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気持ちいい事しません?14話
「でも、病人だからね」
神林はベッドの用意をする。
「神林先生優しい」
感動する斉藤の上着を脱がす神林。
「甘やかさなくていいぞ!全く、佐々木も体調不良の子に無理させて」
怒る西島。自分だったら、しない。碧が熱出すならもう付ききっりで看病する。
「3日も禁欲するからって互いに」
斉藤はネクタイを外し、靴下も脱ぐ。
「3日くらい我慢しろよ!」
呆れる西島。
「じゃあ、西島部長は我慢できます?碧が裸でベッドの上に居ても我慢できます?」
「は?お前、何言ってんだ!」
「碧は我慢できる?西島部長とエッチするの」
「えっ?」
斉藤の質問に碧は一気に頬を染めた。
「碧、聞くんじゃない!斉藤、また、お仕置きするぞ!」
西島は碧の両耳をまた塞ぐ。
「……僕も、我慢……できないです」
ボソッと小さい声で質問に答える碧。
「はい?」
碧以外、3人の野郎の声が見事にハモる。
「だって、僕……いつでも、ちひろさんに触りたいし……一緒の部屋にいたら、我慢できないです、きっと」
頬を染めて俯く碧。
キュン!!!!野郎3人は胸がキュンと高鳴った。特に西島はデレデレした顔へと変貌させた。
あーおーいー!!!!
やばい、やばい!!なんで、こんなに可愛い事を言うんだ?我慢できないとか?我慢できないですとか!!
照れた碧が西島をチラリと見るその瞳は潤んでいて、セックスをしている時にオネダリする瞳だ。
ほしいのか?碧……
「千尋、ここではするなよ?碧ちゃん連れて外いけよ」
「西島部長、東側の資料室、誰も来ませんよ?鍵は中からかけられるし、外に使用中って出しておけば、もし、誰か来ても開けられないし」
神林と斉藤の言葉で、ハッと我に返る。
「するか!!なんで斉藤は詳しいんだ!」
照れ隠しのように怒ってみせる。
「ゆうちゃんと、たまに使うから……あと、人事部側から上がる屋上も人来ないですよ?」
「おーまーえーらー!!」
会社で何やってるんだ!!と思った。欲望を抑えきれない佐々木は学生時代もそうだった。高校の体育倉庫とか、滅多に使わない視聴覚室とか……度々、目撃していた。もう、呆れてしまう。
「ほら、斉藤くんは横になって」
神林はベッドのシーツをめくる。
「それと、ちょうど、ランチタイムたけど?千尋はどうする?碧ちゃん連れて外行くか?」
からかうような神林。
くそ!!って思うがなんとなく、言い返せない。
「ちひろさん、ランチここでしてもいいですか?星夜くんと約束してるから」
「斉藤のアホとスケベと風邪が伝染るぞ?」
「部長、スケベ伝染ると嬉しいんじゃないですか?碧から昼休みとか誘われるんですよ?」
斉藤の言葉にちょっと心惹かれたのは悟られたくない。
「風邪伝染るからダメ!治ってからにしなさい」
「でも、約束……」
「碧は熱出しやすいだろ?」
「熱出したら看病してやればいいじゃないですか?」
斉藤の言葉に西島はギロリと彼を睨む。
「碧が苦しむのは嫌なんだよ!看病はいくらでもするけど、苦しいのは代わってやれない!」
ピシャリと答える西島に碧は嬉しそうに彼を見つめる。
ちひろさんは優しい……本当に優しい……なんて、ウットリとした顔をしている。
「あ~お前ら、2人とも外いけ、な?なんなら、資料室とか」
神林は西島と碧の背中を押す。
「碧、治ってからでいいよ?西島部長を怒らせちゃうから」
斉藤もベッドから手を振る。
「それと、会社の裏の公園も穴場だぞ!」
「斉藤うるさい!」
西島はきっ!!と睨んで部屋を出た。
「弁当どこで食べようか?」
碧に聞く西島。
「屋上とか?」
その言葉で西島は慌てるというか、たじろぐというか、とにかく焦った。
屋上……さっき、人事部から上がる屋上は誰も居ない……と聞いたから。
えっ?そうなのか?
さっき、我慢できないって……言ったもんな碧。
「屋上行きたいのか?」
「はい」
西島を見つめる碧の瞳が潤んでいるように見える。
西島部長は我慢できますか?
斉藤の質問が頭を過ぎる。
欲しがる碧を前に我慢できる?
西島は碧を見つめる……そして、我慢できない!!という答えに行き着いた。
「じゃあ、屋上に行こう!」
「はい」
西島と碧は弁当を取りに戻り、屋上へと向かった。
◆◆◆◆◆
「神林先生、恋人とどうですか?」
ベッドからの質問に神林は振り向く。
「俺の心配はいいから薬飲んで」
水が入ったグラスと薬を手にベッドの側に来た神林。星夜はヨイショと起き上がる。
「ゆうちゃん何してるかなあ?仕事中だよねえ」
斉藤は薬を受け取ると一気に飲む。
「飲んだら寝て!それと、お兄さんの番号教えて」
「えっ?どうして?」
「一応、具合悪いって伝えておくから」
「小学校じゃないんですよ?」
「いいからスマホは上着?」
「そうです」
神林は上着のポケットを探りスマホを出す。
「名前は何で入れてる?」
「めぐちゃん」
「めぐちゃん?」
神林は操作しながらめぐちゃんの名前を探す。そして、探し出すと電話をかける。
◆◆◆◆.
バイブに気付いた恵はポケットからスマホを出した。表示は星夜の名前。
星夜きたーーー!!!と叫びたがったが我慢をし電話に出る。
「どうした星夜、お兄ちゃんが恋しくなったか?」
電話に出た相手がモシモシもなくそれだったので神林は一瞬、言葉を発せなかった。
「ん?どーした?お兄ちゃんからぺろぺろされたくなった?ん?」
ぺろぺろ?ぺろぺろって何?
不思議に思いながら、「あの……すみません、斉藤くんじゃなくて神林と申します」と挨拶をする。
恵も愛しい星夜の声ではない相手が出て、名前を名乗った事に少々驚いたが直ぐに自分を立て直すと、「大変失礼しました。兄の恵です……神林って、えっーと」挨拶を返したが神林って誰だっけ?と頭の中はクエスチョンマークが沢山だった。
「昨日会った医務室の」
「あ、メガネイケメン男子くんか!」
昨日も思ったがこの人…ノリというか雰囲気が佐々木に似ている……と神林は思う。
「イケメンではないですけど、神林です。あの、星夜くんの熱上がりまして」
「えっ?迎えにいきます!!」
そう言って電話が切れた。
神林は振り向くと「お兄さん来るって」と星夜につたえた。
「えっ?めぐちゃん仕事なのに?」
驚く斉藤。
「でも、来るって」
神林はスマホをポケットに戻す。
「凄い勢いだったから直ぐに来ると思うよ?斉藤くんの鞄取ってきてあげるね」
神林は医務室を出た。
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