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僕の初めてを貰ってください。 21話
「加減なしで殴りやがって!仕事もそっちのけで来るくらいなら碧ちゃん泣かすなよ、全く」
佐々木は殴られた箇所を擦っている。
「………あの動画は?」
まだ混乱中の西島は頭の中を整理中。
動画の碧は?
お尻が映ってて、……あれも碧じゃなかった?
「上手く出来てただろ?尻は星夜の尻だ」
「斉藤の?」
西島はベッドの上の斉藤をチラリとみた。
えーーと、
斉藤と佐々木って??
「俺ら付き合ってんだよ、あんま、星夜の裸見るな、俺のだから」
佐々木に言われ、視線を外した。
「碧が言ってた斉藤の恋人……?」
少し、理解出来たような顔で佐々木に視線を戻す。
「お前がいつまで経っても碧ちゃんに手を出さないからさ、随分とけしかけたんだぞ?俺に威嚇するくせに肝心な碧ちゃんとはエッチしないし、それで泣いてるのも知らないだろ?」
「…………」
知らない。
全然、知らない。
不安がってたのは知ってた。でも、怖がらせたくなかった。
「お前は大事にし過ぎて空回りしてんだよ。仕事抜けれる度胸持ってるくせに抱く度胸ないとか………マジでアホ!」
佐々木は西島の額を指で弾く。
「いたっ、」
弾かれた額を擦り、佐々木に何か言いたげな表情をする西島。
「殴り返されるよりマシだろ?で、次にお前がする事は碧ちゃん迎えに行く事だろ?」
肩をバシッと叩かれ、背中を押した。
早く行けよ。と言われ、西島は、
「殴って悪かった、後でちゃんと謝る」
と部屋を出て行った。
「ほんと、世話の焼ける」
西島を見送りながらため息をつく佐々木。
「ゆうちゃん顔、冷やした方がいいよね」
斉藤が心配そうに近付いてきた。
「いや、いいよ。続きしたい」
佐々木はヒョイっと斉藤を抱き上げる。
「俺ってゆうちゃんのモノだったんだ?」
抱き上げられ照れくさそうに言う斉藤。
「そうだよ?星夜は俺んだ」
ベッドへ下ろし、斉藤を組み敷く。
「じゃあ、好きって言ってよ。ゆうちゃん言わないじゃん!」
「それはお互い様だろ?」
フフっと笑うと、
「好きだよ、星夜」
そう囁くとキスを落とす。
唇を離すと、
「俺もゆうちゃん好き。ずっと、一緒に居たい」
斉藤からも告白してきた。
「いいよ。おいで、一緒に住もう」
佐々木は斉藤をギュッっと抱きしめた。
◆◆◆◆◆
車を走らせながら肝心な事を思い出す。
俺………碧の実家を知らない。
そして、直ぐに思い出したのが諭吉。
そうだ!!諭吉だ。
こんな時は話せる事に感謝する。
自分のマンションに急ぎ、部屋へと駆け足した。
急いで鍵を開けると、開いた瞬間に諭吉がドアの近くにいた。
「なんや、ニッシー早いやん」
きっと、足音と鍵の音で気づいたのだろう。
「諭吉、お前の実家に行くぞ!」
ガシッと諭吉を掴み、鍵をかけ急いで車に戻る。
「なんや?碧はどげんした?」
「親父さんが怪我したから帰ったんだよ」
助手席に諭吉を乗せ、車を走らせる。
「父ちゃんが?そうか、住所ば教えるけん、ナビば使え」
諭吉に住所を教えてもらい設定した。
「碧となんかあったか?」
諭吉の質問に西島は今までの出来事を話した。
「そいけん、言うたやろ?はよう交尾ばせろって、不安がるとぞ碧みたいな純粋な子は」
諭吉にまで注意され、少しへこむ。
「碧は初めてだから……怖がらせたくなかったんだ」
「いや、そいは違うばい。ニッシーが怖かったんやろ?碧を泣かせるかも知れんとか、嫌われるかもとかさ、すり替えたらいかんばい」
諭吉の指摘に言葉も出ない。
そうだ、本当は自分が怖かった。
嫌われたくない。そればかり……その結果、碧を泣かせてしまった。
反省しなければ。
「ニッシー、そげんへこむな。これからやっか!碧ば安心させてやれ」
諭吉に言われ、頷く。
そう、碧を安心させてやりたい。
大好きだと伝えたい。
◆◆◆◆◆
碧の実家に着き、見た感想は、
でかっ!
だった!!
かなり大きな日本家屋だ。
「家族で農業ばしよるけんな、こっちばい」
車を降りた諭吉に案内され玄関近くまでやってきた。
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