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ずっーと、好きです 12話

西島のシャツのままで買って貰ったエプロンをつけて、朝食の用意を始める碧。 トースト焼いて………あ、ちひろさんが作ってくれるフレンチトーストにチャレンジしてみようかな? 作り方はちひろさんのを見てたから分かるし。 それから……碧はメニューを考えながら朝食を作る。 美味しくできたらちひろさん誉めてくれるかな? 「碧、美味しいよ………デザートは碧でいいだろ?」 「えっ?ちひろさん……朝から…」 「碧が可愛いからだよ」 …………な~んちゃって!!!えへへ。 そんな妄想していたら、足元で諭吉がにゃーーーー!!!と鳴いた。 「おはよ、諭吉、ご飯?」 「違うばい!トースト!!焦げよる!!」 諭吉はそう叫ぶが碧にはにゃあにゃあ鳴いてるようにしか聞こえない。でも、焦げた臭いに碧も気付いた。 「わあ~~!!やばい!!」 慌てる碧。 火を止めるのに一生懸命で、肘がシンク側のカップに当たり、シンク内へガタンっと大きな音を立てて落ちた。 ◆◆◆◆◆◆ ガタン!!! その音で西島は目を覚ました。 何か音がした? 目を開けると横に寝ているはずの碧がいない。 今の音って碧? 何かあったのか!! 西島は素早く起き出すと、キッチンへと走った。 「碧!!!」 勢い良く名前を呼ぶ。 「ちひろさん………ごめんなさい」 しょんぼりとした碧が立っていて、いや、しょんぼりというより泣きそう。 「今の音は?碧怪我とかしてないのか?」 「カップが落ちたんです………ちひろさんに朝ごはん作ってあげようと思って……」 碧の大きな瞳はウルウルと水分を含んできた。 朝ごはん? そう言われてみたら、何か焦げた臭いがする。 「フレンチトースト焦がしちゃった……」 あ、この臭いってフレンチトーストだ。 フライパンの中に焦げたフレンチトーストを見つけた。 泣きべそかいている碧の頭を撫でる。 「ありがとう碧。早起きして、頑張ってたんだね」 「お、怒らないんですか?」 「えっ?どこに怒る要素があるんだ?早起きして朝食作ってくれてたんだろ?怒るよりもありがとうだよ?」 ニコッと笑う西島。 ちひろさん………優しい。 西島の笑顔につられ碧も笑顔になる。 そして、西島は気づく。 碧が自分のシャツ1枚にエプロン姿という事に。 下着……穿いてないよな? これは結構…………くる!! エロいだろ明らかに!! 碧の格好を意識すると下半身が元気になる。 朝から俺のばか!!! 「あ、碧、ご飯を一緒に作ろうか?」 頭を冷やせ!! 何盛ってんだよ!! 「はい。嬉しいです」 嬉しそうに笑う碧にエロい事考えてしまった自分を反省。 我慢して、一緒にキッチンに立つ。 でも、碧の姿をチラ見してしまう。 「碧、下着穿いてる?」 げっ!!何聞いてんだよ俺。 自分でもビックリするような変態発言。 「えっ?あ、は………穿いてないです。忘れてました」 頬を赤く染めて恥ずかしいそうに俯く碧。 あ~~~、くそ!!なんで、一旦気を取り直したのに!! 「穿いてきます」 行こうとする碧の腕を思わず掴む。 「だめ!!だってデザートは碧にするから」 ーーーーきゃーー、ちひろさん!!僕の妄想通りに!! 碧は興奮してしまう。 そして、西島は、 なんてクサイ台詞吐いてるんだよ俺………と落ち込むのである。 「は、はい。よろしくお願いします」 碧は頭を下げる。どうぞ、デザートとしてお召し上がりください!!!と言わんばかりの元気な返事。 そんな天然な所がたまらなく可愛い。 あ~~、くそ!今すぐ食いたくなるじゃないか!! ただでさえ俺シャツにエプロンという美味しい格好。 甘いデザートを朝食よりも先に食べてしまいたい。 碧は本当、甘いお菓子のようだ。 まあ、甘いお菓子って元気くれるし、癒しもくれるよな……… 先に食べたいけど、せっかく碧が早起きしてまで朝食作ってくれたし…… 朝食が先だな。 「………見つめ合っとうとこ悪かばってんくさ、ワシの飯どがんなっととや?腹減っとうとばい?」 ああ~~、もう!この猫は甘い雰囲気ぶち壊し。 西島は足元の諭吉をみる。 「飯ば食わせろさ」 「……はいはい。飯ね」 「あ、諭吉のご飯!!」 西島の言葉に碧は諭吉のご飯を思い出して慌てて用意する。 「先に飯くれたら邪魔せんかったとに」 西島の足を尻尾で叩く諭吉。 「今度からはそうするよ」 邪魔されたけど、諭吉は猫だし、本能の赴くままで行動しているのだから仕方ない。 まあ、今の自分もエロい本能むき出しだけどな。なんて思うと笑ってしまう。 ◆◆◆◆◆ 諭吉は朝ごはんをガツガツ食べると、本当にその場からフェイドアウトしていった。 流石、猫!! 西島と碧も朝食を取る。 「あ、あの、ご飯作るのは交代にしませんか?いつもちひろさんに作って貰って悪いし………そ、それに僕も料理もっと上手になりたいし」 朝食をとりながら碧がそう申し出た。 「上手になりたいの?」 「はい。ちひろさんに美味しい料理作りたいから」 えへへと照れた笑いをする碧。 くううう!!いかーん!!碧のバカタレ!! そんな可愛い事言ったら、今すぐにテーブルに寝かせて食べてしまいそうだろ!! 可愛い事を言葉にした後、碧はホットミルクを飲んでいたのだが、上手く飲めずに口の端から白い液体を零す。 ………俺を煽ってんのかああ!! 白い液体がもうエロい液体にしか見えない。 その白い液体を指先で拭う仕草も……もう誘っているようにしか見えない。 俺………こんなに性欲強かったっけ? 不思議だ。 碧にはこんなに強く求めてしまう自分がいるのだ。 西島が自分を見ていると気づく碧。 ミルクを上手く飲めないとこを見られた事が恥ずかしくなり、 「えへへ、僕、上手く飲めなくて……子供みたいですね」 と笑う。 碧ーーー!!!それだけエロいなら子供じゃないーーー!!! 西島は席を立つと、碧の側に行き、顔を近付けて彼の口元をペロと舐めた。 「ち、ちひろさん!!」 口元を舐めると顔を真っ赤にして西島を見る碧。 きゃーー、ちひろさんーー!!! 「碧って……お菓子みたいに甘いね」 「フ、フレンチトーストが甘いからですよ」 ドキドキしながら答える碧。 「ううん、碧はもっと甘いよ?」 「な、生クリームみたいですか?」 どうしてそんな事を言ったか自分でも分からないけど、変な事言ったなあって碧は恥ずかしくなる。

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