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12話

◆◆◆◆ たっぷりと愛し合って、互いに満足して眠りにつく西島と碧。 「ほんなごて、よう盛って」 諭吉は寝室へと入ってきた。 「あげな奥手やったとに碧もニッシーも、慣れって凄かばい」 碧と西島の間にモソモソと入ると丸くなる。 「ニッシーもまだまだ発情期ばい、すごかなあ人間は……疲れんとやろか?」 西島の匂いをヒクヒクと鼻を動かして嗅ぐ。 「なんか、最近、ニッシーの匂いが変わってきよる、やっと大人になったとかいな……本当、世話の焼けるばい」 諭吉は長いモフモフの尻尾で西島の顔をペシっと叩く。 尻尾の毛が鼻に入りムズムズとして目を開けた西島。 目の前に毛玉。 「……諭吉」 毛玉の正体が諭吉だと直ぐに分かる。 諭吉は返事をせずに尻尾だけ動かす。 パフンとまた鼻に当たり「わざとだろ?やめろ」と西島は文句を言う。 「ワシの尻尾の近くに顔があるとがいけんとやろ?」 「いや、お前が勝手に来て寝てるんだろ?俺が先に寝てた」 「ワシがどこで寝ようか勝手ばい?邪魔せんやったっちゃけん文句ば言うな」 確かにどこで寝ようが諭吉の勝手だ。返す言葉がない。 「満足したや?」 「ちょ!!お前、意味分かって聞いてんのかよ!」 声が思わずデカくなり、碧を気にする西島。 碧はセックス疲れなのかグッスリと眠っている。 諭吉に起こされて完全に目が覚めてしまった西島は碧を起こさないようにゆっくりとベッドを抜け出す。 床に落ちた下着を拾うがそれは星夜からの土産の下着。穿く気にはなれずに仕方なくシャツだけを羽織った。 変質者みたいだな……と自分で思った。 キッチンへ行くと冷蔵庫を開ける。すると、その音に反応したのか諭吉が軽快に走ってきた。寝てたくせに。 「ニッシー、マグロ食うとや?」 「真夜中にマグロなんて食べない」 西島は牛乳パックを取り出すとマグカップにそそぐとそのまま電子レンジへと入れる。 「ニッシー、ワシも飲む」 「お前な!太るぞ?」 「ニッシーは太らんとや?」 「うるさい!これくらいじゃ太らない」 足元の諭吉を睨む。 「そいならワシも太らん」 「あっそ、」 諭吉は言い出すと聞かないし、騒がれたら碧が起きるかもしれないので少しだけ諭吉用の容器にミルクを入れた。 諭吉は目を輝かせてミルクに飛び付く。 「本当、お前って」 ぺろぺろとミルクを舐める姿は可愛い。黙っていると普通の猫。 電子レンジから電子音。西島用の牛乳も温まったようだ。 その牛乳に蜂蜜を入れる西島。 「ニッシーワシも!」 「蜂蜜?猫にあげてもいいんだっけ?」 「少しなら良かってじいちゃん言いよったばい」 「お前、舐めたいからって適当に言ってんじゃないだろうな?」 西島は上着のポケットからスマホを取り出し、ネット検索をかける。 少しなら良いみたいな事が書かれいたので小さいスプーンに少しすくうと諭吉の口元に。 ぺろぺろと小さい舌で舐める諭吉は可愛い。 「本当、猫飼ってんだなあって思う」 「現にこうとるやん」 「そうだけど……」 猫に突っ込み受けて苦笑いをする西島。 「ニッシー、初めておうた時より、満足そにしとるばい?」 「は?」 それはどういう意味なのだろうか?さっき、満足したや?と聞かれた……このハレンチ猫!!と心で突っ込み入れる。 「心がって意味ばい?ちゃんと笑うようになったし、前のニッシーは作り笑いやったけんな。営業スマイルって言うやつ」 「……お前、なんかじいさんっぽい」 「ワシはニッシーよりも遥かにじいちゃんばい?姿がプリチーけん忘れてるとやろうけどな」 確かに……猫の方が人間より歳を取るのが早い。 「ニッシー、あとちょっとで大人になれるばい?」 「いや、俺はもう大人だから」 「いんや、違うばい……まあ、そんうち分かるやろう」 諭吉は西島の手をモフモフの尻尾でパシッと叩くと寝室へと戻って行った。 「なんなんだよ……」 1人残された西島は意味も分からずぼーっとしていた。

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