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僕が寂しい時も側にいます。 18話
「はい。こんにち………えっ?西島?えっ?えっ?」
碧はミサキの自己紹介で、かなり驚いた様子だ。
フードコートで会った綺麗なお姉さんがちひろさんのお姉さん?
パニック気味の碧は神林へ助けを求めるように彼の背後に思わず隠れた。
ど、どうしよう。ちひろさんのお姉さんだなんて。
ちひろさんからいつか紹介するって言われた……
ぼ、僕を子供だって思ったみたいだし、ち、ちひろさんの恋人だって知ったらお姉さん嫌がるかな?
だって、大人でカッコイイちひろさんの恋人がこんな中学生か高校生にしか見えない奴で、お姉さんだって、凄く綺麗で大人の女性だ。
うう、どうしよう。
「えっ?あれ、碧くん……あの、お姉さんは怖くないわよ?」
神林の後ろに隠れた碧に戸惑うミサキ。
も、もしかして、私ってばいやらしい顔してたのかしら?
だって、こんな可愛い男の子なんだもん。
理想のショタっ子が目の前に!!
あ、いや、私は変態ではない。
ただ、こんな可愛い子は大人の男性に飼われて欲しいとか願望がね。
あ、うん、友達に腐女子多いけど、私ノーマルよ。
うん、ノーマル!!
でも、なんで神林くんの背中にかくれるのかしら?
凄く懐いて…………
ミサキは神林をじーっと見つめて、ひらめいた。
そうか!!この子と神林くん………
神林くんって彼女の話してこないし、学生時代はもしかしたら、ちーちゃん好きなのかな?って密かに思ってた。
神林くん普通にカッコイイし、それに碧くん………可愛いショタっ子。
もちろん、神林くんが上よね。
やば!!なにこのトキメキ!!
「か、神林くん、私、動悸が激しいから帰るね」
「えっ?大丈夫なの?送ろうか?」
「いえ!!いいの!神林くんは碧くんと………ね。」
ミサキはチラリと碧をみて、頬を赤らめる。
やだ~~、もう!神林くんと碧くんお似合いだわ。
くうう!!友達に無理矢理見せられた同人誌に出てくる年の差カップルみたーい。
「あ、碧くんまたね」
碧に手を振る。
碧は慌てて頭を下げた。
ううっ、どーしよ。ちひろさんのお姉さんに上手く挨拶出来なかったよううう!!
なんて凹む。
ミサキが帰っていく姿を見ながら神林は、様子が変だったのが気になった。
………ちひろが言ってたな。碧みたいなショタっ子はミサキはドストライクだって。
顔赤かったもんなあ。
姉弟2人して碧ちゃんに悩殺されたのか。
「神林先生、どうしよう。僕、ちひろさんのお姉さんにちゃんと挨拶出来なかったです」
ウルウルと瞳を潤ませた碧が神林を見上げている。
あ~、こんだけ可愛ければ悩殺されるわな。
「大丈夫だよ。ミサキちゃん優しいから。それに碧ちゃん気に入られたみたいだよ」
「えっ?本当ですか?」
「うん。碧ちゃん可愛いから」
神林はそう言って碧の頭をくしゃくしゃ撫でる。
◆◆◆◆
やだ!頭くしゃくしゃとか撫でちゃって!!
ミサキは車に乗り込み、コッソリと2人の姿を見ていた。
神林くん、全然恋愛の話とかしてこないから心配してたけど、そーいう事か。
そりゃ、世の中には偏見持ってる人とかいるし、親しい人には特に話にくかったりするわよね。
ちーちゃんの恋愛事情だってちょっとは知ってるんだからね!!
アメリカ居た頃に男の人と住んでた事あるし。
ルームシェアかと思ってたら、キスしてんの見た………
ミサキは西島が学生時代にアメリカ留学してた時に遊びに行った事があり、その時に偶然見てしまったのだ。
別に嫌だとか思わなかった。
確かに彼女とかの話しなかったから、なんとなく、そうかな?なんてチラリと思っていたら、そうだった。みたいな?
ちーちゃんが幸せならいいんだと、ミサキは思った。
神林くんも、そうかあ。
やっぱ、ちーちゃんの事好きだったりしたのかなあ?
相談とかしてくれたらいいのになあ。
ミサキはそんな妄想をしながら車を走らせた。
◆◆◆◆◆
あれ?ミサキの車?
碧が戻って来ないので心配した西島は外に出ていた。
そして、坂を下る見覚えのある車を見かけたのだ。
え~、まさか碧に会ったりしてないよな?
「ちひろさん」
碧の声がした。
「悪い、ジュース買うのに時間かかって」
碧と一緒に神林も居る。
「なあ?いま、ミサキの車見たけど」
その言葉で碧は、
「ち、ちひろさん!どうしましょう!僕、お姉さんにちゃんと挨拶出来ませんでした!」
と涙目で訴えてきた。
や、やっぱりかあ………
ミサキに会ってしまったか………あのショタコンに!!
「ぼく、緊張しちゃって神林先生の後ろに隠れてしまって~~、ごめんなさい」
今にも泣き出しそうなのは何でだろう?
可愛いからいいけども?
なぜに泣き出しそうなのかを聞く西島。
「ぼく、中学生とか高校生とか子供っぽく見られて、おと、大人のちひろさんにあわないかもとか、思っちゃって、お姉さん、僕みたいなの嫌かなって」
グスグス泣き出す碧を引き寄せ、とりあえず部屋の中へと入れた。
こんな可愛い碧を隣の野郎にでも見られたらたまらない!
「碧、気にする事ないよ」
頭を撫でると、碧はごめんなさいと繰り返す。
「碧ちゃん、そうだよ、気にする事ないよ。ミサキちゃん、碧ちゃんを可愛い可愛いって言ってたし」
神林の言葉に西島は、
「あ~、やっぱり食いついたかあ」
とげんなりとする。
自分の恋人だと知ったら絶対に碧に会いにきたいとうるさくなるからだ。
「食いつく?」
キョトンとする碧。
「みさ……姉はね、碧みたいな可愛い弟が欲しくてたまらないんだ」
「えっ?ちひろさんが居るじゃないですか?カッコイイ弟」
「違う、ミサキが欲しいのはお姉ちゃんと呼んで可愛く笑う弟。碧みたいな素直な子」
ますます分からない。という顔をする碧。
何がダメなんだろう?ちひろさん、こんなにカッコイイのに。
「まあ、とりあえずは大丈夫だからさ」
ニコッと微笑む西島をみて、碧は少し安心したようだった。
◆◆◆◆
「外からニッシーと似た臭いがしたけん、外行ったら、なんね、ニッシーの姉かいな?よう似とったぞ」
ジュースを飲みながら休憩中の西島の隣に諭吉がちょこんと座る。
「似てない」
「いや、似とるばい」
「だから似てないって」
「ニッシーは頑固でいかんばい。碧には素直なくせに」
諭吉はそう言うと、碧の膝の上に座る。
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