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僕はちひろさんの1番ですか? 24話
◆◆◆◆◆
「もう着いちゃいましたね」
西島のマンションの駐車場、碧は少しつまらなさそうな表情をしている。
西島との外泊は2回目。
一度目は迎えに来て貰って、そして、今回の一泊デート。
「もう少しデートしたかったです」
素直に言葉にする碧。
「うん、俺も………また、いつでも行けるよ。また、行こうな」
西島は笑って碧の頭を撫でる。
「はい!!また、行きたいです」
子犬みたいに人懐っこく微笑む。
「お土産、神林先生に渡さなきゃ、もう、仕事終わってますよね?」
「そうだな。持って行ってもいいし」
「星夜くんにもお土産渡したいなあ。もう、帰ってるかな?」
「帰ってんじゃないか?あいつは残業するような感じじゃないから」
「電話してみます」
碧は斉藤の番号を検索して、彼に電話する。
3コール目で斉藤は出てくれた。
「星夜くん、お仕事終わりましたか?」
「碧~、どーした?うん、終わったよ」
「そうですか、神林先生も?」
「うん、さっき帰って行ったよ?なんで?」
「お土産を渡したくて………神林先生、アパート帰ったなら、後でちひろさんとお土産渡しに行こうかな?って、星夜くんは佐々木部長の部屋ですよね?」
斉藤は碧の言葉に慌てた。
えっ?神林先生のアパートへ行く?
西島部長と?
えっ?そしたら絶対に鉢合わせするじゃんかあ!!!
「あ、思い出した!!!か、神林先生、今日は飲み会とか言ってたぞ?後からでもいいんじゃないかな?」
焦って、少しわざとらしい言い訳になり、余計に焦る斉藤。
「あっ、そうなんですか?早く渡したかったんですけど、公園の猫達の面倒も見て貰ったから」
「か、神林先生は優しいからそんな事は気にしないと思うよ?」
「そうですねえ~、じゃあ、星夜くんと佐々木部長のお土産渡しに行ってもいいですか?」
「お、おう!!うちは全然いいよ!!!」
「はい。じゃあ、いきますね。」
碧はそう言うと電話を切る。
「ちひろさん、神林先生は飲み会でした。」
碧は電話を切ると西島にそう告げた。
「へっ?飲み会?あいつ、あまり飲み会とか参加しないのに意外だな」
西島は少し驚いたような表情を見せる。
「星夜くん、佐々木部長の部屋です。お土産渡しに行きたいです」
え~、佐々木と会うのか?なんて、嫌な感じはしたが、可愛い碧の願いを利かない西島ではないので、佐々木の住むマンションへと車を走らせる。
◆◆◆◆
「誰から?」
電話を切った斉藤に話かける佐々木。
「碧から~、神林先生んとこお土産持って行くとか言うから焦った~。とっさに飲み会って嘘ついたけどさ」
「は?飲み会………神林って飲み会は参加しないんだぞ?きっと、西島は首かしげてる」
「えっ?まじでか!!あ~、でも、飲み会って言っちゃったもん」
「まあ、神林にも話合わせるように言うんだな」
「分かった~、あ、碧がお土産持ってくるって」
「碧ちゃん来るのか~、そりゃ歓迎だな」
そう言いながら佐々木は夕飯を作る。
◆◆◆◆
「美味しいです」
神林は此上の料理を食べ、感想をのべる。
彼は何を作っても美味しく作るなって、神林は感動している。
「トオルも相変わらず美味しそうに食べてくれるよね。」
「それは美味しいからですよ」
「千尋はいつも仏頂面だったからさ、美味しいって笑ってくれるのは嬉しかったな」
「此上さんは知らないでしょうけど、千尋って、学校では美味しいって食べてたんですよ。ただ、素直じゃないから」
神林の言葉に此上は驚いた顔をして、直に嬉しそうに微笑み、
「………そっか、良かった」
そう言った。
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