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気持ちいい事しません?4話
◆◆◆◆◆
自分の身体を自由にしている男はしなやかに身体を揺らす。
引き締まった身体と熱く見る瞳にどうしようもなくドキドキしてしまう。
このドキドキは学生時代の胸の高鳴りに似ている。
好きな人を遠くから気付かれないように見ていたあの時、今みたいにドキドキと心臓が心拍数を早めていた。
それって……この人を好きって事だよな?そりゃあ、好きじゃないと身体は開かない。
それにこんなに感じない。
「あっ、」
神林は大きく身体を反らし、イッてしまった。
ハアハアと息を吐き、見下ろす此上を見つめた。
彼も神林を見ていて、艶っぽい瞳で見つめられる。
ああ、この人は本当に……色っぽい人だ。
手が伸びてきて、頬を撫でられた。
「トオル……本当に可愛い」
可愛い……良く言われるけれど、自分には合わない言葉だと思う。
「可愛くないです……」
精一杯の否定。可愛いとか恥しくてありがとうございますなんて言えないし。
「ふふ、そうやって否定する顔も凄く可愛いから好きなんだよ」
この人は……本当に何言っても攻めてくる。褒め上手というか攻め上手?なんて神林は思う。何も言わない方がいいのかな?照れてしまうから。
「トオル……あと少し頑張ってくれ」
「へ?何を」
「まだ、イッてないから」
此上は神林の身体を持ち上げて強く打ち付ける。
「あっ!!!」
声が思わず出てしまう神林。ああ、そうだ……まだ、この人イッてない。
動きが早くなり、ベッドがまたきしむ。
肌がぶつかり合う音と一緒に部屋に響き。それよりも、此上が出す色っぽい喘ぎ声が神林の耳に届いて……この人は声でまで犯せるんだ……って思った。
耳も心も身体も全部……この人に支配されていく。
神林もまた喘ぎ声を上げる。
そして、ようやく此上が神林の中で果てた時にはグッタリとしていた。
此上のペニスが抜かれ、何か抜かれるのが寂しいような……変な気持ちになった。
「ちょっと、加減し損ねたな、ごめん」
頭を撫でながら此上が謝ってくる。加減とか……自分も男だから分かるけれど、加減出来る男が居たら会ってみたい。
加減なんて出来るわけがない。
なのに謝るなんて。此上らしいなっ……て、笑いが出てしまう。
「どうした?」
「ん?いつも、篤さん紳士だなって思って……さっき、おしおきって言ってたのに」
「トオルが気持ち良さそうにしてたから、おしおきにならないなって気付いた」
「ちょっ!!」
此上の言葉にかなり照れた。そんなに気持ち良さそうにしてた?
「トオルには甘くなっちゃうからね……それに君を辛い目に合わせると自分へのおしおきになってしまう」
「自分へのおしおきは嫌いですか?」
「嫌いだよ、あと、痛めつけたり嫌がる事はしない。傷つけるだけだからね」
此上はくしゃくしゃと神林の神を撫でる。
「俺も……嫌です。傷つけるのは……篤さんを傷つけるのは嫌」
人を傷つけるのは辛い。自分が傷つけられた時の気持ちを思いだけば誰も傷つけたいとは思わない。
「うん……好きな人を優先して傷つけないようにしてしまうと……他には手が回らなくなるけれどね」
此上は神林の髪にキスをすると、「夕飯食べようか」と微笑む。
「はい。その前にシャワー浴びたいですベタベタしてて気持ち悪い」
自分が出した精子がまとわりつくし、青臭い匂いもする。
「中にも出したしな……出してあげるよ」
「えっ?じ、自分で出せます!!」
神林は慌てて起き上がる。
「遠慮しなくていいよ?」
「だ、だめ、だって……それでまたお風呂でやっちゃうじゃないですか!」
「良く分かってるねトオル……綺麗にしたら入れたくなる」
ふふ、と意地悪な微笑みを向ける此上。
「か、身体持ちません!!何回やったと思ってるんですか!それにおしおきはもうしないんでしょ?」
「気持ち良いおしおきは沢山やってあげたいからね」
ジリジリと近付いてくる此上。必死で後ろへ逃げる神林。でも、逃げれるわけもなく。ガッツリ捕まり、そのまま風呂場へと連行された。
神林は此上が言った好きな人を優先させてしまったら他を後回しにしてしまう。という言葉をつい、考えてしまっていた。
後回しにされたのはきっと、西島。
それを考えてしまうと、きゅう!!と心が締め付けられて、辛くなった。
抱かれていいの?なんて自問自答をまた、心でひっそりと考えてしまうのだ。
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