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家族になりたいです。 18話

「会社どうしたんですか?」 抱きしめられた腕の中でそう聞く碧。 「神林が俺をインフルエンザだと会社に報告してね、休むはめになった。それと、碧の有給も神林と佐々木が出してた」 「えっ?そうなんですか?そしたら、ちひろさんと僕ってお休み出来るんですか?」 碧の顔がぱあっと明るく輝き、笑顔になった。 「アイツ等のいきなはからい」 「えへへ、嬉しいです!」 碧はぎゅーっと西島に抱きつく。 「引っ越しの手続きとかもしなきゃ行けないから、ちょうど良かったな」 「はい。」 本当にちょうど良い休みになった。 神林に感謝しなきゃな。あと、ムカつくけど、佐々木にも。 「神林先生と佐々木部長に僕、お礼言わなきゃ……いっぱいお世話になりましたから」 「神林にはお礼言ってもいいけど、佐々木はほっとけ!」 「ダメです!星夜くんの恋人だし、僕に頑張れって言ってくれました。ちひろさんにちゃんと気持ち伝えなきゃダメだって!」 「そっか、斉藤といつの間にかデキてたもんな。」 碧が居ると勘違いして部屋に飛び込んだ時に素っ裸な斉藤が居て驚いた。 「僕、賭けをしたんです。佐々木部長と」 「賭け?」 「もし、佐々木が僕を抱くって言えば仕事をほったらかして来るか?って」 ………あんにゃろううう!! 「……僕、ちひろさんは部長だし、凄く真面目だって思ってたから、来ないって………来て欲しいけど、来るって強く言えなくて迷ってたら、佐々木部長はちひろさんは来るから、自分が勝つって言いました。賭けに勝ったら気持ちをちゃんと言いなさいって、泣いてちゃダメだって………ちひろさんを信じなきゃダメだって」 碧は西島の胸に顔を埋めて、 「佐々木部長の言う通り、来てくれました。その時、嬉しかったけど、その反面、信じてなかった自分が嫌になりました。佐々木部長は迷わずに来るって言ったのに……ごめんなさい。」 涙声になった。 西島は碧を抱きしめて、 「馬鹿だなあ、碧は………泣かなくていいのに。碧が迷いなく来るって言えない程に俺は碧を信じさせてあげられなかっただけなんだから。不安にさせたのは俺だよ。泣かせたのも、悩ませたのも………そして、一番ダメなのは俺だよ。」 そう言った。 「ちひ、ちひろさんはダメじゃないです!」 顔を上げた碧は大きな瞳を潤ませている。 「不安だったんだ。碧を大事にしたいって言い聞かせて、碧を抱くのが怖かった。泣かれて嫌がられて、逃げられるかもって……だから、俺も碧を信じてなかった。ほんと、ダメダメ野郎なんだよ」 「ちが、違います!それは星夜くんも言ってました!碧を大事にしてる証拠だって!僕だって分かってたのに、勝手に不安になっていただけです」 ウルウルと瞳を涙でいっぱいにして、必死に訴える碧。 「お互い様……って事かな?」 そう言って西島が笑うと、 「そうみたいです」 碧も笑った。 「碧、俺はね、凄く不器用なんだ……碧が思ってるほど、カッコよくもないし、余裕もない。いつ、碧を誰かにとられるかドキドキしてしまう」 それを聞いた碧は、凄く嬉しそうに笑った。 「えへへ、嬉しいです。僕にそんな弱さとか見せてくれて………ちひろさんはカッコイイです。不器用でも、余裕なくても、全部がカッコイイです。凄く好きです。」 うわああ!!碧!! なんて、可愛い事を言うんだあ!! 「碧に愛想つかされないように頑張らないとな」 碧の頭を撫でる。 「ぼくも!僕も頑張ります!!もっと、ちひろさんをメロメロにさせます!」 鼻息荒くいう碧。 「メロメロ?」 「はい。星夜くんがもっと、エッチを勉強して、ちひろさんをメロメロにしなさいって!」 力む碧。 あああああ!もう、斉藤は!! 「碧、斉藤くんの言う事は聞いてはいけません!!アイツは変態だから」 まるで親のような気持ちで説得する西島。 「えー、だってえ、ちひろさんをもっと気持ち良くさせたいです!だって、色っぽいんですちひろさん!声もエッチだし、僕ばっかり気持ち良くさせて貰ってるもん、だから、ちひろさんをいかせたいです!」 拳を握る碧。ああ、きっと、自分では凄い事言っているとか気付いてないんだろうなって西島は思う。 ほんと、何にでも一所懸命なんだなあって、微笑ましく思うけれども、斉藤に釘を刺さなければダメだ。碧を汚される。 「俺はもう碧にはメロメロなんだけどなあ」 西島は碧の上に乗り、そのまま唇を落とした。 ◆◆◆◆ キスを沢山して、抱きしめる。 「あの、ちひろさんのお姉さん結婚するんですよね?」 腕の中で佐々木に聞いた話を切り出す。 「あっ、うん……」 「お姉さんってどんな人ですか?僕も会ってみたいです!」 うっ………碧をアイツに会わせたくない!! あのショタ大好きアホミサキに会わせたら恐ろしい事になる。 「俺も碧の家族に会ったからな……まあ、いつかは会わせるけど、ちょっとクセがあるんだ」 西島は引きつり笑いをする。

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