305 / 526

もっと欲張りになりましょう 8話

◆◆◆◆ 祖父と諭吉と交代で西島と碧が一緒に風呂へ。 服を全て脱ぎ去った碧の身体には西島がつけたキスマークが半端なくついている。 祖父と風呂へ入らせなくて本当に良かったと西島は思う。 前だけではない。背中にも可愛いマシュマロみたいなお尻にも……我ながら変態だと再確認。 白い肌に赤い印は目立つ。 「ちひろさん?」 黙っている西島に声をかける碧。まさか、自分の身体をマジマジと見られているなんて知らない。 「あ、うん、入ろうか」 二人で湯船に浸かる。 「良かったな、おじいさんが来てくれて」 自分の上に碧を抱っこしながらに言う。 「はい。泊まってくれるなんて嬉しいです」 「でも、凄いな……諭吉の声がおじいさんと聞こえていたなんて……実は家族全員聞こえてたら面白いよな」 「あはは、そうですね。それなら嬉しいかもです」 「俺、諭吉の声聞こえた時に頭どうかしたんだとずっと、思ってたよ。猫は喋らないって」 「普通はそうですもんね……諭吉凄いなあ。僕は小さいに喋ってたから驚かなったです」 「子供はそうだろうな。見たものをそのまま受け止める……大人になると疑いから先に入るからな……いつから、そうなってしまんだろうな」 「分かんないです……色々と辛い事とか、失敗した事を忘れられないからじゃないですか?次は失敗しないとか僕は思っちゃいますもん」 辛い事や失敗した事。西島はそうかもな、なんて思う。 もう二度と失敗したくないし、辛い事は忘れる事なんて出来ない。 普通の事は忘れていくし、楽しい事さえ忘れてしまいそうになるのに。 「本当は動物達、諭吉みたいに喋れるのかも!!でも、驚かれるのを知ってるから話さない……とかですかね?にゃんこもそうだったら凄いですねえ」 「えっ?あ、うん、そうだな」 西島は可愛い事を言う碧を後ろから抱きしめる。 「どーしました?ちひろさん」 力強く抱きしめてくる西島。なんとなく、いつもと違うように感じた。 「碧は可愛いなって思ってさ……俺もにゃんこが話せたら凄いって思うよ」 碧を可愛いと思うのは本当。ただ、考えていた事は違う。 つい、昔の忘れられない事を思い出して心がギュッと辛くなっただけ。 唯一の愛しい存在を抱きしめたくなったから。 無くしたくない愛しい存在。 碧には切ない気持ちを悟られないように首筋や背中を後ろから吸い付いた。 「やっあ……ん」 ピクリと身体を反応させて声を出す碧。 「あんっ、だめ……です」 「ん?どうして?」 「だって……エッチな気持ちになります」 「なっていいよ?」 「おじいちゃんに聞こえちゃう」 「声我慢したら?」 「無理です……気持ちいいですもん」 「じゃあ、こうしようか?」 西島は碧の頭を後ろに引き寄せ、横を向かせると唇を塞ぐ。 そして、手は碧の可愛いおちんちんを掴むとシゴキ出す。 「んんっ、」 ビクビクと身体が小刻みに震えて感じているのを西島も感じている。 舌を絡ませながら、手の動きを早める。 「あっ、」 そんな声が漏れた瞬間に碧がビクンと大きく身体を逸らした。 イッたんだと分かる。 碧は西島の方へと倒れ込む。 唇が離れ、碧の荒い息が風呂中に響く。 「気持ち良かった?」 「はい……凄く」 風呂の中だから頬が赤くて可愛いし、ウットリとした顔で西島を見る。 その後、碧の身体を洗って自分の身体を洗う西島。 そして、仲良く風呂を上がった。 「遅かったなニッシー」 待ち構えたように諭吉がやってきた。 「中でなんしょったとや?」 からかうような諭吉の言葉。 