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素直になるって大事ですよ? 15話

「ちひろさん……僕には我慢とかしないでください」 抱き着いたままに碧は言う。 「でも……負担がかかるのは碧なんだよ?」 華奢で、見た目が少年のような彼。 抱きつく腕も成人男性の西島より細いし、力もない。 抱き締めたら折れそうな細い腰。 自分の欲望のままに抱いたらきっと、彼が壊れてしまう。 「僕、女の子じゃありませんよ?女の子みたいに優しくしなくていいです、激しくしても大丈夫です」 ニコッと笑う碧。 「僕、気になってたんです……ちひろさん、僕を抱く時に優しくっていうか……その、僕は直ぐに理性失っちゃうけど、気持ち良くて……でも、ちひろさんは我慢してますよね?」 直球な言葉に西島は言葉を返せない。 「お風呂の時も……自分はいいって言ってたけれど我慢させてるんじゃないかって」 「碧……」 「ニッシーは我慢する事が当たり前になっととやろ?望んだらいかんって思っとっとやろ?ワシは我慢せんぞ?猫やし、本能のままに生活しよる、ニッシー、我慢する方が相手ば傷つけたりするとぞ?」 諭吉はそう言うと西島の腕の中からピョンと飛び出して、床に見事に着地。 「なあ、ニッシー、素直になるとは悪か事やないばい?その先ば知る事が出来る、そいに、今ある幸せはどこにもいかんばい!男ばみせろさ、ニッシー!」 諭吉は尻尾で足をぺチンと叩くと、自分の寝床へと行ってしまった。 残された碧と西島。 「諭吉の言う通りですよ!男ばみせてください、ちひろさん」 碧は抱き締める力を強める。 「碧……」 西島も碧を強く抱き締めて、 「じゃあ、……第2ラウンドいいか?」 と耳元で囁く。 「はい」 碧は背伸びをして、西島にキスをした。 「手加減無しで大丈夫ですよ?」 「本当に煽り上手だな碧は……」 その言葉に碧はえへへと笑う。 西島は碧の身体を抱き上げて寝室へと向かう。 素直になるのは難しくて、実は簡単なのかも知れない。 ベッドに着くと碧を降ろして、直ぐに着ていたシャツを脱ぐ。 碧も脱ごうとするが、その手を止めて「俺が脱がせたい」と言葉にした。 「はい」 嬉しそうに返事をする碧。 西島に全裸にさせられ、そのままベッドへ押し倒された。 そのまま、キスを落とし、唇から順にたくさんキスをしていく。 そして、ゴムの事を思い出し、「碧、ちょっと待って……」とベッドから降りようとする西島の腕を掴んだ碧。 「ちひろさん、僕に集中してください」 と軽く怒られた。 なので、思わず「はい」と返事をしてしまった。 手加減しなくていいですよ?って碧が言うから、西島は変に我慢しなくてもいいんだと知った。 諭吉の言う通りだ。 素直じゃない方が相手を傷つける。 我慢すれば何も失わないって思っていたけれど、違う…… そうだ……今ある幸せは逃げはしない。 「碧……」 「はい?」 「好きだよ」 素直に言葉にする。 「はい。僕もです」 「我慢しなくていい?」 「はい。我慢しないでください。僕は全力で受け止めますから」 「碧って凄く男前だな」 「えっ?男前はちひろさんですよ?」 キョトンとする碧。 「違うよそうじゃない」 西島は笑うと「手加減なしでいきます!」と碧に宣言した。 ◆◆◆◆◆◆ 目覚ましのアラームが鳴る前に音を止める西島。 多分寝たのは3時間くらい? いつもは5時間くらいなのだが、スッキリした目覚めだった。 自分の横にはグッスリと眠る碧。 手加減無しって宣言した通り、結構な回数をしたと思う。 だから、スッキリしてるのか?なんて、自分に突っ込む。 碧の為に朝食を作ろうとベッドから降りる。 少し、腰が痛い。やりすぎたか? 自分がこんな状態なら碧は?と心配になり、彼へ視線を落とす。 熟睡中の頭を撫でる。 「ん……」 碧が目を開けて、自分を見た。 「ごめん起こしちゃったね、まだ、早いから寝てていいよ」 「お仕事いくの?」 まだ、寝ぼけ眼の碧。 「まだだよ、朝ご飯作ろうかと思って」 「まだならここに居て……ください」 碧が両手を自分へと伸ばす。 甘えるような仕草が可愛くて思わず抱きしめる。 「朝ごはん……僕、つくります……ちひろさん、仕事でしょ?」 腕の中、まだ眠そうな碧。 「いいよ、俺が作るよ。碧はまだ寝てなさい」 頭を優しく撫でる。 「僕が作ります」 腕からスルリと抜け出す碧。 