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ずっーと、好きです。11話

◆◆◆◆◆ アルバムは西島が探し出してきた。 改めて自分の写真を見られると少し恥ずかしい碧。 「碧は小さい時から可愛かったんだな」 西島の言葉に碧は照れたように笑う。 「諭吉の子猫時代も可愛いな」 幼い碧とまだ小さい諭吉の写真を見つめて西島は目を細める。 「当たり前ぞ?ワシは子猫の頃からやーらしかった」 「やーらしい?いやらしいって意味か?」 諭吉の言葉にフフと笑う西島。 「諭吉、やーらしいって言ってるんですか?それ、可愛いって意味です。おばあ……祖母がよく使います」 「えっ?そうなのか?へえ、知らなかった」 「諭吉、凄く可愛かったです。今も可愛いですけど」 「碧の言う通りばい、ワシは昔も今も可愛かと!!碧は今よりもっと女の子みたいやったけん、男の子に人気あったな、特にコイツは碧にベッタリやった」 諭吉は碧の横に写っている男の子の顔を前足で踏む。 なに?人気だとおおお!! 碧にちょっかい出す奴はたとえ、子供でも許さない!! 「碧、この子誰?」 諭吉が前足で顔を踏んだ男の子を指さす。 「あっ………この子が直樹くんです。僕に嘘つきって言った子」 「えっ?」 この子が…………。 碧が諭吉の声を聞けなくなった原因を作った子。 ごく普通の男の子。やんちゃそうな……… 「この頃は幼稚園嫌いだったけど、懐かしいです」 ふふっと笑う碧。 「碧………」 西島は碧に手を伸ばして頭を撫でた。 「ちひろさん………えへへ、もう平気ですよ?子供の頃だし。なんで嘘つきって言われたのか原因も思い出せたし………だって、嘘つきって言っちゃいますよ。猫が話すなんて言ったら」 頭を撫でられた碧はそう言って笑ってみせる。 「直樹くん、いま、何してんのかな?大学生かな?僕の事とかもう忘れちゃったかな?」 「忘れてはいないだろ?……1番仲良しだったんだろ?」 「はい。直樹くんの家で遊んだり、たくさん遊びました」 1番の仲良しかあ………この頃の碧はかなり可愛いから意外とこの直樹くんの初恋は碧だったりして…………なんて考えたら、さっきのジェラシーがメラメラと復活! 碧の家が引っ越してくれて良かったと思う。 直樹くんは碧を女の子と思ってたのか、男の子だと思ってたのかは分からないけど……いや、完全に女の子だと思うだろ?こんなに女の子よりも女の子っぽい格好の碧みたら。 西島はうーん、と唸りながら考え込む。 「ちひろさんどうしたんですか?」 唸る西島に首を傾げる碧。 「……いや、碧が可愛すぎて」 「えっ………ち、ちひろさん……恥ずかしいです」 顔を真っ赤にする碧。 照れる碧は悶える程に可愛い。 こんなにも可愛いんだから、いくら子供とはいえ、碧に惚れないわけがない!! 「な、直樹くんとはどんな遊びしたんだ?」 「えっ?あっ、えーと、お絵描きとか……川で遊んだりとか、子供用のビニールプールでも遊びましたよ」 川………プールだとおおお!! 裸になるじゃないか!! 西島はそれは危険だと震えがくる。 「へんな事されなかったか?」 「はい?」 変な質問をしてくる西島にキョトンとなる碧。 ………あ、いかん、俺何言ってるんだ? 興奮して変な事を言ってしまったが、ふいに我に返る。 「いや、なんでもない………こんなに可愛い碧をみたら心配しちゃうんだよ。直樹くんとか」 「直樹くん?どうして直樹くんですか?」 「女の子みたいだからさ、間違えられて惚れられたりとかさ」 「………えっ?直樹くんは僕が男だって知ってますよ?一緒にお風呂とか入るし、プールの時だって、一緒に着替えますから」 ………なん………だと!!! 「碧の裸を見たのか直樹くんは?」 凄くグイグイとくる西島に碧はちょっと引き気味で、 「だ、大丈夫ですよ?だって幼稚園の時ですよ?今とかじゃないし」 「今だったら直樹くんは俺がボコる!!俺の碧の裸を見るなって!!」 鼻息も荒くそう言い切った西島。 …………ちひろさん、俺の碧とか!!俺の碧とか!! 嬉しいです。 「ち、ちひろさん、僕の裸は誰にも見せませんから!!ちひろさんにしか見せたくないですもん」 「碧……」 西島は思わず碧をギュッと強く抱きしめる。 ……………なんや、アレは……… 諭吉はバカップル2人を遠巻きに見るように冷蔵庫の上にジャンプ。 なんや、ハートが飛びよるばい。 最近のニッシーは変態度が増してきたばい。 そんだけ碧ば好いとうちゃろうけどな。 ばってん、こげん、アホとは思っとらんやった。 ◆◆◆◆◆ 朝、碧は西島よりも早起きをした。 昨日はイチャつくだけイチャついて、眠りについた。 今日の早起きの理由は区役所に転移届けを出しに行くからだ。 きちんと、西島の部屋で同棲出来る記念すべき日。 いつもは西島が朝ごはんを作ってくれるけど、今日は自分が!!と思ったのだ。 西島をみると、まだ熟睡している。 しかも、寝顔が可愛い。 髪を整えていない西島は幼くて可愛くて年の差があるなんて思えない。 えへへ、可愛いです。ちひろさん。 寝顔にキスして、碧は台所へ。 僕!!がんばっちゃいますからね、ちひろさん!!!

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