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もっと、僕に甘えてください。 20話

◆◆◆◆◆ 「ニッシー、もっとドライヤーばせろ!」 風呂から上がり諭吉の毛をドライヤーで乾かす西島に命令。 「お前ね、毛は乾いてるだろ!」 諭吉の毛はとっくに乾いているのだが、ドライヤーの風が好きな諭吉は寝転がりお腹を見せている。 「すみません、ちひろさん……諭吉はドライヤーとか好きで。家でも家族の誰かにやって貰ってて」 諭吉の代わりに謝る碧。 「気持ち良かっちゃもんな」 ゴロゴロを喉を鳴らす諭吉。 そんな姿も可愛い。 良くテレビでペットを飼っている飼い主の親バカぶりをみていて、きっと今の自分もそんな感じだろうな……なんて思う西島。 洗ってあげたり乾かしたり、ご飯あげたり……猫がいる生活に憧れていた西島はぶっちゃけ、嫌ではない。 「いいよ、全然」 西島はそう言って諭吉の身体全体に風を当てる。 「そうだ、碧……明日、行きたい所があるから付き合ってくれないか?」 「えっ?いいですよ?どこですか?」 ニコッと笑う碧。 ちひろさんと一緒なら僕はスーパーでも公園でも嬉しいですもん!!! ◆◆◆◆ 「行きたい所って……」 次の日、碧が西島に連れて来られたのは携帯ショップ。 「ちひろさん機種変するんですか?」 「うん。もう古いからね……それと、碧も同じ機種にしようかと思って」 「えっ?」 「碧はまだガラゲーだろ?」 「そ、そうです!スマホ高いから……」 「だから一緒に変えようかと思ってさ」 「ぼ、僕、お金……」 碧は慌てて財布を取り出す。給料日まであと少し。財布には五千円だけ入っている。それで足りるわけがない。 「俺が出すよ」 「だ、だめです!ダメですよちひろさん!!」 スマホは高い。 「俺が碧とお揃いにしたいだけだし、もし、碧が気にするなら少しづつ俺に返してくれればいいから」 西島にそう提案されて碧は悩む。 いつかは変えようと思っていたし、LINEとかやってみたいし……。碧は考えた末に、 「じゃ、じゃあ僕も変えたいです」 と西島に言う。 「僕、詳しくないからちひろさん選んでください」 照れたように笑う碧。 「分かった。色は何色にする?」 「青!!!青がいいです」 碧は元気良く答えて、自分の声が意外と大きかったみたいで店内に居た客が一斉にこちらの方を見たので恥ずかしくなる。 そして、同じ機種のスマホを碧はゲットした。 自分が青色で西島が黒。 西島と同じ色にすれば良かったかな?なんて後で思った。 「えへへ、ありがとうございます」 車内でスマホが入った袋を抱っこするように持ち嬉しそうにお礼を言う碧。 「帰ったら諭吉に自慢しなきゃ」 「カメラ機能が凄くいいから写真沢山撮ればいいよ」 「はい!」 ちひろさんも撮りたいです。 なんて心で呟く碧。 「あともう1箇所付き合ってくれ」 「はい。どこいくんですか?」 「車見に行こうと思ってさ」 「車ですか?」 「そう!この車は神林のだからいつまでも借りておくわけにはいかないだろ?」 「ちひろさん、車買うんですか?」 「うん。諭吉もゆっくり乗れる車とかあればいいなって思ってさ。」 西島はこれからも車は使うだろうし、碧を実家に連れて行ってもあげられる。 碧と諭吉を喜ばせる事が出来るなら金なんて惜しまない。 「これからもさ、碧と色々行きたいから」 「ぼ、僕もお金出します!!!」 碧は西島の腕をガシッと力強く掴む。 「もし、僕の為とかだったら悪いですもん」 「確かに碧とどこかに行きたいとか思って買 うからな」 西島はそう言って笑うと碧の頭を撫で、 「俺は、どちらかといえば引きこもるタイプでさ、ほっとけば何日も部屋に居れる……でも、それじゃなんか人生楽しめていないような感じするだろ?季節とかイベントとか……それを碧とだったら楽しいだろうな?とか碧に見せてあげたいなとか考えると楽しいんだ。人生得した気分になる。だから、その為には車があった方が便利で、俺の為でもある」 と言った。 「碧とどこかへ行きたいのは俺のワガママなんだから、それに付き合わせちゃうし、お金は俺が出す」 「で、でも!!」 「たまに車掃除してくれたらいいから」 西島に微笑まれ、碧は頷く。 「ピカピカに磨きます!!」 「ありがとう」 ありがとうと言われ、碧はえへへと笑う。 これからも西島とどこかへ行ける嬉しさと、自分と何かしたいと言ってくれる西島の優しさに心が踊りだしそうな碧だった。 ◆◆◆◆ 「車ってたくさん種類あるんですねえ」 碧は感心しながら頷く。 何社か車を見に回った。 どれもカッコ良かったし、西島は外車でも高級車でも似合うなってそれも思った。 西島は色々悩んでいるようで、碧も何かアドバイスとか出来たら良かったのになあって思う。 なんせ、運転免許証を持っていない碧。 家にある車は軽トラとワゴン車とかだ。 家族が多いから自然に沢山乗れる車ばかりがある。 ちひろさんならオープンカーとか似合いそう…… 色々妄想してにやける碧。 「碧、ごめん退屈だよな?」 椅子に1人座る碧に気付き、戻ってきた西島。 「僕、平気ですよ?ちひろさん見てきて下さい」 「俺……意外と優柔不断かも……決められない」 色々と見てきたけれど、どうしても踏み切れない西島。 「ぼ、僕だって沢山悩みますもん。それに車高いし……」 さっき見た車の値段のゼロの数を数えて碧は倒れそうだった。 給料何年分かな? 西島はうーんと唸り、あっ!!!と思いつく。 ◆◆◆◆◆ 「ち、ちひろどーした?」 西島が思いついたのは神林に聞く!!それだった。 学生時代から、何かあると神林に聞いていたので、つい癖で……そんな感じで電話していた。 「いま、車屋居るんだけどさ」 「は?車屋?なんで?」 「買おうかと思ってさ、ほら、いつまでも神林の車借りれないし……あ、今夜そっち行ってもいいか?車何買おうか悩んでてさ」 今夜……そっちに行っても? それは困るよおおおお!!!! 神林は焦る。なんせ、今夜も此上が来るのだから。

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