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僕の初めてを貰ってください。 6話
「あ、あの、エプロン……」
碧はドキドキしながらエプロンという名前を口する。
「ああ、エプロン使いたいのか?」
西島は袋からエプロンを取り出すと碧へと渡す。
「きっと似合うよ」
ニコッと笑う西島。
「は、はい!つけてきます!」
ど、どうしよう。……やっぱり恥ずかしいかも!
碧はエプロンを掴み寝室へとダッシュした。
「えっ、碧?ここで着ないのか?」
猛ダッシュで寝室へと行ってしまった碧を首を傾げて見送る西島。
ここで着てもいいのに?
あ、もしかしてエプロン姿が恥ずかしいとか?
うん、碧ならありえる。
本当に可愛いなあ。
なんて、西島は呑気に食器を箱から出している。
ドキドキな碧の心境を知るはずもないから。
◆◆◆◆◆
ああ、どうしよう。
エプロンつけなきゃ!
モジモジしながら服を脱いでいく碧。
裸にエプロン……下着も脱ぐんだよね?
なんて自分に聞く。
ジーンズも脱いで下着一枚になった碧はエプロンを手にする。
や、やっぱり止めようかな?
恥ずかしいもん。
ドキドキした心臓が口から出そう。
エプロン一枚だけを着けるのにやはり抵抗がある。
恥ずかしい!
その一言。
でも、西島が碧に買ってくれたエプロン。
それに昨日は西島に余計な仕事をさせてしまった。
疲れている西島を元気にしたい。
それに、ちひろさん……プレゼント買ってくれた。
僕は凄く嬉しかった。
ちひろさんにも喜んで貰いたいなあ。
だったら!恥ずかしいのは我慢!
碧は意を決して下着を脱いでエプロンだけを着けた。
ちひろさん僕頑張ります!
ちひろさんの為なら僕は何でも出来るんです!
◆◆◆◆◆
食器をシンクへと持っていく西島。
後は碧に洗って貰おうかな?
なんて考えていたが、碧が戻って来ない。
あ、もしかしてエプロンを上手く着けられない?
今の子はエプロンを着けないから分からないのかも!手伝ってやろうかな?
なんて、心配していると、ミシっと床が軋む音が聞こえてきた。
碧がこっちへくる音。
1人で着れたのかと安心。
「ち、ちひろさん」
碧の声。
「着れた…………………!!!」
戻ってきた碧をみて西島は言葉を失った。
……………!!!!
ぎゃー!!!碧!!!おまっ!!
パクパクと口だけが動く。
小さい頃に見ていたアメリカのアニメ。
猫とネズミが仲良く喧嘩するアニメの驚く表現に目がびょーんと飛び出したり心臓がハート形でびょーんと外へ飛び出す表現……大袈裟だろうと、子供ながらに思っていたが、
いま、まさにその大袈裟な表現が似合うと思った。
あの頃はこんなに驚く事に出会っていなかったから……たった今、理解した。
あの表現は間違っていない。
「ちひろさん……あの」
頬を赤らめてモジモジしながら西島の名前を呼ぶ碧の姿は、男なら恋人にやってもらいたいベスト5に入るだろう、裸にエプロンだった。
薄いブルーのエプロンは碧に凄く似合っていて、
それだけでも鼻血もんなのに、白い肌の露出が高い。
素肌に布1枚にしか見えない。
本当はランニングに短パンかも知れないよな?
「ああああ、碧、きいていいか?エプロンの下……な、な、なんか着てるか?」
声が震えあからさまに動揺しているのが丸わかりな西島。
「……………きてないです」
ハニカムように小さい声で答える碧。
き・て・な・い・で・す。
だとっっっっ!!!
身体のラインが薄いブルーの布の上から形を見せていて、確かに何も着てないのだと分かる。
西島は裸にエプロンの碧を目の前に叫びそうだった。
…………………あ、もしかして夢?
映画の途中で寝てしまったんだー!
で、なきゃ純粋な碧が裸にエプロンとかしない。
そっか、夢だ。うん、夢。
俺って変態だな。夢でさえ碧に下着を履かせないなんてさ。
「ちひろさん」
碧が俺の名前を呼んで、後ろ向きになり、お尻をつきだして、
「お尻の準備が出来ました。どうぞ」
なんて……そんな夢…………なのか?
◆◆◆◆◆
ううっ、ちひろさんが凄く見てる!
裸より恥ずかしいよう。
碧は西島の熱い視線に恥ずかしくて顔が火照っていた。
でも、ちひろさん凄く見てるから嫌じゃないみたいで良かった。
「あ、あの、ちひろさん」
碧から名前を呼ばれて西島は我に返る。
目の前にはやはり裸にエプロンの碧。
夢なのか現実なのかまだハッキリとしない。
もう自分は犯罪レベルの変態じゃないかとさえ思えた。
◆◆◆◆
ちひろさん……黙ってる。
もしかして、僕の裸にエプロンは色気がなくて、癒されないとか?
星夜くんならきっと色気があるかも!
ああ、何で僕は子供っぽいのかな?
でも、頑張らなきゃ!
「ちひろさんあの……に、似合いますか?」
思い切って聞いてみた。
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