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僕の初めてを貰ってください。 13話
◆◆◆◆◆◆
あああっ、どうしよう!!
トイレのドアを勢い良く閉めた碧はその場に座り込んだ。
と、途中なのにちひろさん置いてきちゃ……ううん、トイレだもん。連れて来れない。
碧は段々と怖くなっていたのだ。
初めてなのだから仕方ないのだけど、話や動画で見たり聞いたりするよりも、遥かに違い過ぎる。
西島のあの大きなモノがはいるの?なんて心配しちゃうし、
セックスは興味があるし、好きな人とひとつになりたいと碧も思う。
でも、
痛みとか………
色んな不安が次々と襲ってきた。
どうしたら?
ちひろさんの所に戻らなきゃ………
エッチ途中で逃げてきたから、
ああっ、どうしよう。ちひろさん怒ってるかも?
今度は西島の事で不安になる碧。
◆◆◆◆
碧、大丈夫かな?
ベッドの上で暫く黙って待っていたが、身体を起こして、ベッドから降りた。
もしかして、緊張してお腹痛くなったのかも。
碧なら、ありえる。
トイレへと向かい、ドアを軽くノックした。
----コンっ、コンっ、
ドアのノック音にビクッとなる碧。
「碧、大丈夫か?」
心配そうな西島の声。
…………………………
わあああっん、ちひろさーん!
心配してくれてる。
怒ってるかと思っていた西島の心配そうな声に碧は申し訳なくて、ドアを開けた。
「ご、ごめんなさい。ちひろさん、大丈夫です」
ペコリと頭を下げた。
ううっ、本当にごめんなさい。
ちょっと怖くなったんです。
そんな気持ちのまま西島の前に立つ。
「薬飲むか?」
俯く碧の顔を覗き込む西島。
お腹痛いのはとっさの嘘だったのだから、碧は首を振る。
「ちひろさん」
西島にギュッとしがみついた。
◆◆◆◆◆
ギュッと両手を回して抱きついてくる碧。
少し怖がるような、何か悩んでいるような、そんな感じを受け取った西島。
もしかして、まだ早かった?
裸にエプロンとかしてくるから、勘違いしてしまったかな?
西島も複雑な感情で心をいっぱいにしていた。
焦らなくてもいいかな?
付き合ったばかりだし、身体に負担かかるのは碧の方。
こんなに華奢で子供みたいな可愛い碧を傷つけたくない。
「ほら、ベッドに戻ろう」
西島は抱き着く碧を自分の身体から引き離すと抱き上げた。
「ち、ちひろさん」
身体が微妙に硬直したのを感じた西島は、ああ、やはり怖かったのかな?と思った。
「このままじゃ風邪を引くし、服を着よう」
「えっ?」
西島の言葉にちょっと驚いた。
エッチするなら服着る必要ないよね?
抱き上げられた時、少し怖くなった。
西島に抱かれるのは嬉しい。
怖くない!
でも………
でも、って言葉がちらつく。
ベッドに戻ろうって言葉に覚悟を決めたけど、次の言葉は服を着よう。
ちひろさん、ぼく、ぼくは………
「えっ、エッチするんでしょ?服着るのは変です!」
エッチしてもちひろさんなら大丈夫です。
そんな気持ちで言ってみたけど、
「今日はもうおしまい。碧も疲れてるだろ?」
だった。
あれ?あれ?
「し、しないんですか?」
「しないよ。」
寝室に着いて、その場に降ろされた碧は、不安そうに西島を見上げる。
「あの、あの、ぼく、大丈夫です」
「碧…………いいんだ。無理しなくても、本当は怖いんだろ?俺は焦って碧を抱きたくない。碧が怖くなくなったら……しよう」
西島は頭を撫でてオデコにキスをした。
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