「そんなに遅くないだろ?普通に風呂入ってたよ!」 「へえ~」 西島が言い返すとなんとも人間くさい返事を返される。 「向こうで待ってろ!」 諭吉を追い払うと西島と碧はそれぞれ浴衣を着る。 西島は濃い藍色で凄く似合っていた。 碧の目はもうキラキラだ。 まるでショーケースの中のケーキを見る子供か玩具を見る子供みたいで西島はちょっと笑った。 「か、カッコイイ!!凄くカッコイイですちひろさん!お婆ちゃん凄い!ちひろさんが何色似合うか良く分かってる」 興奮している碧も浴衣が似合っている。 薄いブルーの浴衣。 女の子用でもいけそうな色合いが碧には良く似合う。 確かに似合う色を知っているなと西島も思う。 これは写真に撮らなければ。 「早くお祭りに行きたいです」 「そうだな……あー、でも、碧の浴衣姿を他の野郎とかには見せたくないなあ」 「えっ?」 「可愛いからほっとかないだろ?」 「それはちひろさんもですよ!僕も見せたくないです。僕だけ見てたい」 「あはは、それじゃ祭り行けないな」 「うっ、そうですね」 碧が余りにも真剣に悩むから西島は笑ってしまった。 ◆◆◆◆◆ 「おお、似合うやん、馬子にも衣装やな」 「諭吉、お前意味知って使ってるんだろうな?それは褒め言葉じゃない!」 諭吉の言葉に少し怒りながらに言う西島。 「知っとーばい?」 「このやろうめ!」 諭吉と西島の会話を聞きながら碧はスマホを弄っている。そして、 「えっ?馬子って孫じゃないんですね!」 と驚いている。 「諭吉とちひろさんすごーい!僕、孫にも衣装だと思ってました」 そう、馬子にも衣装は褒め言葉ではない。 「諭吉って物知りだねえ」 碧は諭吉の頭を撫でる。 「本当、どこで覚えてくるんだよお前は!」 「ばあちゃんやな。前に夏が浴衣着た時にはじめが碧みたく孫にも衣装だと思っとって使っとったのをばあちゃんが意味を教えてとった」 はじめとは碧の兄。 「凄いねえ諭吉」 よしよしと頭を撫で褒める。 諭吉は気持ち良さそうに目を閉じている。 「碧、もっと撫でろ」 そのままお腹を見せて寝転がる諭吉。 「似合うなあ、碧も千尋君も」 祖父は二人を交互に見て微笑む。 「写メ撮っていいか?アイツらに自慢する」 スマホを取り出す祖父。 「おじいちゃん、その写真僕にも送ってね」 碧は西島と並んで写真を撮って貰う。 えへへ、ちひろさんとのツーショット!! 後で星夜くんに自慢しよう。 碧は何枚も祖父にねだって写真を撮って貰った。 次は西島が何枚も碧の写真を撮りまくる。 もちろん、祖父も一緒に。 色んなポーズを取らせられ、諭吉を抱っこしたり、ベランダで撮ったり。ほぼ、父兄が子供の入学式に写真を撮りまくる、あの状態と変わらない。 「ぼ、僕もちひろさん撮らせてください!」 流石に撮り疲れた碧はストップをかける。 「俺はいいよ、碧を撮りたい」 「僕だってちひろさんの写真欲しいんです!!」 強く強調すると撮らせてくれた。 画面越しの西島はモデルのようだ。 祖父も「千尋君はカッコイイなあ、ジャニーズ入ったら良かったのに!」と言う程。 「うちのばあさんと碧の母親と夏は千尋君のファンだからな、自慢するよ」 「は?」 西島は驚いた表情で祖父を見る。 「えっ?気付いてなかったんか?千尋君はうちの女性達のアイドルになってるぞ」 「ま、マジですか!」 照れる西島。 「たぶん、この写真は引き伸ばされるだろうな」 「や、やめて下さい」 顔を赤くした西島。なかなか新鮮だと碧は嬉しそうに写真を撮りまくった。

ともだちにシェアしよう!