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愛されるという事。2話

◆◆◆ 西島が風呂に入っていると碧がドアを開けて「えへへ、僕もいいですか?」と聞く。もちろん、断るわけがない。 西島と一緒に湯船に入り、碧は彼に抱っこされる。 「やっぱりちひろさんと一緒に入るのが僕は好きです」 昨日は1人で入ったから寂しかったのだ。諭吉が途中から来たけれど。 「そうか?俺も碧と一緒に入るのは好きだな……あ、そうだ、温泉もいいよなドライブ」 「そうですね、僕、温泉とか小さい頃に行ったっきりですから行きたいです」 碧の言葉に「よし!じゃあ、今日行こうか?碧、有給まだ残っているよな?」と西島。 「えっ?残っていますけど……えっ?今日?今からですか?」 「うん、今日!!俺も有給まだあるし、使わなきゃな」 西島は碧を抱っこしたまま立ち上がる。 「えっ?えっ?」 困惑している碧を連れ、風呂場から出る。 ◆◆◆ 「なんや、どがんしたとや?」 諭吉が何かを察したように2人の元にやってきた。 「仕事休んでドライブ行く事になったの」 「ほほう」 諭吉は西島を見上げて「ワシも連れてけ」と言った。 「もちろんだ」 西島はラフな格好に着替えるとスマホを持ち会社に電話を始める。碧の分も一緒に有給申請をお願いしているのを聞いて碧は驚く。 僕と一緒に有給取るとかになったら……!! 電話を終えた西島に「ち、ちひろさん!僕のも一緒にやったら何言われるか、バレちゃうかもですよ」と慌てた。 「いいんだよ、バレても。いや、むしろバレた方が碧に変な虫がつかないよな」 西島は碧を見て微笑む。 「ちひろさん」 驚く碧。 「碧は嫌か?」 「い、嫌じゃないです」 興奮したように頬を紅くして答える碧。 「ふふ、じゃあバレても平気だね」 西島は優しく微笑む。碧はぎゅっと抱き着く。 凄く幸せを感じた。夢見たいだと思った。でも、夢じゃない。西島を見上げると頭を撫でてくれて、額にキスしてくれた。 ◆◆◆ 「よし!じゃあ、出発!」 諭吉と車に乗り込み、碧はシートベルトを締める。 行き先はこの前教えて貰ったケーキ屋さんと音泉。福岡からなら日帰りも出来るがちゃっかりと1泊2日にし、ホテルはネット予約をした。 「魚ば食いたかばい」 諭吉は碧の膝の上にちょこんと座って要求をする。 「ペットも泊まれるとこあって良かったな」 西島は片手で諭吉の頭を撫でながらに言う。 「ダメな時はワシは車でも良かばい、ワシはどこででも寝れるしな」 「ダメだよ!諭吉が車なら僕も」 「それならテント張った方がいいよ」 クスクス笑う西島。 「美味しい魚もきっとあるよ」 「マグロもあるか?」 「……いや、マグロはちょっと」 ホテルで頼むときっとスーパーの倍の値段を取られるだろう。 「なんやケチクサレ、甲斐性なしめ」 「だから、どこからそんな言葉を」 諭吉の語彙力には毎回驚く。いや、猫が話せる事自体が凄いのだけども。 そんな2人と1匹を乗せた車は高速へと入って行った。 ◆◆◆ 「あれ?碧は?」 星夜は碧の机を見て彼の名前を呼ぶ。何時もなら席に着いているのに居ないのだ。 「碧ちゃんなら有給取ってるみたいよ」 「えっ?」 星夜は思わず西島のデスクを見た。もちろん、彼の姿もない。 マジで?部長は?西島部長も一緒なのかな? 「ちぇっ、折角、俺が作った弁当食べて貰おうと思ったのになあ」 残念そうな顔をする星夜。 昨日、帰ってから料理をおさらいしていたのだ。 もっと上手くなって佐々木の胃袋をガッチリと掴みたいのだ。 「そんなガッカリした顔しなさんな!その弁当は俺が食べる」 佐々木の声がして驚いて声のする方を見た。 「えっ、でも、ユウちゃんにはお弁当ちゃんと作ったじゃん」 「おお!!愛妻弁当ですか、佐々木部長」 男性スタッフが声に出す。 「美味いんだ星夜の料理」 自慢げな顔でそういう佐々木。 「本当、いいわよねえ、佐々木部長って優しいしさ、こんな風に自慢げに色々言ってくれる彼氏とかほぼ絶滅してますからね」 女性スタッフが羨ましがる。 モテる佐々木にちょっと心配でもあるが羨ましがられるのは悪くない星夜だった。

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