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信じなきゃダメです 7話
◆◆◆◆
神林は部屋に着くと佐々木の話をした。
「ああ、確かに彼の父親の会社とウチも取り引きあるな……」
「佐々木の事知ってたんですか?」
此上の言葉に少し驚く神林。佐々木の家が金持ちだとは知ってはいたがどんな会社だとか規模だとかは知らなかった。
友人だけど、親が何をしているか根掘り葉掘り聞かないもので、知らないのが普通だと思っていたから。
此上が知っているのが少し不安になる。
さっき、考えていた事。
西島の見張り。……まさか、本当に?
そんな不安が過ぎる。
「知ってるよ、だから、千尋に手を出そうとした時に注意だけにしたんだよ」
「そうじゃなかったら?」
「2度と手を出さないように殴ってた」
西島は雇い主の大事な息子だから、守るのが当然なのだろうけれど、此上の言葉に神林はちょっと、チクリと胸を刺された。
大事に守られる西島がほんの少し羨ましくなったのだ。
過去の事にヤキモチとかおかしいのだけど、本人に言葉にされたら、チクチクと胸が痛くなる。
「千尋が元気無かったのはそういう事か?」
「えっ?」
話しかけられて、慌てて顔を上げる神林。
「千尋が佐々木の事だけで、あんな風に元気がなくなるのが何かね」
「き、気になるんですか?」
思わず聞いてしまった。
気持ちは西島にはないと言われているけれど、姿をみただけで一瞬で何かを悟れるくらいな関係が凄く羨ましくて、嫉妬してしまいそうになる。
「そりゃ、気になるよ……子供の頃から見てきたから、また、倒れるんじゃないかって……そう思う」
その言葉にもチクリときてしまった。
俺って心狭いのかな?
そんな事を考えていると、身体がフワリと浮いた。
「えっ?ちょっと!!」
神林は軽々と肩に担がれて寝室まで連れて行かれた。
ドスンとベッドに降ろされて、そのまま押し倒された。
まだ、話の途中なのに!!と驚いて此上を見るといきなりキス。
「んっ、まっ……」
待って!!とは言わせて貰えずに口内に舌が侵入してきた。
ぬるりと侵入してきた舌が容赦なく絡んでくる。
いきなり何なんですか!!と言葉に出来ないから手で押し退けようとするが、ガッシリと掴まれ押さえつけられた。
激しいキスが繰り返され、息が上手く出来なくなってきた頃にようやく唇が離れた。
息がようやく吸えるので大きく呼吸をする神林。
そして、此上を見上げた。
「トオルが余りにも可愛い顔をするから欲情した」
そんな言葉が上から降り注いだ。
「はい?」
なんだそれ?と神林は固まる。
「千尋の話をする度に君は可愛い顔をするからな……それは千尋に対しての顔なのか、俺に対する顔なのか知りたい」
真上から見つめられる。
そんなに見つめられると照れてしまう。
「えっと……あの、俺……どんな顔をしてるんですか?」
テンパっているのか聞かれた質問と全く違う言葉を言ってしまった。
「ほっとけないというか、寂しそうな……子供みたいな顔」
「は?そんな顔してません!!」
聞かなければ良かったと恥ずかしくなる。
「してるよ……だから、欲情しちゃうんだろ?で?なんでそんな顔をしてるんだ?」
「あ、えっと、あの、……いいなって思ってしまって……その、千尋を守る感じ?昔っから守って貰ってた千尋が羨ましいなって……大人になっても遠くから守って貰ってるのいいなって」
自分で何を言っているのだろうと思う。こんな、恥しい事言うなんて。
此上は神林の言葉に優しく微笑む。凄く嬉しそうな顔。
この顔を神林は好きである。
「ヤキモチって悪くないね、いや、寧ろ……わざとヤキモチを妬かせたいよ」
イタズラっ子みたいな顔に神林は笑ってしまう。
「お、俺だって、篤さんにヤキモチ妬いて欲しいですよ!!」
「馬鹿、とっくに妬いてたよ……千尋と一緒にいるだけでも嫉妬するし、千尋の事で元気なくなるなら、嫉妬でどうにかなりそうだ」
神林は思わず此上に抱きつく。
「俺は……確かに千尋が元気なくなるのは心配します!友達だから……それは友達だからです」
「知ってるよ」
此上も神林を抱きしめる。
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