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10話
「ちひろさん……どうやったらこんな身体になりますか?ご飯同じ物食べてるから僕もこんな風になるはずなのに」
碧は西島の身体を手を伸ばす。
自分より硬い身体。硬いのは筋肉によるもの。胸筋も腹筋も自分の身体より硬くてカッコイイ。
騎士の身体はきっとこんな感じだろうなって碧は思う。此上も西島より背が高くてガタイが良い。きっと西島よりもっと筋肉質なのだろう。
いいなあ……と羨ましい。
自分は背丈は男子にしては低い方だし、身体もこんなに筋肉質ではない。色も白いし。
「ずるいですう」
指先で身体を押しなら頬を膨らます。
いや、西島は悪くないと分かっている。これは体質なのだ。
親の遺伝もある。
父親は平均身長だと思う。兄達も……せめて身長だけでも……もう伸びないよね?
「ちひろさんのお父さんも背が高いんですか?」
つい、聞いてしまう。
碧の質問に「……あ、そうかな?」と答える。
「身長ってもう伸びませんよね?」
「急にどうした?」
碧の質問に笑いながら聞く西島。
「僕もちひろさんとか此上さんとか神林先生みたいに男らしくなりたいんです!あ、スポーツジムに通おうかな?そしたら少しはムキムキになりますよね?」
良いこと思いついたとばかりに瞳をキラキラさせる碧。
ムキムキで男らしい碧……。
碧の可愛らしい容姿は彼らしいし、ムキムキな姿は想像出来ない。
「背は……まだ伸びるかもだよ?俺も二十歳までは伸びてたから碧はまだ18だし」
「ほ、本当ですか!!」
大きな瞳がさらに輝きを増す。
「うん」
西島は頭を撫でる。
「じゃあ、苦手なピーマンをもっと食べれるようにしような」
グリグリと頭を撫で回すと「え……ピーマン」とキラキラした表情から不安そうな顔へとチェンジ。
「す、好き嫌いしたら背って伸びないんですかあ?」
キラキラしていた瞳が急に潤んで、それがまた可愛らしい。
「そうだな……俺は好き嫌いないぞ?」
「……じゃあ、僕……身長伸びない……です」
しょぼんと俯く碧。
くそう!!こんな理由でしょんぼりとか可愛いんじゃあ!!と西島は碧の身体を抱きしめる。
「碧は碧でいいんだよ?」
「僕……ちひろさんを守りたいですもん……此上さんみたいに騎士になりたい」
ボソッと呟く。
騎士になりたい……それは子供が口にする言葉。それを言ってしまう無邪気さと西島を守りたいと思う健気な気持ちが嬉しい。
碧だって男で好きな人を守りたいという気持ちは分かる。
「ありがとう……充分に守って貰ってるけど?」
「えっ?」
碧は顔を上げて西島を見つめる。
「側に居て……俺を好きだって言葉にしてくれているだけで充分に俺を守っているよ?俺を必要としてくれる人が居るっていうのは凄く安心出来る事だから……守るって身体を張って守るとかそういうモノだけじゃないだろ?精神的……これが1番、人には大丈夫だと思うからさ」
「……僕はちひろさんを守っているんですか?」
「うん、そうだよ」
その言葉に碧はまた希望を持ち直したって顔をして笑う。
「でも、体力は持ちたいです……だって、ちひろさんを抱えれないですもん。此上さんと神林先生はちひろさんを抱っこ出来ます……僕は持ち上げれないから」
おおうっ!!と西島は彼らにお姫様抱っこされた消したい記憶を思い出した。
此上には特に色々と……ちくしょう!!
なるべく酒は控えよう。碧に迷惑かける……と心に誓う。
「じゃあ、ピーマン」
西島はわざとピーマンを言葉にする。話題を逸らしたいのだ。
碧は案の定、それ以上は西島の黒歴史に触れなくなった。
「それより碧……碧が俺の身体を触りまくるから……下、限界なんだけど?」
黒歴史よりエロい事が優先だろう?西島の下半身はガチガチなのだ。
碧の細い指先が身体を這いまくったのだから。
それにエッチな下着のせいである。
「ほ、本当……ですね?当たってます」
抱きしめられている碧の身体に勃起した西島のモノが当たっている事に気付いた。
「碧がエッチだから……本当、斉藤はムカつくくらいに碧に似合う下着選んでる」
西島は抱き締めていた碧の身体を離すとベッドに寝かせた。
本当、似合いすぎだろ?
碧の下着姿は目の保養と活力と滋養強壮になる。どんな栄養ドリンクも勝てない程。
「ちひろさんもエロいです」
頬を赤くして答える碧。
頬が赤いのは紐パンからパンパンにはみ出した西島の陰茎のせい。
裸で勃起した姿よりもこういった布が少ない下着姿の勃起というのはどうしてこんなに目のやり場に困るのだろう?と碧は思う。
「エロいのは碧のせいだろ?責任取って貰わないと」
西島は碧の上に覆いかぶさりながらに言う。
「責任……」
自分に興奮してくれている事が嬉しくなる碧。自分は子供っぽくて大人の色気に憧れるのに……そんな自分に……。それは責任取らねば!!と突如燃える碧は「とります!」と手を西島の股間に伸ばすとはちきれんばかりの布を少しずらして陰茎を掴む。
「な、舐めて責任とります」
頬を赤くして口走る碧。
突如の言葉に「お、おうっ」とつい、色気もカッコよくもない素の言葉が出てしまった。
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