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僕が寂しい時も側にいます。

いつか会わせると言う言葉に碧はドキドキ。 自分が知らない西島を少しづつ知りたい。 「碧をちゃんと恋人だって紹介したいし」 「ええっ!!」 「ええっ!!って何?会いたいって言ったのに?」 驚く碧に不思議顔。 「いいんですか?ぼ、僕を恋人だって……」 あわあわと、落ち着きがない碧。 「碧は嫌?」 「嫌じゃないです!全然嫌じゃないです!」 碧は起き上がり頭をブンブン振りすぎて、くらりっとメマイを起こす。 「落ち着け碧」 クスクス笑う西島。 「碧を自慢したいのが本音」 「じま、自慢?僕が自慢ですかあ!!」 さらに落ち着きがなくなる碧。 西島も起き上がり、頭をポンポンと軽く叩いて、 「俺の自慢。他に自慢するものないから」 ううっ、ちひろさん!! 嬉しいです。凄く嬉しいです。 目をまた潤ませる碧。 「あー、ほら、また泣く」 西島は優しく微笑みながら、引き寄せる。 「だってえ………」 グスグス鼻をすする。 「今日はどうする?このままベッドでグダグダするか?動けるなら部屋の荷物をまとめに行く?」 「う、動けます!」 碧はベッドを降りてみる。 朝よりはダルさはだいぶん、マシ。 でも、まだ歩きにくい。 「無理するな。ダンボールとか貰って来なきゃいけないから、今日1日は碧とゴロゴロしたい」 ベッドから降りた碧を後から引き寄せて、膝の上に抱っこする。 「はい……したいです。」 えへへと嬉しそうな笑顔。 でも、 「単品でしたいですは今は言うな……変な気持ちになるから」 膝に抱いた碧の肩越しに顔を置く西島はしたいです。という言葉に股間を元気にさせるのであった。 ◆◆◆◆ パジャマでゴロゴロって、何時もの休日だけど、今は1人じゃない。碧が居る。 「ちひろさん、電話鳴ってます!」 「へ?」 身体を少し起こすと、確かに着信音。 しかも、ベッドの下から。 ああ、ベッドの下に落ちてたのかあ。と電話の存在を思い出した。 諭吉がモソモソと下へ入り込み、携帯のストラップを噛み、器用に持ってきた。 「わあ、凄い!諭吉、おりこうさんだね」 諭吉を抱き上げ、電話を西島に渡す。 「にゃあ~」 諭吉がにゃあにゃあ鳴くので西島は電話を持って寝室から出た。 「諭吉、ちひろさんは電話なんだから、静にね!」 頭を撫でる。 諭吉が鳴いていたのは、 「交尾すっとに電話とか鳴ったら気が散るやろうって、隠しとったとば、忘れとったわ。すまん」 と言っていたのだ。 ◆◆◆◆ 猫に気を使われた。 いたたまれなくて寝室を出たけど、出て良かったと思う。 電話をかけてきたのはミサキだったから。 「もしもし」 めんどくさそうに出る。 「ちよっとお、何そのめんどくさそうな声!」 一発で見抜かれた。 「何の用だよ?」 「ちーちゃん、インフルエンザだって?専務から聞いたの。大丈夫?看病に行こうか?」 ちっ、専務め!余計な情報をめんどくさい奴にバラしやがって。 「来なくていい。死にたくないから」 「ちょ!それ失礼だよ!」 「用、それだけなら切る」 「まだ、あるわよ。あのね、今度食事しようかって」 「したばっかだろ?」 「次はお父さんも一緒なの。お父さん、ちーちゃんに逢いたがって」 「断る!」 ミサキがまだ話している途中で西島は電話を切った。 そして、直ぐに電源を落とす。 絶対にかけなおしてくるから。 そして、携帯をテーブルに置き、寝室に戻った。 「会社からですか?」 諭吉を抱っこした碧がニコニコしながら聞いてくる。 「あ、神林………」 とっさに嘘をついた。 「また、心配してました?」 「あいつ、心配性だから」 いつもより、声を上げた。 動揺している自分を悟られたくないから。 「そうですよね。いっぱい心配してくれますもんね」 ニコニコ笑う碧の側に座り、諭吉ごと、ぎゅーと抱きしめた。 「わあ、どうしたんですか?」 「可愛いなあって」 「ホントですかあ?うれしい」 無邪気に笑う碧に癒やされた。 抱きしめている内にイヤな気持ちが薄れていくのを感じた。 ◆◆◆◆ 「あれ?神林先生だあ」 斉藤はスーパーの手前でダンボールを手にした神林に遭遇した。 斉藤の隣にはもちろん佐々木がいる。 「神林、なにしてんだ?」 佐々木に聞かれた神林は、 「千尋にダンボール欲しいってメール貰ったんだよ」 と答えた。 「えっ?なんで?」 「碧ちゃんと一緒に住むんだとさ」 「マジか!」 佐々木は斉藤と顔を合わせ、ニヤリと笑う。

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