上半身は起こしてはいるが、しばし固まっているようで、まだ、寝惚けているのか?と思う西島。 「……どうしましょう……身体が上手く動きません」 真剣な顔で西島を見る碧。 「無理させたからな……ごめん碧」 心配した身体はやはりキツイようで西島の中にチクリと刺さる罪悪感。 「謝らないでください。僕が頼んだんですよ?それに……あの、すごく……気持ち良かったから」 碧はそう言って頬を染めて俯く。 何故なら一気に昨夜の記憶が蘇ったから。 西島がいつもより、激しかったから自分も理性を失った。 沢山、腰を動かして「気持ちいい、もっとおおお」とか言ったような…… あああ!!! 完全に目が覚めた碧はいきなりシーツをかぶり、西島を驚かせる。 「ど、どうした碧」 「だめです、いま、ちひろさん見れません!!僕、昨日……凄くあの、みだれ……あああ!!!ごめんなさい、ちひろさん、エッチな僕ですみませんんんん」 恥ずかしすぎてパニックになる碧。 段々と思い出す自分は想像以上に淫らだった。 「碧、出ておいで」 「だめです、は、恥ずかしいから」 「昨夜は俺も凄くエッチだったろ?変態オヤジみたいな?」 「ちひろさんは変態オヤジじゃありません」 シーツの中から叫ぶ碧。 「じゃあ、顔見て言って?」 「……それは」 「顔見て言ってくれなきゃ変態オヤジだと思っちゃうよ」 西島にそう言われ、碧がチラリとシーツから顔を出した。 それをしっかりと掴まえる西島はシーツを剥いだ。 耳まで真っ赤な碧。 「碧のおかげで素直になれたんだから、恥ずかしがらないでいいよ?」 「でも、ぼく、すごくエッチだったでしょ?」 「碧は俺が凄くエッチなら嫌?」 「嫌じゃないです!!」 即答する碧。 「俺も同じ気持ちなんだから、恥ずかしがらないでいいんだよ?それにもっとエッチになってもいいくらい」 西島は裸の碧をギュッと抱きしめる。 「エッチな僕でもいいんですか?」 「もちろん」 「僕もエッチなちひろさん好きです。昨夜のちひろさん……野獣っぽかったです」 「野獣?」 「カッコイイ野獣です。星夜くんがエッチが激しくて上手い人は野獣って言うって言ってましたもん」 斉藤うううう!! アイツはろくな事教えないよな。 「ちひろさん毎日野獣でもいいですよ?」 碧はカッコよくてエロいからの意味で言っているのだけど、西島には毎日淫らななセックスしてもいいですよ?と変換され脳内に届く。 碧のエロ天使め!! 「この煽り上手め!!」 西島はそう言ってキスを落とす。 軽いキスをして、改めて碧の身体を見ると白い肌に転々とついた赤い印。 俺、こんなにつけたのか? 碧が今日休みで良かったよ。 服でも隠れない位置にもたくさんある。 「碧、ベッドにいていいよ。昨日、沢山気持ち良くしてくれたお礼に朝食作るよ」 「それは僕も同じです。僕も沢山気持ち良くして貰いました!」 「でも、動けないだろ?」 「うっ、そうでした」 「だから、ここに居ていいよ」 と西島は碧の頭を撫でる。 「1人でいるのは寂しいです」 「眠いだろ?」 「ちひろさんだって、眠いでしょう?僕はちひろさん送り出した後眠れるけれど、ちひろさんはお仕事行くから」 置いてけぼりされた子供みたいな顔を見せる碧。 「じゃあ、ソファーに座ってていいよ」 西島は立ち上がると碧をシーツごと抱き上げて連れて行く。 ソファーに碧を降ろし、自分が下着さえつけていない全裸だと思い付き、服を着ようと下着やシャツを取りに行こうとする。 「服着ちゃうんですか?」 思わず声をかける碧。 西島の裸体は引き締まってカッコイイ。 学校の美術室に置いてあったデッサン用の彫刻みたいだ。 どうやったらそんな身体になれるのだろうか? 羨ましい。 「着て欲しくないみたいな言い方だな」 「だって、着て欲しくないですもん」 「言うようになったね碧。でも、着てないと油とか飛んできて熱いからな」 ああ、そうか……と思う碧。 「あ、それなら裸エプロン」 「はい?」 「裸エプロンみたいです!」 碧はキラキラした瞳で西島を見る。 エッチな下心ではなく、好奇心みたいな瞳。 西島は碧のこの瞳に弱い。 「着て欲しい?」 「はい!!」 元気に返事する碧。 昨夜、無理させちゃったしなあ。 西島は謝罪を込めて裸エプロンをする事にした。

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