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信じなきゃダメです 2話
駐車場への案内は人気が少ない通路を使ったので、お姫様抱っこされた斉藤は誰にも見られずに済んだので神林はホッとしている。
「神林先生ありがとうございます」
斉藤を助手席に乗せた恵は神林の手から鞄を貰い、後部座席に置く。
「明日は休ませますから西島部長によろしく」
「分かりました。お大事に」
神林は軽く会釈して2歩、後ろへと下がり、車が走り去るのを見送った。
……なんか、こう、すごい兄弟だ。
神林は小さくなっていく車を見つめながら思う。
イチャつくというか、バカップルというか……呆気に取られてしまった。
自分の職場に戻りながら、ふと電話での会話が頭を過ぎる。ぺろぺろされたくなった?
そう、言っていたけれど、どういう意味だろう?
考えてみるが答えには辿りつけずじまい。まさか、あの2人がセックスはしないものの、エッチな行為はしているとは思ってもみない。
「神林先生ー」
その声にドキッとした。
碧の声。
振り返ると碧と西島が並んで立っている。
一気にさっきの西島と碧の姿がフラッシュバックしてきた。そのせいで、心臓の動きが早まり……耳が熱く感じた。
「星夜くんどうしました?」
「あ、お、お兄さんが迎えに来たから帰ったよ?」
「えっ?そうなんですか……お兄さん、見てみたかったです」
「明日、休ませるからって」
西島に言いたいけれど、意識して顔を見れない。
「分かった……神林?」
西島が自分に近付いてきたので、つい、1歩後ろへ下がってしまった。
「お前、顔が赤いぞ?斉藤の風邪移ったんじゃ?」
目の前に西島の手が現れ、額にピタリと当てられ心臓が口から飛び出るんじゃないかと一瞬思った。
「いや、ない!無いから大丈夫!」
慌てて、もう1歩下がる。
何、意識してんだ馬鹿!!
心で自分に突っ込み。
「でも、顔赤いぞ?」
「これは……」
2人のエロい行為を見たから。なんて言えない。
「星夜くんとお兄さんがイチャつくから」
うん、そうだよお姫様抱っことかしてたし。
「イチャつく?ああ、そう言えば昨日も抱き着いていたな斉藤」
「う、うん、兄弟はお姫様抱っこしてたよ?ほ、ほら、熱あるから」
「お姫様抱っこ?!」
西島と碧の声がハモる。
「えっ?いくら熱あっても成人した弟をお姫様抱っことかしないだろ?せめて、支えて歩くくらい」
「そ、そうなんだ!だから驚いて」
「それは驚くな」
納得したように頷く西島にホッとする。
「……あ、あの、お姫様抱っことか、やっぱ、恥ずかしい事なんですかね?」
碧が急に恥ずかしそうというかモジモジしていて、西島は自分もお姫様抱っこをしたがるのでそれをダメだと思っているのかと、そう思ってしまい、
「碧はいいんだよ?恋人同士だろ?斉藤とお兄さんのお姫様抱っこに驚いただけ」
とフォロー。
「いえ、あの……違います……僕も、きょ、去年ですけど、花火大会の時に車で寝て兄ちゃ、あ、兄に抱っこされて……こ、今年からやりません!!」
碧は顔を真っ赤にして、決意表明をして俯く。
か、可愛い!!!!
西島は抱き締めたい衝動に駆られるがぐっ!!!と我慢。
「碧ちゃん……可愛いね。碧ちゃんは寝ちゃったから起こしたくなくって抱っこしてくれたんだよ、斉藤くんは抱っこ!って言って抱っこして貰ってたから」
神林はフォローしながら碧の頭を撫でる。
「えっ?抱っこ?斉藤……どんだけ甘えん坊だ!こんちくしょう」
西島は昨日の2人を思い出していた。あの雰囲気は兄弟というより……恋人同士っぽかったな。
「ほら、昼休み終わっちゃうよ?」
神林はポンポンと碧の頭を軽く叩く。
「あ、本当だ、急ぐぞ!」
西島は碧を促し、職場へと戻っていく。
◆◆◆◆
医務室に戻った神林は疲れたように椅子に座る。
きょ、今日は本当になんて日だ!!!
フェ、フェラとか……
考えないようにしていた事をまた思い出して顔が熱くなる。
思い出すな!思い出すな!と心に言い聞かせても鮮明に思い出してしまう。
彼の吐息、喘ぎ声……
しゃぶられている時の様子がスローモーションみたいに流れていく。
色っぽい表情……だって初めてみた。初めてみたんだ……
当たり前だけど、あんな色っぽい表情するんだって考えると……つい、自分が西島にあの行為をしている想像をしてしまう。
碧が口から離した時に西島のモノもついつい、しっかり見てしまった。
でかいよな。
あんなデカイのが碧ちゃんのお尻に?
お尻……
ウワァァァン!!!俺の変態!!変態野郎!!
神林は机に頭をガンガンぶつけて煩悩を消し去ろうとしていた。
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