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素直になるって大事ですよ? 13話
◆◆◆◆◆
「んっ……あっ、」
ベッドの上で重なる2人。
自分の上にいる此上に両手を回し、何度もキスを繰り返す神林。
何度目かのキスで唇が離れて、「なんか、今日は積極的だし、素直で可愛いね」と此上に言われた。
成人男性に可愛いはないだろ?って思うが嫌ではない。
「い、いつもと変わらないです!」
「そうか?」
此上はそう言うと耳たぶを甘噛する。
「あっ、」
ゾクッとくる。耳たぶも……キスも、全部……ゾクゾクする。
神林は待ちきれないように此上の首筋に吸い付く。
「ほら、やっぱり、いつもと違う」
此上は笑って神林を見下ろす。
「トオルは本当、可愛いね……」
そんな言葉を吐くと彼の額にキスを落とす。
「子供扱いですか?」
「大きくなったなあって……」
「はあ?オヤジくさいセリフ吐かないでくださいよ」
「もう、オヤジだよ、出会って何年経ってると思っているんだ?」
「そうですけど……」
「未成年だった子が学校卒業して、働いているんだから、その分月日は流れてる……」
「それを言われると、俺も……年取っちゃってますね」
神林はクスクスと笑う。
「いや、君は変わらず可愛いよ……手が出せる年齢まで成長してくれて嬉しい」
「な、なんか、エロオヤジまで入ってる……俺の事……ずっと、待ってたんですか?」
「未成年のまま、手を出しても良かったんだけどね……あの頃、手を出してたら君も千尋も傷つけてしまうから我慢していたよ」
「……俺、贅沢ですよね」
「何が?」
「好きだった人の好きな人を我慢させてて、気付かないって重い罪ですよね」
「どうしたの?本当、可愛くなっちゃって」
此上は嬉しそうに微笑む。
「だって……知らない所で篤さんを傷つけてたんでしょ?」
「勝手に好きになったんだから、それは承知の上だよ……それに気付かない事が罪なら千尋も同じだろ?君がずっと片思いしてたのを知らずに傷つけていたんだから」
「そ、それは違います!!千尋は関係ない!!」
少し強い口調。見上げる此上は相変わらず優しい顔で自分を見ている。
「じゃあ、君も無罪だ」
反論しようかと思ったけれど、決定事項な感じで反対意見を言えない。
いや、言葉が思いつかない。
「君のそういう優しい所、好きだな」
「ほ、ほんと、篤さんってホストとか出来そう」
少し照れてしまい、神林は顔を横に向けた。
直視なんて、出来ない。
「いや、俺には無理だよ……好きな人相手じゃないと甘い言葉も態度も出せないから」
ひいいいい!!天然なタラシだあ!この人はああ!!
神林は此上を見る事が出来ない。きっと、今、顔が赤いと知っているから。
だって、顔が熱い……。
「トオルにしか、甘い言葉も優しい態度も出さないよ」
「わ、わかりましたから、もういいです!」
神林は顔を隠したい衝動に駆られる。もう、無理!!この人の前じゃ……冷静じゃいられない。
「きょ、今日はもう、好きにしてください!」
「明日、仕事だろ?」
「か、構いません……篤さんだって仕事じゃないですか」
「まあ、それを理由に手加減しようとは思わないけどね」
此上はそう言うと、まだ着ていた服を脱いだ。
◆◆◆◆◆
「また、旅行いきましょうね」
湯船の中、西島に抱っこされた碧は彼の方へ顔を向けた。
「うん、行こうな……旅行もだけど、お祭りか色々行こう」
「はい!僕、ちひろさんと花火大会行きたいです!」
「ああ、大濠の?」
「そうです!あと、ハウステンボス!CMで毎年流れるでしょ?中学の時に家族で見に行った事あるんです」
「ハウステンボスかあ……行った事ないんだよなあ……次の旅行はそこに行くか?近いから土日で行けるし」
「は、はい!!行きたいです!僕、旅行大好きで!夏休みとか家族で旅行行ってて、沢山いきましたよ?ほぼ、九州内ですけど」
碧は嬉しそうに昔話を語る。
西島は……ああ、俺も行ったな。って少し昔を思い出していた。
今の家に行くまでは、休みの度にキャンプや日帰り旅行、両親に強請ってディズニーランドにも連れて行ってもらった。
沢山写真を撮ったのに1枚も手元にはない。
今の家で……ミサキに無理矢理連れ出されて、保護者変わりにいつも自分の面倒を見てくれていた男性が来てくれて、3人で旅行に行った事はある。
「もう!!ちーちゃん笑って!!」
写真を撮ろうとするミサキに何度も怒られた。
懐かしい……
子供の頃の写真は手元にないけれど、ミサキとその男性、此上と撮った写真は残っているはず。
「碧の家族旅行の写真、今度みたいな」
「はい!もちろんです!今日の旅行の写真は後で夏姉ちゃんに送ります」
「ちゃんと、カッコイイ写真選んでくれよな?」
「えっ?何言ってるんですか?ちひろさんはいつもカッコイイじゃないですか!」
キョトンとした顔。お世辞とかではない素直は言葉。
照れてしまう。
「俺……カッコイイか?」
「はい!」
ちひろさんはカッコイイです……でも、今日は凄く色っぽかったです……あんなエッチな顔……
碧は西島のひとりエッチをしている姿を思い出して顔が熱くなった。
「ありがとう、……ん?どうした?」
自分の上で少しモジモジしている碧。
あ、まさか、のぼせてしまったか?顔が赤いもんな!
西島は風呂から上がろうと、「碧、もう出よう、また、のぼせてしまうよ」と碧を立たせようとしたが、
「い、今はダメです」
と首を振り、また、モジモジしている。
「えっ?だめ?どうして?」
「お、おちんちんが……」
碧は最後まで言えずに真っ赤な顔で俯いた。
おちんちん?
碧の方へのぞき込むと、手で前を押さえている。
あーおーいいいい!!!
可愛すぎて、俺が鼻血出しそう……!!!
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