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素直になるって大事ですよ? 16話
◆◆◆◆
碧の瞳がキラキラと輝く。
ほおおお!!!ちひろさんエロカッコイイ!!
目の前の西島の裸エプロンは想像以上にエロくてカッコイイ。
こんなにエッチなんだあ。ドキドキする。
油が熱いから着て欲しいと願ったものだったが、こんなにエロいなんて想像していなかった。
「は、裸にエプロンするのって、エロいんですね」
初めて知りました!!みたいなキラキラした瞳。
自分だってやったのに。
「エロいか?ただの変態オヤジみたいじゃないか?」
「ちひろさんは変態でもオヤジでもないですよ」
お世辞ではない言葉が投げかけられ、西島はその場にいるのが恥ずかしいので、朝食を作りに逃げる。
ホント、俺、どうしちゃったんだろう?
裸エプロンとかしちゃってるし、昨夜は続けて何度もセックスしちゃうし。
アメリカで同棲してた男性とはこんなに頻繁にはしなかった。
挿れられる側だったから断る事が多くて、その代わりにフェラや手コキで相手をイかせていたので、いつの間にかフェラが上手くなっていた。
セックスってこんなに気持ち良かったかな?
碧にずっと触れていたくて、触れている間は幸せで、心が満たさせれた。
「本当に愛している相手じゃなきゃ、セックスはただの性欲を満たすだけの行為だ。それは身体が満たさせれても、心は満たされないよ?ちゃんと、互いに愛し合う人としなさい」
昔、そう怒られた事があった。
その人が好きだった。
でも、その人は自分を愛してはいなくて、諦めなきゃいけなかった。
今はもう、その事を思い出しても心は痛くはならなくて、ただの思い出になっている。
でも、その人の言う通り、碧とのセックスは身体だけじゃなくて、心も満たさせる。
抱き締めるだけで、胸の真ん中辺りがほんわかと温かくなるのだ。
此上はいつも、正しい事しか言わない。
間違ってるなら間違っていると教えてくれて、正しい道を教えてくれた。
会わなくなって随分経つけれど、元気かな?とつい、彼の事を思い出す。
彼が今の自分を見たらどう言うかな?
未成年に手を出して!!って怒るかな?
まあ、怒られても平気だけどな。
選んだ道は間違ってはいないと胸を張って言えるから。
「ニッシー、アイス忘れんなよ」
足元から諭吉の声。
下へ視線を落とすと自分の足に身体を擦り付けている諭吉の姿がある。
「買ってくるよ」
「素直になると、良か事あるやろ?ニッシーはホント、素直やなかけんな」
「うるさい!」
「逆ギレってやつか?」
諭吉をじっーと見つめ、「まあ、ありがとう」と礼を言う。
「……なんか、素直なニッシーは気色ん悪かな」
「おい!人が素直になれば!」
「猫は気紛ればい?」
いい返された。
諭吉には一生、口では敵わないと思う。
「ワシの朝ごはんも忘れんなよ」
諭吉はパシンと尻尾で西島の足を叩くと碧が居るソファーへと向かう。
碧はソファーでいつの間にか眠ってしまっている。
諭吉はピョンとソファーに飛び乗り、「碧は寝てしもうとるばい」と西島へと知らせた。
食事を作る手を止め、ソファーへと行く。
寝息が聞こえ、ソファーで熟睡している碧の姿。
やっぱ、寝ちゃったか。
無理させたもんな。
でも、碧のおかげで素直になれたのは確かだし、気持ち良いセックスも出来た。
こんなに幼くて年下の可愛い男の子に色々と教わるなんて思ってもいなかったな、なんて思う。
西島は起こさないように碧を抱き上げる。
◆◆◆◆◆
出勤時間になっても碧は起きなかった。
行ってきますと耳元で囁き、額にキスをして、玄関へ。
「アイス忘れんなよ」
玄関に諭吉がきた。
「分かってるよ!碧が起きたら朝ごはん食べるように伝えてくれ、温めるだけにしてるから」
「伝えるばい」
諭吉の返事で、こういう時に猫が言葉を話せるって便利だなって思う。
マグロとかうるさいけれど。
「いってくる」
「いってこい!」
その返しに笑ってドアを開けて外へ出る。
鍵を閉めると、なんとなく後ろ髪引かれた。
眠る碧を腕に抱いて一緒に眠りたいな……
もっと、ずっと、一緒に居たい。
段々と欲が出てくる。
欲しがってはダメだと思ってた頃とは違う。
欲しがれば手に入れる事が出来る世界があると、思い出した。
当たり前に感じていた愛情がまた、目の前に現れたんだから、欲も強くなる。
素直になるって大事だな……
西島はその言葉を噛み締めてドアから離れた。
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