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もっと、僕に甘えてください。 19話
くみ、組み敷いた?えっ?マジで?
だったら千尋の初めての相手って篤さん?
嘘……!!マジで?本当に?
だったら、千尋は……。
「ぐるぐる考えてる?」
此上の言葉に神林は無言。
考えているのもあるし、考えがまとまらない。
「組み敷いたけれど、してないよ。千尋が泣いてしまったから……泣かなくっても抱くくもりは無かったし」
神林は此上の顔を見る。
「千尋だって馬鹿じゃないし、勢いで言ってしまった事だったし……わかってくれたと思う。かなり傷つけたっても思う」
その時の西島の気持ちはどういうものだったのだろう?
考えると胸が痛い。痛いけれど、此上が西島を抱いていないと分かりホッとした。
「千尋を傷つけた事を怒る?」
「えっ?」
「トオルの今の顔がそう言ってるみたいでさ……千尋を抱いてないって知ってホッとした?」
くっ!!!この人は何でこうも俺の心を読むんだよ!!
「ホッとしましたよ!!嘘ついてもどうせバレるし……ただ、複雑な気持ちになりました」
神林は逆ギレに近い感情でそう言った。隠したって問い詰められるだけ。
「複雑な気持ちってどんな?」
「千尋の初めての相手がアナタじゃなくて良かったって……その、アナタにヤキモチとかじゃなくて……その、あの、千尋を抱いてらヤダなって思って。俺がその……」
上手く言えない。心の奥にある複雑な気持ちを言葉に出来ない。
千尋とセックスしてなくて良かったって思ったのは此上が自分だけじゃなくて他の男も抱いていたら嫌だという感情が生まれたから。
そりゃ、西島の初めての相手だったらって思ったら此上にも嫉妬してしまう。でも、それよりも先に自分以外の誰かと身体を重ねていて欲しくないという独占欲。
でも、これを言葉に出来ない。
「なんか、顔真っ赤だけど?」
ニヤニヤしているのが妙に腹が立つ。
もう分かってて聞いてるなこの人は!!!と確信した。
「意地悪です。分かってるくせに」
「意地悪じゃないよ?わかってもいない……だから、言葉にしてくれないと分からない」
言葉に……
出来るわけがない。恥ずかしすぎる。
「ちゃんと言葉にして……俺はいつも思っている事を君に伝えているつもりだけどな?」
くそ!!!
此上には勝てないと分かっている。
だから、
「もう!!篤さんが千尋とやってたらヤダって思ったんです!!俺を好きとかいいながら、他の男とか……そう思ったんです!!」
凄い逆ギレだなって自分で思いながらも言葉にした。
「それって……トオルも俺を好きだと理解していいの?」
此上に改めて聞かれると恥ずかしくなる。
視線をはずして、「そうです」と小さく声にした。
「口説いた甲斐あったよ」
此上は神林の上に体重をかけて抱きしめた。
「そもそも、お、俺だって誰かれ構わず脚は広げません」
「誰かれ構わず広げて貰っては困るよ。」
此上は笑う。
「千尋を好きでも構わないとか口で言ったけど、内心は……凄く嫌だったよ」
此上の本音がポロり。
「いくら、千尋でもね……君を泣かせるならって」
「それは止めて!!千尋を傷つけるのは篤さんでも嫌です。篤さんは好きですよ?でも、千尋は大事な友達だから」
「……俺はその言葉をどう受取ればいい?」
クスクス笑いながら聞く此上。
「知りません!自分で考えて下さい」
プイとそっぽを向く神林。
「じゃあ、行動で示す」
此上はそういうと、神林の中にドンと力強く自分のジュニアをぶち込んだ。
急にきた刺激と衝撃に神林の身体は思わずのけぞる。
「身体で分からせればいいんだよね?」
自分の上でニヤリと嫌な笑顔を見せる此上が悪魔のように見えた神林であった。
◆◆◆◆◆
「碧……あと1日で休みが終わる」
一緒に風呂に入っている時に西島がそう口にした。
「ぼ、僕も会社に行きます」
「碧はまだ有給残っているよ?俺は明後日の会議に出なきゃならないから」
にゃんこにご飯を与えに行く時にかかってきた電話はその電話だったらしい。
「僕も行きます」
「荷物まだ整理出来てないだろ?ゆっくりするといいよ」
「でもでも、千尋さんが居ない部屋は寂しいです」
「なんや?ワシが居るやっか?」
会話に急に諭吉が入ってきたので驚いて下をみた。
「諭吉って風呂嫌いじゃないんだな?猫って風呂嫌うだろ?」
諭吉に視線を向ける西島。
諭吉はピョンとバスタブのフチに飛び乗る。
「風呂は好きばい?碧の実家のそばに温泉があるとさ、じいさんとよう入りに行きよったし、ワシが生まれた町もな温泉があった」
諭吉は尻尾をお湯につける。
「諭吉って碧が昔住んでた所で出会ったんだよな?」
「そうですよ?ずっとついてくるから連れて帰ったんですもん、ねっ、諭吉」
「そうばい。碧の母ちゃんがな、マグロ持っとたんよ」
「は?それで着いて行ったのか?」
西島は呆れる
「悪かや?」
「ううん、悪くないよ諭吉!!マグロのおかげで諭吉に会えたんだもん」
「そやろ?碧について行って良かったばい」
「えへへ、僕も諭吉が来てくれて嬉しい。諭吉もお風呂入る?」
碧にそう言われ、諭吉はとぅ!!!とフチから湯船にダイブした。
そして、猫かきで泳ぐ。
「ニッシー、ワシばシャンプーせろ」
「命令かよ!」
西島はしぶしぶ湯船を出ると諭吉を抱き上げて、シャンプーをする事にした。
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