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僕が寂しい時も側にいます。 12話

「碧、部屋へ帰ろう」 「えっ?荷物は?」 キョトンとする碧。 「明日でいいよ。今日は碧ともっとイチャイチャしたい。でも、俺の部屋の方が落ち着くだろ?」 イチャイチャ………その言葉に碧は頬を染めて嬉しそうに「はい!僕ももっと、イチャイチャしたいです!」と答えた。 くううう!!こんなに可愛い碧を他の野郎どもに見せたくない! 西島は諭吉を抱っこした碧を連れ玄関へ。 外へ出ると視線を感じて何気なく後ろをみた。 すると、隣りの部屋のドアが少し開いてて、誰かこちらを見ているようだった。 隣りの野郎共か!! イラっとした西島はジロリと睨んだ。 気迫に負けたのか見つかったからバツが悪いのかドアが静かに閉まった。 なんとなく勝利したっぽく感じた西島。 「あ~、彼氏めっちゃイケメンだったぞ!」 「マジかあ~」 と、たぶん、ヒソヒソ話をしているつもりだろうが、西島の耳には届いていた。 彼氏。 その言葉に西島はニヤニヤしてしまう。 彼氏……悪くないなあ。 碧を連れ、少し機嫌良く自分の部屋に戻って行った。 ◆◆◆◆◆ 「そんなわけで、明日手伝いに来いよ」 部屋に戻り、西島は神林に電話をかけている。 神林の前に斉藤にも手伝いに来て欲しいと頼んだ。 斉藤は二つ返事でOKをくれた。 意外とアイツは良い奴かも!なんて、調子が良い事を思ってしまった西島である。 そして、少しでも人数が欲しくて神林にも電話を入れているのだ。 「もう手伝う人数に入ってるんだろ?いいよ」 「サンキュー」 「でも、良かった。てっきりまだ怒ってんじゃないかって思ってた」 「えっ?なんで?」 「なんでって、ミサキちゃん」 「ああ、忘れてた」 「忘れてたのかよ。まあ、ちひろらしいけどね」 神林はあははと笑う。 学生時代からこんな感じ。 「ミサキちゃん心配してたぞ。お見舞い断られたって」 「部屋に来られたら困る」 「碧ちゃんのこと?ミサキちゃんには言わないのか?あの子偏見とかないだろ?」 「………アイツ、かなりのショタコンなんだよ!別にとられるとかそんな心配じゃないんだけど、碧はミサキのドストライクなんだよ!毎日来られたら困るんだ!」 「えっ?えっ?どういう意味?ミサキちゃんってショタコン?碧ちゃんを知ってるのか?」 「前に偶然碧を見かけて可愛い可愛いってうるさかったんだ。まあ、可愛い男の子が好きってだけで襲いたいとかそんなんじゃないとは思う。アイドルが好き……そのレベルだろ?」 そうじゃないと困る!!と西島は思った。 「なんだかんだ言ってミサキちゃんと仲良しみたいで安心したよ」 クスクス笑う。 「はあ?」 「それだけミサキちゃんの趣味とか知ってんだから」 「うるさい!!とりあえず明日来いよ」 ちょっと機嫌悪そうな声をで一方的に電話を切る西島。 でも、きっと、不機嫌な理由は明日は忘れている。それが西島だ。 ワガママな無茶振りも、喧嘩した事を次の日ケロリと忘れている所も全部含めて好きだなあって思う神林であった。 ◆◆◆◆ 「明日、碧の引っ越しの手伝い来て欲しいって」 斉藤はベッドの隣で寝転がってスマホを弄る佐々木に西島からの電話の内容を話す。 「へぇ~、珍しいな。絶対来るなって言うのに」 「なんかね、碧の隣の部屋の野郎どもがどうも、碧の部屋を聞き耳たててたらしくって、碧が危険な目に遭わないようにって」 「超過保護だねえチヒロたんは」 「溺愛って感じ?でも、聞き耳たてられるってなんで知ってるんだろ?」 「隣が聞き耳たてる時って、ひとつしかないだろ?エッチしてる時。それを聞いてて、壁の向こうで盛り上がってしまって見つかったパターンじゃね?」 「あーね、あー、確かに!!へぇ~、そうか、碧の部屋でもやってたのかあ。へぇ~、わあー、やばあ、想像したら勃起しそう」 斉藤は想像したのかベッドで悶えている。 「ウチの王子様は万年発情期でいらっしゃる」 佐々木は斉藤を引き寄せると組み敷いた。 「俺も溺愛してるの気付いてた?」 「とっくに気付いてます!」 斉藤はそう言って佐々木の首筋に両手を回す。 ◆◆◆◆ 「明日、星夜くん来てくれるんですか?」 明日、斉藤達が手伝いする事を承諾してくれたと話すと碧は目をキラキラさせて嬉しそうだ。 碧の目キラキラに弱い西島は呼んで良かったとちょっと思った。 何をしても、何を言っても碧は今みたいに目をキラキラさせてくれる。 自分に凄く興味があると身体全体で言ってくれているようで嬉しい。 「明日の為に、僕!早く寝ます!」 元気良くそう言って諭吉と供にベッドに。 自然にベッドへと入ってくれる碧にムラムラしながら西島も明日の為に寝ようと誓う。 ムラムラ~~、治まれ!!と念を送りながら。

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