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僕はちひろさんの1番ですか?26話

あああ!!俺は思春期の男子か!! 風呂場へ逃げ込んだ神林は顔の熱さを感じている。 不自然に逃げ出したから、動揺してるとか、意識しているとか、きっと……思われた。 恥ずかしい!!! 熱くなってしまった頭を冷やそう……… 神林は服を脱いで浴室の中へ。 シャワーを勢い良く出す。 つめた!!! 流石にお湯になる前のシャワーは冷たい。 でも、熱い顔を冷やすにはいいかな? 水が徐々に温まってきて、神林も次第に落ち着きを取り戻してきた。 「トオル、着替え、持って行ってないだろ?」 ふいに此上の声にビクッとする。 振り向くと磨りガラスのドアの向こうに此上の姿がある。 「あ、す、すみません」 「適当に持ってきたけど?それとも、風呂上がりは服着ない派?」 「い、いや、着ます!!着ますよ!置いておいてください」 「わかった」 磨りガラスの向こう、此上の動く姿が見える。 こちらから見えるって事は向こうからも? どわあああ!!!! 要らぬ事を考えてしまい、心臓がバクバク動く。 俺のばかばかばか!!!何意識してんだよ。 そして、此上が出て行き、ホッと息をつく。 着替え忘れてくるなんて、………めっちゃ、怪しまれてるよな。 何かを意識して、逃げたって感じになるし。 ん?あれ? ちょっと、待てよ? 飯食って風呂場へ来たって………俺、何か期待して風呂入ってるみたいじゃね? 何か期待って、ひとつしかないよね? うわあああ!!違う!!違うから此上さん!! 俺は何も期待してない。 自分がとった行動にこれほど後悔した事はない。 くう~!!どんな顔して出ていけばいい? 此上さん、どう思ったかな? 俺が期待してるって思ってる? そんな………事ないって言いたい。 神林は悩みに悩んで結構、長風呂してしまった。 此上に持ってきて貰った着替えに手を通し、そろり、そろり、と此上が居るであろう、キッチンへ。 あれ? キッチンに居ると思った此上の姿はなく、洗った食器がふせてある。 くっ!!しまった、洗わせてしまった。 そんな長く入っていたのかと、反省。 でも、どこ行ったのかな?トイレ? そう思ってトイレに行くけれど、居ない。 まさか、寝室? 俺が先に風呂に入ったから、その気だと思われた? いや~、そんな? 否定しても心臓はバクバクと激しく脈をうつ。 確認するように寝室へと行くが彼の姿はない。 そして、気づく。上着がない! 慌てて玄関へといき、靴を確認。 彼の靴はそこには無かった。 ええ? 玄関を出て、走って駐車場をみる。 車がない……… 帰った? なんだか、ガッカリしてしまう自分がいて、何でガッカリしてんだよ?って自分で自分に突っ込む。 何も言わないで帰った寂しさが残る。 べ、別に寂しくないし!!! 神林は部屋へとトボトボと戻る。 せめて、帰るよって行って欲しかったな。 そしたら、見送れたのに。 またね…………って、 おい!!またね!!ってなんだよ? また、来て貰うつもりかよ俺えええ!!! もう、自分がどうしたいのか、わからず、1人悶える神林だった。

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