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もっと、僕に甘えてください。 6話
「なあ、俺、酔って変な事とかしなかったか?」
「変な事って何や?」
「前に酔った時の事を怒られた事あって」
「何ばしたとや?ニッシー」
「内容は分かんないけど、目覚ましたら、知り合いの部屋で……で、その人から酒はもう飲むなって」
「そいはいつや?大人になってからか?」
「……未成年の頃」
「ああ、そんなら、大人になってから飲めって意味やろ?」
「まあ、確に未成年だったし。でも、それ以来、気をつけるようになったからさ、久しぶりに飲むとやっぱ、酒はうまいな」
西島は諭吉の頭をポンポンと軽くたたく。
「そいは、ニッシーが大人になったけんやろ!!まあ、酒は美味いとはワシもわかる!!碧のじいさんとな、よう飲んどったぞ?」
「おじいちゃん……ネコに……」
西島は諭吉と碧の祖父が酒を飲む姿を想像して、笑う。
「腹減ったな……碧は」
起こそうか悩む。
スヤスヤと寝息をたてている碧を無理やり起こすのも可哀想な気がする。
なんせ、途中から自分は寝てしまっているのだから、寂しい思いをさせてしまったかも知れない。
そんな事を考えていると、ドアがノックされた。
「西島部長~、碧、起きてる?朝ご飯をゆうちゃんが作ってくれたよ」
斉藤の声。
西島はベッドから降りてドアを開ける。
「おはよございます!」
斉藤は西島の顔をみると、笑顔で挨拶してきた。
こいつは、ほんと、朝から元気だよな……
「うん、おはよう」
「シャワーとか浴びるならいいよ、ってゆうちゃんが言ってますけど、どーします?」
「ん~、覗かれたら困るから、顔だけでいいや、風呂は自分んちで入る」
「や、やだなあ!!覗きませんって」
ちょっと、動揺したように答える斉藤にやっぱ、除く気だったのかと断って良かった!!なんて思った。
「碧は?」
「まだ、寝てる……ん、起こした方がいいな。斉藤達、仕事だもんな」
西島はベッドで眠る碧の身体を揺すりながら、「碧、朝だよ」と彼の名前を呼ぶ。
「ん……」
碧は寝返りを打ちながら目を開ける。
「碧、おはよう」
碧が目を開けると大好きな西島がいる。だから、嬉しくてニコッと微笑んでしまう。
「おはようございます。ちひろさん」
碧は西島に両手を伸ばす。
朝の抱っこ。
西島が一緒に暮らし始めてから、やたら碧をギュッと抱っこしてくれるので、条件反射に近い。
西島も碧を抱き起こすとギュッと抱きしめる。
ちひろさんの匂い……
まだ少しぼんやりする風景の中に斉藤の姿を気付いた。
「星夜くん、おはようございます」
西島に抱きしめられたままに微笑む。
「う、うん、おはよう」
朝からラブラブなハートが飛び交う光景を目の当たりにし、斉藤は可愛いなって思うのと、羨ましいって思うのと半々な気持ちだった。
「朝ご飯出来てるから」
斉藤はそう言うと先に部屋を出た。
「ほら、イチャイチャしよらんと、飯ばい飯!!」
諭吉は西島の足を尻尾で軽くたたく。
「分かってるよ!!」
「諭吉は食いしん坊なんです」
碧はクスクスと笑う。
「腹減るやんか!!食いしん坊言うな碧!」
「えへへ、ごめんね、諭吉」
碧は西島から離れると諭吉の頭を撫でた。
西島はいつもと違う事に直ぐに気付いた。
あれ?会話成り立ってないか?
「なあ……」
会話が成り立っているように感じると言おうとした瞬間に、
「ちひろさん、聞いてください!!僕、諭吉の声が聞こえるようになったんです」
碧は凄く、すごーく嬉しそうな顔で西島に報告する。
「は?」
「昨日、ちひろさんが寝てしまってから、諭吉が言ってる事が急に分かるようになって」
「えっ?えっ?マジで?」
西島は足元の諭吉へ視線を向ける。
「そうばい!!昨日、いきなり会話が成り立ってな、驚いたとばい」
「えっ……本当に?」
西島は今度は碧を見る。
「はい!!」
ニコッと微笑む碧を西島はギュッと抱きしめた。
「良かった……本当に良かった」
そう言うと更にキツく碧を抱きしめる。
「苦しいです、ちひろさん」
「本当に良かった……声が聞こえるようになって」
「はい……嬉しいです」
「ごめんな、俺のせいで」
「もう!!また、謝る!!いいって言ったじゃないですか?」
「だって……」
「なんや、ニッシー泣きようとか?」
諭吉はベッドに飛び乗り、身体を立ち上げ、西島の頬をぺろりと舐めた。
「泣いてない!!」
「泣きよるやっか!!」
「ちひろさん泣いてるんですか?」
抱きしめられている碧は身体を動かし、西島の顔を向かい合う。
長い彼のまつ毛が濡れていて、瞳が潤んでいる。
ちひろさん可愛い!!
碧はその顔が可愛くて、つい、頬にキスをする。
「ちひろさん可愛いです。ぼく、ちひろさんのその顔好きです。」
「ばか……」
西島は照れ笑いをした。
◆◆◆◆
「出てくんの遅いな」
佐々木はテーブルに食事を並び終える。
「まあ、アイツらまだ、休みだから寝ててもいいんだけどな」
「朝からイチャイチャしてたもん、寝起きの碧可愛かったし、西島部長が凄く碧を優しく起こすしさ」
「ちひろは甘やかすタイプだからな」
「ゆうちゃん!俺も甘やかしてよおおお」
斉藤は佐々木に抱きつく。
「昨夜、甘やかしただろ?」
「あれだけじゃ足りない」
斉藤がそう言うと佐々木に唇を塞がれた。
◆◆◆◆◆
やって、しまった...
神林は此上の腕の中で目を覚ました。
昨夜はきっと、泣きつかれて眠ってしまったんだと、自分でも分かる。
子供かよ、俺は...。
自分を抱きしめてくれている此上をみる。
腕に抱きしめてくれて、泣いてる神林を慰めてくれた。
ほんと、この人ってどこまで優しいのだろ?
いつも、迷惑かけてばかりだ。
せめて、朝ご飯くらい作ろうかな?と此上の腕の中から抜け出そうとすると、ムギュと抱きしめられた。
「お、起きてるんですか!!」
「んー、起きてるよ?おはよ」
「おはようございます。あの、俺、朝ご飯作ろうかと」
「まだ、だめ、」
「はい?」
「まだ、抱きしめていたいからダメ」
「えっ、でも、あの、」
此上の手が背中から、下へ...
お尻をモニモニと揉みだす。
「ちょ、此上さん!!」
朝からこの人は!!
「篤!!篤だろ?」
「もう...篤さん、やめてください」
「やめていいの?」
此上の指がグッとアナルへと押し込まれた。
「あ...」
短い声が思わずでる。
「やめていい?」
此上は後ろを弄りながら首筋を舐めてきた。
「......ん、あっ...つし...」
篤さんと最後まで言わせて貰えず、キスをされた。
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