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愛されるという事。5話

◆◆◆ 観光をたくさんして、宿へと着いた西島と碧と諭吉。 猫も大丈夫という所を探すのは大変だった。犬は結構あるけど、猫は……。きまぐれな猫だからしつけの問題かもしれない。 「諭吉、部屋に着いたぞ」 リュックを下ろして諭吉に声をかける西島。 「うーん、よう寝たばい」 諭吉はあくびをひとつするとぴょんと飛び出た。 「お前、本当に寝っぱなしだったな」 「ネコやからな」 キリッとした顔で言われて「そうだけどさ……せっかく長崎まできてさ」と西島は何と言い返そうか考えたが、まあ、彼は猫だから観光とか気にしないのだと思った。 「諭吉とも写真撮りたかったなあ」 西島とあちこちでツーショットを撮った碧だったが諭吉も一緒に撮りたかったのだ。 「なんや、写真とかいつでも撮れるとばい?その前に碧のスマホもニッシーのスマホもワシの写真ばっかでデーターがなんとか言いよったやろ?まだ撮るんか?」 そうなのだ、碧と西島は暇さえあれば諭吉を写真におさめている。 「いつもと違うもん!」 ちょっとプクっと頬を膨らます碧。 「なんや、ほんと、碧は子供ばい……まあ、よかたい。明日もある」 諭吉はパシッと碧の身体を尻尾で叩く。 「明日……諭吉、起きてるの?」 「碧が拗ねたらニッシーが困るやろ?そいけん、起きとく」 「へへ」 碧は嬉しそうに笑う。 「飯!腹減ったばい」 「お前、それしか言わないな」 西島も笑った。 ◆◆◆ 「ごめんね、また呼んじゃって」 ニコニコと微笑みながら神林と此上を迎え入れてくれた専務。 「いえ、いいですよ」 此上は持ってきた酒を専務に渡す。 「お!気が利くね!酒って事は泊まってくれるという事かな?」 少しワクワク顔の専務に神林は思わず笑いそうになる。 仕事では厳しくも指導するし、やり手だと言われている彼の可愛い所を見れるのは何だか得した気分になる。 「そんなに寂しいなら猫とか犬とか嫁さんとか連れ込むといいのに」 此上はそう言いながら家へとあがる。その後を着いていくように神林も家へと上がった。 「西島くんは碧ちゃんと旅行なんだって?」 リビングへ着くと聞いてくる専務。 「思いつきみたいだから何も聞いてないです」 「此上くんに何も言わずに行ったの?君、保護者だろ?」 「それ、千尋の前で言ったら二度と遊びにきてくれませんよ?」 此上の言葉に「えっ?そうなの?気をつける」と慌てる。 「最近、反抗期で」 此上は冗談っぽく言う。 「それ、千尋聞いたら怒りますよ?」 今度は神林がそう言う。 「トオル、碧ちゃんにLINEしろ、碧ちゃんなら素直にいる所教えてくれるから」 「え?邪魔しちゃ悪いでしょ?」 「碧ちゃんの性格上、聞いた方が嬉しいと思うけど?」 そう言われると碧は聞かれると楽しそうに話してくれるタイプ。 「じゃあ、とりあえず楽しい?って送っておきます」 神林は碧にLINEを送った。 ◆◆◆ 碧のスマホにLINEがきたのは夕飯を食べ終わった後で西島が諭吉の口周りを拭いているほのぼのした空間の中。 「あ、神林先生からです」 「なに?神林?此上じゃなくて?」 「はい……此上さんが良かったんですか?ちひろさんの方に来ているかもですよ?」 碧の言葉に自分のを確認するが別に何もきてはいない。 確認した後に……なんで俺は確認してるんだよ!此上なんかうるさいだけだろおお!!と自分突っ込み。 神林からのLINEは楽しい?とだけ。 碧ははい。と返して西島と諭吉の写真を撮った。 カシャという音で西島が気付いて碧を見た。 「神林先生におくるので笑ってください」 碧にお願いされ、自然に微笑んだ。 カメラマンが碧だからそれはそれは可愛い笑顔。 シャッターを切った碧もこれも絶対にプリントアウトしなきゃ!!と思った。 その写真と諭吉と西島のツーショットも一緒に送った。 ◆◆◆ 「あ、可愛い」 碧からの返信に思わずそう言ってしまった神林。 「なに?碧ちゃんの写真?」 とスマホをのぞき込む此上。 そこには可愛い笑顔の西島がいた。

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