えっ?あ、はい!トイレ!」
ぶはっ、と笑いたくなった。
西島が聞いたのは寄りたいテナント。
服とか靴とか………まさかのトイレ。
「荷物持っててあげるから行っておいで」
西島は碧の荷物を持つと送り出す。
◆◆◆◆
トイレの入り口で出てきた人とぶつかりそうになり、碧は避けようとよろける。
「あっ、ごめん…………碧?」
ぶつかりそうになった誰かが咄嗟に肩を掴んでくれた。
「斉藤くん!」
肩を掴んでくれたのは斉藤。
「星夜だってば!碧、何してんの?1人?」
「ううん、ちひろさんと………星夜くんは?」
名前を呼びなおす。でも、ちよっと照れくさい。
「デートかあ……」
ニヤニヤしながら斉藤は碧の頭を撫でる。
「まあ、俺もデートかな?」
「佐々木部長と?」
「そうだけど?」
斉藤はそう言って物凄く照れた顔を見せる。
な、なんか可愛い!
初めてみたかも知れない恥じらうような斉藤の姿。
「一緒だね。僕達は映画みて、買い物してるの!それでね………ちひろさんが…プレゼント買ってくれたの!」
嬉しくて、嬉しくて碧はプレゼントの話を誰かにしたかった。
「碧、誕生日?」
それなら自分も!なんて考えた斉藤。
「違う、初デート記念だって」
そう言ってエヘヘと笑う碧がめちゃめちゃ可愛いんですけど?
「部長も碧を喜ばすの上手いな……じゃぁ、碧も西島部長を喜ばせなきゃな」
「喜ばす?僕もプレゼント買った方がいいかな?」
斉藤に言われ、自分が嬉しすぎてお返しを考えていなかった事を思い出す。
さすが星夜くん………恋愛の先輩だあ。
「碧にしか出来ないプレゼントあるじゃん?」
「えっ?なあに?」
「裸にエプロン」
……………??
はだか……にエプロン?
「風邪ひいちゃう」
真顔で答える碧に思わず吹き出す斉藤。
「あはは、碧はやっぱ可愛い!」
斉藤は碧の頭をグリグリ撫で、
「夜の接待だよ。裸にエプロンして部長にエッチな接待をするんだ。いいプレゼントだぜ?」
夜の…………接待!!!
うひゃあー!
想像したのか碧は一気に顔を赤らめた。
「碧、どこが気持ちいいか教えてやるよ」
斉藤は碧の耳元で囁く。
「部長のちんこを口で抜いてやるんだよ。この前教えたサイトで勉強してさ」
きゃー!僕がちひろさんの………
ちひろさんのち、ちんこ………、
あの、おっきいのを……
裸にエプロンした自分が、
「ちひろさんがほしいです」
と西島のちんこをカプンコと咥える姿。
大人だー!
「碧、顔が真っ赤」
斉藤はクスクスと笑う。
◆◆◆◆◆
碧を待つ為に壁際に設置してあるベンチに座ろうとした西島は、
「あっ、」
と短い声を上げる。
「よう、ニッシー」
ベンチに佐々木が座っていた。
うわあ!会いたくなかった!
「嫌そうな顔だな。碧ちゃんとデートか?」
顔に出たようで佐々木に気持ちを読み取られた。
「悪いか?お前は何してんだよ?」
「俺もデート」
ニヤリと笑う佐々木。
デート?
こいつ、恋人居たっけ?と考える西島。
「恋人?」
「気になる?」
ニヤつかれ西島はムッとして、「気にならない!恋人出来たんなら碧に構うなよ」と強気で言う。
「出来てなかったら碧ちゃんに手を出していいんだ?」
その言葉で西島は佐々木を睨みつける。
「なんかいいなあ」
睨まれた佐々木はニヤニヤしながら西島を見ている。
なんか、気持ち悪い……。
何か企んで、何を言われるのかと、西島は構える。
「久し振りにみたよ、お前の男丸出しな顔」
佐々木はそう言うと立ち上がり、西島の横を通り過ぎた。
………何だったんだ?
佐々木が何を考えているか読めない西島は怪訝そうな表情で後姿を見送る。
◆◆◆◆◆
「頑張れよ碧」
斉藤に背中を叩かれた。
「う、うん………頑張る」
拳を握って力む碧につい、顔が緩む。
本当に応援したくなる。斉藤はそう思いながら碧と別れた。
「星夜、遅かったな」
角を曲がると佐々木がいた。
「碧にトイレで会って」
「西島にさっき会ったよ。」
「そっか、碧、楽しそうだったよ。プレゼントとか買って貰ったとか言ってた」
「プレゼント?」
「初デート記念らしいよ」
ふふと笑う斉藤の頭をガシっと掴むと、
「んじゃ、俺も何かあげなきゃな」
と佐々木は微笑む。
「ま、まじで?」
目がキラキラと輝く斉藤。
「何がほしい?」
「わ、わかんない!でも、ほしい!」
碧みたいに幼く微笑む斉藤を見ていると、佐々木もつられて笑いたくなる。
「じゃあ、歩きながら決めよう」
佐々木は斉藤の手を引っ張る。
手……繋いでますよ?って言いたかったが斉藤は言うのを止めた。
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