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もっと欲張りになりましょう 15話

◆◆◆◆ 恵の住むマンションに着いた。 かなり大きなマンション。部屋のドアを開けると女性用のサンダルがある。 「めぐちゃん彼女?」 星夜はサンダルを見つめている。 「いや、彼女はいない、彼氏とセフレはいるけど……」 「めぐちゃん問題発言だよ、じゃあ、めぐちゃんが女装趣味があるとか?」 「ないよ……あ~多分、」 恵が言いかけた時に「おかえりい」と中から女の子が出てきた。 「ちっ、」 「悠紀!!」 「お兄ちゃん達久しぶりいい」 キラーンとピースサインをする、彼女は悠紀。現役女子高生の妹。 「えー!!母ちゃん達は?え?あれ?アメリカは?」 「私、今年受験生でしょう?日本の大学受けよかと思ってねえ」 「へえ、そおかあ!」 星夜はニコニコしながら妹を見ている。 斉藤の両親は父親の仕事の都合で2年前に妹だけを連れてアメリカへ引っ越していた。 恵はもちろん独立しているし、星夜は既に内定を取っていたので、行かなかったのだ。 なので、離れて暮らしていたのだが、たまにこうやって突然帰ってくる。 「どうだか……どうせ、うすーい本売りに来たんだろーが」 「めぐ兄せいかーい!!」 キラーンとピースサインする悠紀。 妹、悠紀はいわゆる腐女子という生き物で、同人誌を作っている。 「だいたい、お前未成年のくせに18禁とか書いて親が泣くぞ!」 恵は靴を脱ぎ、上がる。 「やだなあ。18歳になったんだよお!大丈夫、大丈夫!それに泣く親は恵兄の親でもあるからね」 「で、いつ帰るんだ?」 ニコッと微笑み悠紀に詰め寄る恵。 「舌打ちしたもんねえ……セイ君と2人っきりに慣れなくて残念でしたあ」 「分かってんなら、ホテル泊まるとかあんだろ?」 「やーだよ!大丈夫、邪魔しないし、寧ろイチャついてくださいよ!悠紀は大好物ですから」 悠紀は恵の肩を叩き微笑む。 「てな、わけで、部屋1個借りるねえ」 悠紀はヒラヒラと2人に手を振って部屋に戻って行った。 「え~あれ?久しぶりの兄弟の再会とかないの?」 星夜は去っていく妹を寂しそうに見送る。 「思春期だよ、そっとしとけ」 恵は星夜の肩を叩く。 「う、うん、そうだね……あ、でも、悠紀の書くBLって結構面白いんだよねえ、後で読ませて貰おう」 星夜は恵とリビングへ。 「今日は俺の部屋で寝ような星夜」 恵は星夜の頭を撫でる。 「ベッドに横になる前に風呂入るか?あ、熱あるんだっけ?」 「ううん、入る……汗かいちゃったから」 「そっか、じゃあ、風呂用意してやるよ」 恵は風呂場へ行く。 可愛い弟の為に風呂の用意をし、戻って来た。 「さて、入ろうか」 恵は着替えを用意し、星夜を風呂場へ連れて行く。 「めぐちゃん、もしかして一緒に入る気?」 「いつも入っているだろ?」 そういうと恵は服を脱ぎ出す。 「めぐちゃん、俺……好きな人出来たから一緒には入れない」 その言葉に固まる恵。 「星夜、何言ってんだ?今までだって彼女居ても一緒に風呂入ってただろ?」 「それは……みんな本気じゃなかったし、遊びだったもん……でも、今回は俺、本気なんだ!!だから、ダメ!」 星夜は両手を前にしてクロスさせ、バツの形をつくる。 恵は黙ったまま、星夜のシャツのボタンを外して行く。 「いやいやいや、聞いてためぐちゃん?一緒に入らないって言ったよね?」 「好きな人が居るっていう理由は風呂を一緒に入らない理由にはならない!」 真顔でそう答えるとシャツを脱がして上半身裸にした。 「俺だって、恋人居てもずっと星夜と風呂入ってただろ?」 「そうだけど……」 星夜が悩んでいる間にすっぽんぽんされてしまった。 「それとも、恋人出来たらお兄ちゃんはもう要らないのかあ?」 悲しい顔を見せる恵。 「えっ?そうじゃないよ!!めぐちゃん好きだよ!!」 星夜は慌てた。 「じゃあ、入ろうか!」 恵は途端に笑顔になり、星夜の背中を押して浴室へと入った。 「もう!めぐちゃんワガママなんだからあ」 星夜はしょうがないなと笑う。 「洗いっこしような」 「一緒に入るのはいいけど、洗いっこはダメ!!」 「どーして?」 「やっぱ、ゆうちゃん以外に触らせるのは」 「ゆうちゃん?好きな人の名前か?へえ、ゆうちゃんはいいのにお兄ちゃんはダメなのか?」 頷く星夜。 「自分で洗うから、めぐちゃん湯船に浸かってて風邪引いちゃう」 星夜がそう言っても恵は、風呂椅子に彼を座らせるとシャンプーを始める。 身体ではないので、星夜もこれには従う。なんせ、恵はシャンプーが上手い。元々、美容師をしていて、そこに通っていたホストの人達から薦められて今の世界に入ったのだ。 「あ~めぐちゃんのシャンプー気持ちいい」 「だろ?」 「星夜、髪伸びたから切ってやろうか?」 「えっ?本当?うん、切って切って!」 「じゃあ、体調良くなってからな」 「うん、約束」 恵は星夜の髪を洗い流すと自然にボディスポンジに液体ソープをつけ、泡を作る。 そして、そのまま背中から洗い出す。 「あ~めぐちゃんダメだってば!身体はダメ!!」 「ゆうちゃんには触らせてもお兄ちゃんはダメなのか?」 元気がなくなる声。その声に星夜は慌てるように、「め、めぐちゃん」 「お兄ちゃんより、ゆうちゃんが好きなんだな……」 「そ、そりゃあ、ゆうちゃんは恋人だから……でも、でも!めぐちゃんは特別だよ?」 「本当に?」 「うん」 「じゃあ、チュウは?」 チュウ……これは星夜が赤ちゃんの頃から面倒を見ていた恵が幼い時から仕込んだ行為。 大丈夫だよ?とか、ごめんね?の意味を込めて、キスをする。 幼い頃は微笑ましい行為だが、大人になると流石に…… と、他人ならば思うだろうが、斉藤兄弟は少し……というより、かなりおかしく、星夜は恵に軽くチュウをした。 ちゅっ、って感じのキス。 「いじけないでよ、めぐちゃん!」 星夜は恵の顔色を伺う。 「機嫌直った」 恵はそう言うと星夜の後頭部に手を置き、引き寄せてキスをする。 唇を離し、「星夜、口開けろ」と唇を薄く開けさせ、口内に舌を絡めた。

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