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もっと僕に甘えてください。 3話
◆◆◆◆
キスが上手いな……
神林は冷静にそんな事を考えていた。
上手いし、そして、キス魔!!
セックスは2回目だけど、凄く丁寧に扱ってくれる。
前座が長いというか、神林が先に何度かイカされる。
だから、セックスする時間が長い……と思う。
前に付き合っていた男性は好き勝手に動いて、勝手にイッて甘い言葉もなく寝てしまう。
自分は女じゃないから別にいいって思ってたけど、此上は違う。
かなり気持ち良くしてくれて、先に寝てしまうのは自分で、目を覚ますと腕の中で、なんか恥ずかしかった。
いまも……凄く、気持ち良くしてくれて、身体に負担かけないように優しく抱いてくれる。
「ん……此……上さん」
挿入されて、思わず名前を呼ぶ。
「名前で……呼んで?」
「えっ?」
「篤……」
はっ?下の名前?!!
ええっ!!呼べない!!呼べないって!!
「むり……です」
「呼ばないなら、いかせてあげない?」
「はい?」
神林は自分の上にいる此上を見上げる。
「このまま、動かないよ?」
ちょっと、イジワルそうな顔。
こんな、顔もするんだ、この人……
動かないって、それでは此上さんも辛いのに?
でも、確かに……うしろがウズウズしてる。
「なんか、いま、締まったけど?動いて欲しい?」
「えっ?ちょっ、ちがいますよ!!」
神林は照れ隠しに身体をかわそうと動かす。
「んっ、」
動いたせいなのか、此上が色っぽい声を漏らす。
あっ……なんか、いま、凄くエロい。
もっと、見たくて神林は身体を動かす。
「こら、動くな……そんなにほしい?じゃあ、名前呼んでよ?」
腰を掴まれて、そう言われた。
欲しくないわけではない。ただ、此上のエロい顔と声を聞きたい。
だから、
「篤……さん、うごいて」
とお願いをした。
此上は嬉しそうな顔をすると、グッと力を込めて身体を動かす。
ギシッとベッドが軋む。
「あっ、あっ、」
身体を揺すぶられる度に吐息と一緒に声が出る。
「可愛い」
此上は神林の出す声がもっと聞きたいのか次第に激しくなる。
ぐぐっと奥まで此上のモノがきて、かたくて、大きくて……神林に快楽をくれる。
こんなに気持ちいいのは久しぶり……
いや、初めてかも知れない。
声が我慢出来ないとか初めてだった。
「篤……さん、あ、いく……」
自分でも早いと思う。
何度目かの射精。
もう、出ないよ?ってくらいに出したと思う。
そして、此上もイッたようで、神林の上に覆いかぶさってきた。
そのまま、ギュッと抱きしめてくる。
この瞬間がなんか、嬉しい。
「トオルが名前呼んでくれたから、いつもより早くいってしまった」
「なんですかソレ?」
神林はちょっと笑う。
「呼ばれて嬉しいって事。もう1回呼んで?」
「えっ?なんか恥ずかしいですけど?」
「いいから!!」
神林はしょうがないなって顔をして、「篤さん」と呼んだ。
すると、さらにギュッと抱きしめられた。
「トオルは素直で可愛いな」
「ちょ、いきなり子供扱いですか?」
「ん?素直な感想だよ?君はほんと、昔っから変わらなくて嬉しいよ」
「すみませんね、大人になれなくて」
神林は、ちょっと拗ねる。
「恋人いたらどうしようって思ってたな」
「はい?」
「会えなかった間だよ。まあ、いても奪うつもりだったけどね」
「はあ?」
神林は此上の顔をマジマジとみる。
何を言っているのだろう?そんな顔。
「身体から先に始まったけれど、俺は君が好きんだよ」
…………はい?
神林は思わず固まってしまった。
いま、何言いました?
「本当はちゃんと告白してから抱くつもりだったのに、久しぶりに見た君が愛おしくて我慢出来なかった」
えっと、……えっ?あれ?此上さんって俺を好き……なの?
「あの、あの、すみません、おれ、なんか、頭、真っ白です!!」
神林の脳みそはどうも、エラー状態らしく、此上が言った言葉を上手く処理出来ていなかった。
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