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家族になりたいです。 16話

「碧ちゃん、連れて帰ってきたんだろ?」 ニヤニヤしながら、西島の側にくる佐々木。 そして、首筋を指先でつつき、 「意外とだいたんだな、碧ちゃん」 と言った。 西島は慌てて首筋を手で隠した。 「うわー、顔真っ赤…………可愛いなあ、ちひろたん。冗談なのに」 と、からかわれた事に気付き、佐々木の腹をグーで殴る。 「あー、やったんすね?」 斉藤は目をキラキラさせている。 ここにいてはマズイ!! 根掘り葉掘り聞かれる!! 西島は無言でキラキラ瞳の斉藤と交わし、足場やに去る。 くそ!!佐々木め!! まだ、顔が熱い。 …………でも、礼を言わないといけない。 佐々木のおかげで、碧の気持ちを知ったのだ。 斉藤に支えられながら、後ろを歩いている佐々木。 腹をさすっている。 まあ、後からお礼言ってやる!!ムカつくけど。 ◆◆◆◆ 会社に着くなり、 「ちひろ、ちょっと来い!」 と神林に捕まった。 会社から、少し離れた場所に連れていかれ、 「お前はインフルエンザって事になっているから、1週間は会社出てくるなよ」 と言われた。 「は?」 「電話で言おうと何度も掛けたのに出ないからさ、ここで待ち構えてた」 電話? そう言われ、上着のポケットを捜すがない。 あれ?どうしたっけ? キョロキョロする西島に、 「碧ちゃんは親父さんが倒れたからって会社に有給だして貰ってるから、仲良く休めるぞ」 と肩を叩く。 「なんだ、それ?」 「昨日、早退した時にもしかしたら、碧ちゃん連れ戻すのに時間とられるかも知れないからって、佐々木がね」 と西島の後を指差す。 振り向くとニヤニヤした佐々木。 「お前ってさ、どんくさいからさ、色々考えるタイプだろ?考えるなら、時間が必要だし、上手くいったら、今度は色々とな………俺ってそういうとこだけ、気が利くんだよなあ。はい、お礼は?」 なんか、ムカつく言い方だけど、佐々木なりの心配と配慮。 不本意だけど、 「ありがとう」 と小さい声でいった。 「えっ?うそ、本当に言った」 佐々木は目を真ん丸にして西島を見ている。 その顔は何だか幻の珍獣を見ているようで、腹が立つ。 「恋が人を変えるって本当だな」 しみじみと言われ、西島はなんとなく逃げたくなった。 「うるさい!!しみじみ言うな!!」 ぷんすか怒りだす西島。 「はいはい、分かったから、君はもう部屋へお帰り」 神林に背中を押される。 「碧ちゃん、あれだろ?腰が立たないってやつ?初めてだもんな、碧ちゃん」 「神林までえええ!」 大人2人にからかわれている。 「戻ってやらないと、トイレとか困るだろ?ほら、他の社員に見つからないように裏から帰れよ」 と、神林は背中を押しながら裏手へ。 「あっ、車……」 返そうと思ったのに普通に電車に乗ってきてしまった。 「碧ちゃん、歩けるようになったらドライブでも連れていってやれよ、もう少し貸してやるから」 神林にそう言われ、「ありがとう」と素直に返事をする。 「佐々木じゃないけど、ほーんと、恋はなんとかだな」 クスクス笑う神林に言い返す事も出来ずに西島は帰っていった。 ◆◆◆◆◆ 西島が出かけた後、碧はシーツにくるまり、余韻に浸っていた。 憧れの西島に抱かれた。 嬉し過ぎて、悶え死ねる。 ちょうど、携帯にメールがきて、西島かな?と慌てて携帯を手にする。 メールは夏からと、斉藤から。 夏は「碧ちゃん、西島さんカッコイイね。お父さん達もカッコイイって言ってたよ、あと、肇兄が1人いじけてたよ。碧ちゃんを取られたって、………で?どう?エッチした?」と送ってきた。 きゃー、夏姉ちゃんってば!! エッチしたって………うん、エッチした。 僕は大人ですよ、夏姉ちゃん。 ニヤニヤしながら夏にメールをうつ。 ……ちひろさんは世界一カッコイイんだよ!あのね、お兄ちゃん達とかには内緒だよ?…………うん、エッチしたよ。 と送信した。 きゃー、言っちゃった!! 夏姉ちゃん、今、仕事中だよね?昼休みに電話かかってきそう。 碧は恥ずかしそうに足をバタバタする。 ソッコーで夏からの返信。 「碧ちゃんおめでと。あとから電話していい?」 と思った通りの返信。 ………恥ずかしいからエッチの感想とかは言わないからね!! と返信。 その後に斉藤からのメールを確認。 ………碧、西島部長のちんこ、でかかった?ちゃんと入った? きゃー、星夜くんてば!! さすがは斉藤、先に男経験をしているだけはある。 斉藤には色々とアドバイス貰ったし、これからも、色々と教えて貰いたい。 だから、 ……うん、入ったよ。色々ありがとう。また、教えてください。 と返信した。 すると、斉藤から着信。 わぁー!!と慌てたが電話にでた。 「もしもし」とでると、 「碧、おめでとう。良かったな」 元気な斉藤の声が聞こえてきた。 おめでとう。………誕生日じゃないけど、おめでとう。で嬉しいと思ったのは初めてだった。

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