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僕の初めてを貰ってください。 5話
◆◆◆◆◆
碧も西島の所へ戻り、買い物を再開させた。
「あ、」
キッチンコーナーで西島は何かを見つけたようだ。
何?っと碧が西島の見ている方向を見ると、そこには、薄いブルーのエプロン。
え、エプロン!
碧はさっきの斉藤との会話を思い出し一気に顔が熱くなるのを感じた。
裸にエプロン……。
わあ、ちひろさん……もしかして?
もしかしなくても裸にエプロンとか、す、好きなのかな?
もし、ちひろさんにしてほしい。って言われたら………ぼく、ぼく…………
恥ずかしいけど頑張ります!
碧は拳を握りそう決心をする。
「なあ、碧、あのエプロン碧に似合いそうだな。洗いものする時に服汚れちゃうから買おうか?」
西島の言葉に碧は、きたーー!と心で叫ぶ。
はい!ぼく、ちひろさんを喜ばせます!
ちひろさんが疲れが取れるなら僕はなんでもします!
「はい!欲しいです!」
碧は決心したように叫ぶ。
意外と声が大きかったようで周りの人達が碧をチラチラと見ている。
「あ、碧、元気だな」
碧の返事にクスクス笑う西島。
クスクス笑う西島は可愛く見えて、
や、やっぱり、ちひろさん嬉しいんだ!
僕が裸にエプロンするの!と勘違いをしてしまった。
◆◆◆◆
ドキドキする。
碧はエプロンを買って貰いドキドキしていた。
帰ったらすぐがいいのかな?
それとも、ご飯食べた後の洗い物の時?
あ、お風呂は先かな?
先だよね?
色々考えていたら西島から名前を呼ばれた。
顔を上げると、
「碧、大人しいな?疲れた?」
と聞かれた。
「いえ、あの、ぼく、ご飯の事とか考えてて」
「お腹空いたのか?あ、そうだな。もうすぐ5時かあ。ご飯食べていくか?」
西島はチラリと腕時計で時間を確認。
「いえ、あの、エプロン」
ご飯食べて行ったらエプロンが使えない。
「エプロン?あ、買ったエプロン使いたいのか?」
聞かれて頷く。
「そうか、碧に似合いそうだもんな。じゃあ、つけてもらおうかな?」
きゃー!
ついにきたーー!
◆◆◆◆◆
買い出しは斉藤が多く買い込んでくれていたのでスーパーには寄らなかった。
なんせ、買い物し過ぎて荷物が重い。
碧にあまり重い物を持たせたくない西島はそのままタクシーに乗りこんだのだ。
「にゃー」
玄関で諭吉が待っていた。
「マグロぅぅ!」
「ただいま諭吉。ごめんね、タクシーで帰ってきたからマグロないんだ」
碧は靴を脱いで諭吉を撫でる。
「にゃーん」
諭吉はゴロゴロと喉を鳴らし碧に擦り寄る。
ああ、普通に猫だ。
碧と一緒に居る諭吉は普通の可愛い猫。
荷物を手に西島も部屋へと上がる。
◆◆◆◆◆
「なんや、早いやん!もっとゆっくりしてくっかと思ったとに」
碧が荷物をよいしょ、よいしょ、と運んで行く隙を狙い諭吉が西島の足元に寄ってきた。
「荷物が重いし、碧がお腹減ったみたいだからさ」
「食べてくればよかろうもん?」
「そうなんだけどさ、碧に似合うエプロンを見つけて買ったらさ、着けたいみたいで」
薄いブルーのエプロン。本当に碧に似合いそうで楽しみな西島。
碧のエプロン姿も見たいし、可愛いエプロン姿で出迎えられたら鼻血もんだな。なんて考える。
「ちひろさん、これ開けていいですか?」
碧が西島の元に袋を手にやってきた。
「なに?」
「えへへ、ちひろさんがプレゼントしてくれた猫です」
嬉しそうに微笑む碧。本当に嬉しいを身体全体で語る碧に西島は自然と顔が緩む。
「それはもう碧のものなんだから俺に聞かなくてもいいんだぞ?」
「でも、ちひろさんが買ってくれたから」
「そうか、碧はイイコだな」
西島は碧の頭を撫でる。
西島に撫でられるとまるで子猫みたいに気持ち良さそうな顔を見せて、もっと撫でてって言っているみたいに西島の側に近付く。
甘える仕草がたまらない。
子猫を撫でるみたいに優しく撫でる西島。
碧は袋を開けて猫のぬいぐるみを取り出して、「諭吉にも見せます!」とニッコリと笑う。
「諭吉みてみて!諭吉に良く似たぬいぐるみでしょ?ちひろさんが初デート記念に買ってくれたんだよ」
碧は諭吉に見えやすくしゃがみ込む。
くんくんと匂いを嗅ぐ諭吉。
「僕、このぬいぐるみ絶対に大事にします!」
嬉しそうにギュッとぬいぐるみを抱きしめる碧。
ぐわっ!くそー!やばい!碧め!
可愛いんだよ!チクショー!
西島は碧の可愛さに悶えていた。
……………アホらし。
なんやこのラブラブ空間は?
ハートが飛んどうし………こんだけラブラブなくせに肝心な交尾ばせんとが不思議ばい。
諭吉はラブラブな2人に喜びながらも、先に進まない2人にちょっぴりイラつくのであった。
しかし、碧の決心を諭吉はまだ知らない。
◆◆◆◆◆
お揃いで買った食器をテーブルに仲良く並んで取り出す西島と碧。
「諭吉みてみて、ほら、食器もお揃いなんだよ?あ、諭吉の食器も買ったよ!」
諭吉に1つ1つ見せている碧。
お揃いっていうのが碧は嬉しい。
大好きな西島と色違いのカップやお箸。
それを見ると恋人になったんだと改めて実感出来るからだ。
「食器洗わないとな」
西島の何気ない言葉に碧はピクリと反応する。
え、えぷろん………
裸にエプロンですよね?と心臓をバクバクとさせていた。
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